遊びが未来を育てる -幼児教育の本当の価値とは-
幼児期のアカデミックな教育の落とし穴と遊びを中心とした教育の本当の効果
近年、教育現場では「学力向上」を目的としたアカデミックな教育プログラムが注目されています。しかし、子どもたちの健全な成長を考えると、遊びを中心とした教育が極めて重要です。今回、ピーター・グレイ氏の著書『学ぶ自由』に紹介された研究結果を目にして私自身納得の内容でした。幼児期の教育について皆さんと一緒に考えていきたいとおもいます。
初期のアカデミックな教育がもたらす短期的な成果と長期的な害
ピーター・グレイ氏の『学ぶ自由』では、幼児期における学術教育が短期的な学力向上をもたらす一方で、長期的には社会的・感情的な発達に悪影響を及ぼす可能性があると指摘されています。特に、自己肯定感の低下や社会的スキルの欠如が問題となるケースが報告されています。
参考:Peter Gray Freedom to Learn「Early Academic Training Produces Long-Term Harm」
ドイツの研究:教育政策を変えた実証結果
1970年代、ドイツで実施された大規模な研究では、遊びを中心とした幼稚園とアカデミックな幼稚園の卒園生を追跡調査しました。その結果、遊び中心の教育を受けた子どもたちの方が、読解力や数学力に優れ、社会的・感情的な適応力も高いことが明らかになりました。この成果を受け、ドイツは遊び中心の幼稚園スタイルへと回帰する政策を採用しました。
遊び中心の教育が育む力
遊び中心の幼稚園で育った子どもたちは、以下のような特性を身につけたことが報告されています
• 自主性:活動を計画し、実行する能力
• 協調性:他者との関係を見据え、違いを受け入れる力
• 責任感:自らの行動に責任を持つ態度
一方で、アカデミック中心の教育を受けた子どもたちは、成果主義や自己中心的な価値観を持ちやすく、社会的摩擦やリスク行動につながる可能性が指摘されています。
教育現場と家庭に求められる変革
これらの研究結果は、幼児教育の在り方を再考する必要性を示しています。遊びを通じた学びは、特に社会的・感情的な発達において極めて重要です。家庭においても、子どもの主体性や社会性を育む子育てが求められています。
遊びから学ぶ「VERIARTイノベーター育成プログラム」
私は幼少期からアーティストである父の元、遊びを通じて学ぶ経験をしてきました。その経験とアーティストの協力を得て、VERIART「イノベーター育成プログラム」を開発しました。
このプログラムでは、親子でゲーム感覚で取り組む中で、子どもの「好き」を見つけ出し、親子で没頭体験を共有します。
本プログラムでは、以下のようなイノベーターに必要な能力の向上が見られました
•好奇心と質問力
•観察力
•関連づける力
•自分と違う意見の傾聴力
•行動力と実験力
•内発的動機づけ
本プログラムは、子どもの「好き」を見つけ、それを伸ばすための環境を整えるサポートを行っています。
「子どもの創造力」の扉は、「親の理解」の鍵で開く
子どもの才能を引き出し、健全に育むためには、遊びを通じて学びを得る環境を作ることが必要です。ぜひ、日々の生活の中で「遊び」を通じた学びの重要性を考えてみてください。
ピーター・グレイ氏の「学ぶ自由」では、幼児期の学術教育が短期的な利益をもたらす一方で、長期的には社会的・感情的な発達に悪影響を示すことを示す研究結果が紹介されています。
参考:Peter Gray Freedom to Learn「Early Academic Training Produces Long-Term Harm」