時には思い出の名機を語ろう①
職業柄パソコンを長時間さわるデジタル文具マフィアの面々。今日も夜な夜な Discord のサーバーに集まって、パソコンやスマホのツールについてたらたらと話をしています。
登場人物
イズミ 職業ディレクター。好きなボールペンはゼブラのサラサ。
ゲン 職業デザイナー、ボドゲクリエイター。三度の飯よりメモが好き。
ピエール 職業コピーライター。めんどくさがり屋。
ノビー 職業エンジニア、ディレクター。効率厨。アイドルオタク。
イズミ : 今回のテーマは「みんなの歴代愛用ガジェット三選を語ろう」です。みなさんこれまで多種多様な PC やデジタルガジェットを触ってきているので、これは名機だったというこだわりを持っていると思います。そんなこだわりや「愛」を語っていただければと思います。
イズミの三選
iMac Rev.C タンジェリン (1999年)
イズミ : これは人生を決定づけたマシーンという意味で外せません。当時中学生だったのですが、ローリングストーンズの「She's A Rainbow」の曲に合わせて 5 色の iMac がぐるぐる踊る TVCM に一発でやられました。ちょうど実家でインターネットに接続できるパソコンを導入しようという話をしていたタイミングだったこともあり「Windows ではなく絶対に iMac がいい」とごり押しをして買ってもらいました。色はタンジェリン。人生初のパソコンであり、その後の人生を方向づけたターニングポイント的瞬間だったと思います。
もしあのときに Windows を買っていたら、プログラミングやクリエイティブなツールに興味を持たずに、高専に進学することもなく、今の仕事につくこともなかった気がします。HyperCard とかクラリスワークスとかいろいろ遊びました。中学生のころの将来の夢は「Adobe に就職してクリエイターをアシストするツールをつくる」でしたからね。結果的に全然違う仕事してますが。
Nintendo DS 初代 (2004年)
イズミ : 歴代のゲーム機の中で一番好きなものは初代 NintendoDS です。DS の発売日に八王子のヨドバシカメラで買って、その足で友達の家で遊んだ日のことを今でも覚えてます。今見ると SF 的で無骨なシルバーの筐体が愛らしく、サイズ感、重さ、丈夫さ、すべてが好きな一台です。
最近クローゼットの整理をしたときに出てきて、15 年ぶりくらいに電源をつけたら、なんと電池が満タンで生きていてめちゃくちゃ驚きました。どういう性能のバッテリーなんだろうか。現行のどんな最新のバッテリーよりもタフで、オーパーツなのではないかと疑っている。
マリオカートやゼルダやニュースーパーマリオブラザーズなど、100% コンプをやりこんだゲームが一番多いハードで、当時大学生のときに教習所で朝から晩までキャンセル待ちをしながら遊んでいました。あの頃はとにかく時間があった。
忘れちゃいけないのは、KORG DS-10 というシンセサイザーで音を作って音楽をつくるソフトです。今では iPhone などモバイルで音楽を作るというこういうは当たり前になりましたが、当時はとにかく斬新で夢中で曲を作ってました。もしかしたら DS-10 だけで 1000 時間以上遊んだのではないかな。
MacBookAir 11inch (2010年)
イズミ : 三選なのに二つも Mac となり恐縮なのですが、これは歴代で一番好きなマシーンということで選ばせてもらいます。いまどきのラップトップと比べるとベゼルは分厚く画面サイズはかなり小さいのですが、キーボードのピッチもギリギリフルサイズで。これ以上でもこれ以下でもダメというぴったりサイズなんです。
ぼくは、デスクトップはできるだけ大きい画面、ノート PC はできるだけ小さい画面がいいと思っているのですが、よくある 8inch の UMPC などはキーボードのピッチが小さすぎて作業に支障がでるということもあり、この 11.6inch がベスト of ベストのサイズだと思っています。
大学院のときに研究室で支給してもらったやつと、新卒で配属されたときに支給してもらった PC を乗り継ぎ、歴代で三台使ってきましたが、その後ラインアップからこのサイズが無くなってしまい、いまでも復活してほしいと毎日願っています。
ゲンの三選
イズミ : では続いて、ゲンちゃん三選をお願いします。
iPod 第 5 世代 (2009年)
ゲン : iPod は大部分を「音楽を聴く」というシングルタスクに振り切っているコンセプトが、一端末で何でもできてしまう昨今だからこそ輝いてみえます。なので iPod と iPod touch は別物と思っている。これは Kindle 端末が欲しくなる感覚にとても近い。
ビデオ再生ができるようになった世代の iPod で、高校生の頃に The Fratellis の PV 買って見たりしてました。iPod 自体は color から使い始めていくつも買ってるのですが特に使い込んだのがこの世代でした。
