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「キャシアン・アンドー」1話の展開を振り返り
ディズニープラスで配信中の「スター・ウォーズ」のドラマシリーズ「キャシアン・アンドー」第1話の展開を振り返ります。記事は視聴済みの方に向けた内容となっています。またドラマの性質上、映画作品のエピソード1〜6 と「ローグ・ワン」の視聴済前提にもなっています。あらすじは「さわりだけ」を意識してなるべくサプライズ要素や結末は書かないよう心がけていますが、完全なネタバレ回避にはなっていませんので映画作品も含めて、未視聴の方はくれぐれもご注意下さい。
本シリーズは既に3つのエピソードが初回に一挙配信されています。
「キャシアン・アンドー」の時代
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本作で描かれるのは映画作品「ローグ・ワン」の5年前からの物語です。アニメシリーズ「反乱者たち」と同時期の出来事=いかにして「反乱同盟軍」が結成され、「ローグ・ワン」に繋がる出来事が起きていくのかが描かれます。「ローグ・ワン」劇中のキャシアンの台詞にある「戦いに加わった6歳のとき」の話が、挟み込まれるフラッシュバックで明らかになる点も見所になっています。
登場人物相関
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舞台となる3つの惑星は本作で初登場です。キャシアンの出身地は設定本などではフェストとされていましたが、本作で事実が判明します。
勅許会社のようなコングロマリット「プリオックス・モーラーナ社(通称プリ・モア)」がモーラーナ星系地域の行政を執行しています。管轄領域の犯罪率を低く保っている(反乱が抑止されている)ため、星系に帝国軍が駐留するようなことはなく独自の統治が許されている状況と思われます。
キャシアンが住むフェリックスはプリ・モアによる圧制下というような雰囲気ではないものの市民にとってはプリ・モアもまた帝国の一部であり、中には彼らを快く思っていない人々もいる模様。
第1話「キャサ」
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非常に複雑で謎が多い始まりという印象でした。
現代的なドラマらしく「ボバ・フェット」「オビ=ワン・ケノービ」でも使われたフラッシュバックが本シリーズでも多用されています。(サーガやアニメシリーズでは基本的に使われない)
また帝国軍ではなく、帝国の傘下にある企業体が主人公の敵対する存在として登場するなど様々な点において新しい試みが見られます。豪華なセットや視覚効果にはドラマシリーズとしては一番予算が潤沢なのではないかという印象も受けました。
しかしながら個人的には特に「反乱者たち」の開幕エピソード「反乱の口火」と比べると、静かで展開の少ないゆっくりした始まりだなとは感じました。
キャシアン・アンドーという男
冒頭、キャシアンがクラブを訪ねるくだりはフラッシュフォワードで、何かの任務の最中なのかと思ってしまったのですがそうではなく、であるならば何故保安員を挑発するような行為に及んだのか?もちろんあの出来事が無ければ物語が動き出さないのですが、無理矢理キャシアンに手を汚させてきっかけを作ったようにしか見えず見直すたびに個人的にモヤモヤするところです。
それは「ローグ・ワン」冒頭も同じで、その場面も本作で製作総指揮と脚本を務めるトニー・ギルロイが改変/追加したものでした。
ビーの伝言によれば「よからぬ者とつるんでトラブルになる」事をマーヴァから忠告されていて、若いキャシアンは無思考なボンクラだったのか、あるいはそこに至る不可避な経緯が後に描かれるのかに注目です。
ブラッソには一目置かれているようですが、その関係性も謎です。
「ローグ・ワン」を見ている人なら彼がのちに英雄の一人になることを踏まえ細かい部分は気にしないのかもしれませんが、「ローグ・ワン」未視聴でいきなりこのドラマを見た人はどういう感想を持つのか、感情移入できるキャラクターたり得ているのか気になるところです。
ケナーリの出来事
フラッシュバックのケナーリも謎の多いシチュエーションでした。あの集落はなぜ子供たちだけなのか。既製品をアレンジしたような服装や道具からは文明が未発達な部族というわけでも無さそうです。
未接触部族に外界からの来訪者が接触・干渉するエピソードは「クローン・ウォーズ」でもありましたが、そうした未接触部族を出自とする主人公はシリーズの映像作品では「イウォーク」関連作品以来ではないかと思います。
「ローグ・ワン」での台詞に由来する出来事なのであれば、この時点のキャシアンは6歳でありアニメシリーズ「クローン・ウォーズ」の最中の出来事という事になります。
製作スタイルの変化
冒頭、テロップには「BBY5」という表記が使われました。BBYとは「エピソード4 新たなる希望」のクライマックスで描かれたデス・スター攻撃作戦=「ヤヴィンの戦い」より以前の紀年を指す記号で、「Before Battle of Yavin」の略です。「ヤヴィンの戦い」以降は「ABY(After Battle of Yavin)」で示されます。
これは、スター・ウォーズ世界に紀年法が存在しない(または明らかになっていない)ため、ファン発で考案され広まったものです。公式では過去にBSW4/ASW4(SW4=エピソード4新たなる希望)といった表記が使われていました。
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ルーカスフィルムがディズニー傘下になって以降の書籍で反乱同盟が作品世界の中でも利用していると設定され、本作で映像作品本編でも初登場となりました。
古参のファンにはBBY/ABY表記はメタな表現でありテロップ表記には違和感を感じた方も多かったのではないでしょうか。
「5 Years before Battle of Scarif」じゃダメだったのかなぁ。
また本作では「ブレードランナー」や「未知との遭遇」「マッドマックス3」「ランボー」「未来世紀ブラジル」 といった80年代のSF映画からのオマージュと感じられる表現が散見されました。これまでも映像作品において様々な映画からのオマージュはありましたが、しかしいずれもルーカスが影響を受けた作品やルーカスに関連した作品でした。ルーカス関連作品以外からこうした80年代の要素を(特に関連性無く)用いるのは、その時代に馴染みのある世代への訴求を目的としたもののように考えられ、少々安直なのではないかという印象を受けます。
本作の設定考証にはパブロ・イダルゴが参加し、エグゼクティブ・クリエイティブ・アドバイザーの肩書きでデイブ・フィローニの名前もあり、ところどころに「これは!」と言わせるマニアックな小ネタが色々仕込まれているものの、作品全体の印象としてはまだ全然魅力を感じないというのが個人的な感想です。
非常に贅沢なビジュアル表現と素晴らしいキャスティングで割と評判も良く滑り出し好調なところ、ちょっと批判的なスタンスで水を差してしまいそうな予感ですが引き続き展開を振り返っていきたいと思います。