夜が明けるときいちにちは終わる
夜が明けるとき
いちにちは終わる
そう信じて生きてきた
息も絶え絶えの夢をみて
夜にはじかれ続けてきた
眠れないものは月の下に集まれ
空の音階に紛れて
海が密かに降りてくるのを待とう
明けがた
苔のように眠り込んでいる
もうひとりの自分に逢えるから
飛行機のジェットエンジンが
夜の街を吸い込んでいった
幸せは温かい拳銃
ジョン・レノンの声が
空を掻き回していた
幸せは熱いのか温かいなのか
夏休み明けの朝のような
うっとうしい物語が続いている
物語は終わらせなければならない
一行で終わらせなければならない
母は父に破られた約束を
縫い合わせていた
手を針に近づけたらアカン
ミシンのペダルを踏みながら
母が怒鳴った
私は一行を書かなければならない
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