個人的に iPod Classic のざらっとした質感があまり好きじゃなく、Mac OS X Snow Leopard 感溢れる 2000 年代の光沢がたまらないですね。Apple Music 対応 iPod Classic をこのデザインで復刻して欲しい。
イズミ : iPod は最高でしたね。ぼくは第 2 世代と nano を使っていました。個人的には nano のサイズと操作系が好きだったので復刻するなら nano 希望です。
TEENAGE ENGINEERING OP-1 (2011年)
ゲン :「お前そんなこともできたんか」っていう使い道の再発見ができるデバイスはどんどん愛着が湧いていく。OP-1 はそんなシンセサイザーです。スピーカーが内蔵されているので電源つけたらすぐシンセサイザーとして使えるし、ドラム音源も入って録音もできるのでこれ一台で作曲を完結できるという、ミニマルなサイズにパワフルな性能が搭載されているこの魅力。
シンセサイザーとして一通り使ってから少しの間眠ってたんですが、ふと Mac に繋げてみたらそのまま MIDI キーボードとして使えることを知って、「お前そんなこともできたんか」というの気持ちになったわけです。マジでこれで完結してんじゃんという。さらにファームウェアアップデートでソフトウェア音源を直接デジタル録音できるようにもなるという使い道が追加されたり。ファームウェアアップデートが定期的にあるデバイスってそれだけで価値が上がります。
惜しむらくは USB Mini-B とかいうマイナーすぎる端子なこと。OP-1 field は USB Type-C になったのでめっちゃ欲しいんですけど目が飛び出るお値段になっているので躊躇してます。
Kindle Oasis (2019年)
ゲン : Kindle シリーズは一通り試したのですが、個人的に Oasis が決定版でした。どれか迷っている人には多少お金を積むことになっても Oasis を勧めます。
Paperwhite の軽くて安い魅力はあるのですが、タッチディスプレイのショボさも相まって、レスポンスの遅さが気になってしまうんですよね。それを解決するのが Kindle Oasis のページ送り物理ボタン。たったこれだけなんですが、体験が全然違う。タッチディスプレイってタップした後のレスポンスがないので「本当に押せたの?」という不安で待ち切れずに 2 回目押して 2 ページめくられちゃう、という鬱陶しさがあったのですが、Oasis の物理ボタンは「カチッ」というハプティックフィードバックがあるのでページ送りが多少遅くても待てるんですよね。このストレスの無さは大事。
湯船に浸かりながら本を読むのにも使っているので防水機能もめちゃくちゃ大事。水滴とタッチディスプレイの相性は最悪になりがちですが、物理ボタンもここでも活きてて、誤作動なく使えます。
これは Kindle Oasis に限らず好きなデバイスの共通点なのですが「雑に扱ってもビクともしない堅牢なつくり」って信頼をおけるし結果的に物持ちも良いので長く使い続けて好きになっていく気がします。
イズミ : Paperwhite はね、わかる。ぼくも二台乗り換えて使っていたのですが、iPad mini が最強ということで、kindle 端末は手放した口です。Oasis も単機能への憧れで気になってはいる。
ノビーの三選
イズミ : では続いて、ノビーの思い入れの三選をお願いします。
Mac mini M1 (2020年)
ノビー : 現在完全にマカーなんですが、初めて持った Mac は大学の生協で買った MacBook で、就職したあとも基本的には会社支給の Mac を不満なくつかってたタチなので、100% 自分の金で個人用に買った Mac は意外とこれが初でした。
ロゴが入っただけのマットなフォルムに必要な端子だけ生えてるというデザインは、Apple 製品の中でもかなりミニマルに倒しててめちゃめちゃ趣味にも合ってる。ディスプレイ変えたり置き方を工夫したり、ミニマルなおかげで拡張性が無限にあるのもいいところ。次買うときには Mac Pro とかにアップデートしてく選択肢もあるんですが、この使い心地に慣れちゃうと、次も mini がいいなーという気持ち。
Apollo Twin X (2019年)
ノビー : 現役で使ってるオーディオインターフェースです。音の編集をするときのアウトプットや、楽器録り・マイク録りするときのインプット、プリアンプかけたりギターやベースの前掛けでエフェクト入れたりとマルチな用途で重宝してます。
買うときに重視したポイントとしては、ハイファイで素直という音の方向性だったんですが、使い始めてみるとインタフェースとかフォルムとかの使用感の部分でどんどん愛着が湧いてくるデバイスです。INPUT・OUTPUT 端子が前に 1 つ・残りが後ろ、みたいな細かい端子の配置だけでこういうのって使いやすさが変わりますよね。ノブが一個しかないのもシンプルかつノールックで扱いやすくて好き。これ一台で1人用の音楽スタジオの役割をまるっと担うぞ!という意思を感じます。ルックも完璧。
V301SH (2004年)
ノビー : ガラケーです。
