最初の言葉
「必ず塁に出ると決めていた」
大谷翔平は
インタビューで
そう答えた
最初の言葉が
蓑笠を着て
飛脚よりも早く
雨を運んだ
雨は
村から村へ
飛脚よりも早く
海を運んだ
海は
村から村へ
飛脚よりも早く
雲を運んだ
雲は
村から村へ
飛脚よりも早く
翼を運んだ
翼は
最初の言葉から
飛脚よりも早く
飛び去った
最初の言葉は
蓑笠を脱ぎ捨て
長い雨の日
天の川原を出て行った
春の日の夕暮は
もう
中原中也のようには
詩を書けないのです
比喩は
夢を小さな村へ
帰そうとするのです
抒情は
記憶をどこにでも
置いてこようとするのです
私に必要なのは
真っ白に塗りつぶしたキーボードであり
最初の言葉を書くことだけを考えている
大谷翔平が
そう教えてくれた
(ヘッダー画像)
2023年3月22日のWBC日本 VS アメリカ決勝戦のTV放送画面を、
西岡が写真撮影したもの。
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