蓮の海をあなたが渡る　Ⅱ

　　　蓮の海をあなたが渡る Ⅱ

その月光は　海に融けて光の冴えを
あざやかに　海面に照らし出していた
蓮の華々は　まだ眠っている華 　今まさに開こうとしている華

既にその壱拾六の花弁を開き
月の光を一杯に身に受けている華達は　
その美しさを競いあっている

ステップを踏むように踊るあなた
蓮の海では　想いの世界は、すぐに現象化される

あなたは踊る　小舟はステージとなり
月と蓮と風があなたを見守っている
この蓮の咲く海であなたは踊る

蓮の海の風は　微風だが　渦を巻いて
眼に視えない テーマを様々に描いては消し　
また描いては消す 飽きることなく　
空のキャンパスに描いていた

蓮の華から小舟の上に降り立ち
ステップを踏むように踊るあなた
蓮の海では　想いの世界は、すぐに現象化される

あなたは踊る　小舟はステージとなり
月と蓮と風があなたを見守っている
この蓮の咲く海であなたは踊る

その足取りは　軽やかにも視え　
危うくも視える その存在の揺らぎ
あなたの心の渇望と静寂

やがて　踊り疲れたあなたは 休息を求め
蓮の華に抱かれる
たゆたうその優しさと慈しみは母そのものだ

そして　あなたは眠る
新しい旅立ちが始まることを夢視ながら
蓮の海をあなたが渡る