えーっと正直、型番もこれのためにめっちゃ調べて判明したくらいですっかり忘れてましたし、なんならこれが特別名機だったかも判然としないんですが、語りたいのはこの時代のケータイの着メロ打ち込み機能のすごさ。
音声だの動画だの大きなファイルは取り扱えない・ケータイで見る Web サイトもそこまで普及してないのでダウンロードという手段もとれない、という時代に「ユーザーの好きな曲を着信音にする」という要件を実現するために、メロディの打ち込み機能が搭載されてるのが当時のガラケー。これが案外バカにならないんですよね。使えるメモリとかも絶対かなり限られてる中で、32 和音しっかり打ち込みができるし、プリセットの音色も 128 種類とかあって、自分で音源つくるのもできる。通話・メール・カメラなどケータイの数ある機能の中で、着メロにここまで力割くか?というヤバさ。説明書もこの機能だけで 22 ページありました。
自分は楽器とかを始めたのは早かったんですが、DTM 的な文化に触れたのはけっこう遅く、実はこの V301SH の着メロ打ち込み機能を使い始めたのがルーツなんです。耳コピしてメロディを打ち込む・曲を考えて打ち込む・アレンジを考える、などなど音楽制作体験のルーツ。ケータイそのものを機種変しても、打ち込み専用機としてしばらく現役だった記憶があります。
イズミ : ガラケーの着メロ作成機能とかありましたね。今思うと、ガラパゴス進化の最たる機能だった。
ピエールの三選
イズミ : では最後、ピエールさんの思い出の名機を三選、お願いします。
ピエール : いろいろなガジェット使ってきたのですが、懐かしのものを多めに持ってきました。
Shock Wave (1996年)
ピエール : 超絶古いのですが、今はなきカセットテープのウォークマンです。レゲエが好きだった時期がありまして、そのときにミックステープをとにかく作りまくっていたんです。外で音楽を聴くために 365 日持ち歩いていました。
いまでこそイコライザーとか低音重視のイヤホンで、ゴリゴリに低音をブーストできますが、当時はスカスカのばかりだったんです。そこにこいつが鳴り物入りで登場して、電気屋で聞いて震えたのを覚えています。ある意味低音で本当にヘッドホンが震えてた。
そして、この見た目もハンパなくかっこいい。ソニーのナヨナヨしたデザインと真逆の、とにかく男しか見てない。その振り切る姿勢にも、感銘を受けました。
王道ではなく、少し変わったものを選択するようになったのは、これがきっかけかも知れません。
SP-303 (2001年)
ピエール : サンプラーです。打ち込みで音楽をつくる方たちが使うものなのですが、僕はちがう使い方をしていました。
実はレゲエのセレクター、ヒップホップでいう DJ、まがいなことをしていたことがありました。ヒップホップとか R&B は、BPM をあわせてクールに曲を繋いでお客さんの足を止めないように繋いでいくのに対して、レゲエは次々といろんな曲を流しまくるってスタイルです。
BPM が異なるので、基本的には急に他の曲に変えるカットインというやり方をするのですが、バツっと変えると違和感が出てしまうので、合間にブブゼラみたいな音や掛け声などを挟むことで、曲を変えたことに違和感を減らしています。そのブブゼラの音を流するために、サンプラーを使っていました。
テレビ番組で、ピンポンとかブブーとかの効果音を流すためにボタンを押しているシーンを観たいことがあると思うのですが、そこに SP-808 という後継機種が使われていて懐かしいなぁと思い出しています。
iPad mini (2012年)
ピエール : スマートフォンを使い始めたのが人よりもかなり遅くて、iPhone7 からでした。それまでずっとガラケーの INFOBAR を使っていて、とにかくデザインが好きだったので 2016 年ぐらいまで使っていたと思います。
でも、世の中的には LINE をはじめ「アプリ」で何かをするというのが当たり前になっていて、そのために iPad mini Sim Free 版を使っていました。MVNO の IIJ のシムでした。
iPad mini って実は男物のパンツの後ろポケットに入るんです。ポッケから iPad mini が出てくると、びっくりされます。比較的大きな画面でありながら、携帯性もあるということで、ほぼ 365 日持ち歩いていました。
でかいとか不便とかあると思うんですが、iPhone よりも充電が持つ。そこが良かったです。ガラケーは一週間ぐらい充電しないでいいですし、iPad も長持ちです。充電するという行為がとにかく嫌いなので、デジタルデバイスは持ちの良さを大切にしています。
イズミ : Shock Wave も SP-303 も間違いないですね。ピュンピュンマシーン。これ系でいうと、個人的には SONY のドデカホーンというラジカセもあげたいのですが、オールドスクールすぎるので自重しておきます。
みんなそれぞれの名機と共に人生を歩んでますね。まだまだ語りたいガジェットがあると思いますので、このテーマは不定期で今後もやっていきたいと思います。
では、また次回。
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