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【歌舞伎沼への誘い】八月花形歌舞伎!いざ歌舞伎座へ!

毎日うだるような暑さ、いかがお過ごしでしょうか。
「半沢直樹は最早スーツ歌舞伎なのでは」というどなたかの呟きに頷きすぎて首がもげそうです。日本舞踊家の花ノ本以津輝です。

ようやく、久しぶりの歌舞伎座に行ってきましたよぉぉぉぉ!!!!!
(謎のハイテンション)今日は『八月花形大歌舞伎』レポをしてみようと思います。

所作指導、着付け指導...というカテゴリーからはちょいと離れてしまうからどうかとも思ったのですが、これも一つの『日本文化のお勉強』ということで許させられい。(こじつけ)

私の歌舞伎好き歴史についてはプロフィール&お仕事依頼の記事をどぞ。

半年ぶりの歌舞伎座開場

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今年の3月から、歌舞伎も他の例に漏れず日本全国での興行が中止に。
当月は実に6ヶ月振りの歌舞伎座開場となりました。

その6ヶ月の間、歌舞伎役者の皆さまもインスタライブやYouTubeでの様々なクリエーション、そしてオンラインでの公演など、様々な取り組みが行われ、私たちファンはものすごく楽しませていただきました!

例えばこんなのとか↓

錚々たる歌舞伎役者さんたちがおうちで見得をしてます(笑)

色々あった半年間を経て、
いよいよ!!!歌舞伎座が!!!!再開!!!した!!!ふぉうっ!(ただでさえ暑いのに暑苦しくて面目無い)

そんな暑苦しい想いを滾らせながら、歌舞伎座に向かったわけです。

八月花形歌舞伎について

通常、歌舞伎座の本興行は昼の部・夜の部の二部制。
各部、3〜4つくらいの演目で構成されます。

が、今回は感染症対策の観点から4部制。
そして、各部1演目。キャストもスタッフも総入れ替え。
大道具さんやら衣裳さんやらその他諸々、舞台に関わるスタッフ全てが各部で総入れ替えなんだそうです!すご!
全員が1日につき1演目にしか関わらないように作られているんだとか。
(通常は役者も何演目か掛け持ちすることもありますし、スタッフも通しでいる人もいます)

舞台面での対策は、出囃子の地方さん(お三味線や鳴り物を演奏する方々)や後見が布製のフェイスシールドのようなもので鼻から下を覆っており、
また地方さんの並びも通常より間隔が保たれておりました。
その他、演目によって色々な工夫が!

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こんな感じで1席ごとに間隔が空けられての客席配置などの表(客席サイド)の感染症対策はさることながら、
裏(役者、スタッフサイド)の感染症対策の徹底。
まさに、安心安全に歌舞伎を楽しんでいただけるように全力が尽くされている公演でございました!

久しぶりの歌舞伎鑑賞

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↑いつぞやの「亀治郎バッジ」を帯留めにしていただいたものを連れていきました。

久しぶりの観劇は、幕が開いただけで感動してしまう程でした。
オンラインでも公演はできるし、もちろんそのメリットもたくさんあるのだけれど、やはり舞台と客席とが一体となって"生"で創る「ライブ」というのは何にも代え難く、本当に尊い時間なのだなと改めて感じたのでした。

そしてまた演目のラインナップが大変に素晴らしくて。
時間の都合で二部と三部しか拝見できなかったのですが、本当は全て観たかった...!!

二部『棒しばり』

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この演目は、元々狂言からきたコメディータッチの舞踊劇。酒大好きな太郎冠者と次郎冠者というポンコツコンビが、大名(主人)から留守番を言い渡されます。
ですが、いつも留守中に酒蔵に忍び入って酒を飲みまくるので、大名は酒を盗めないように二人を縛ってからおでかけ。
でも、ポンコツコンビはそこで酒を諦めないのです。
二人で協力してなんとかして酒蔵を開け、酒樽を開け、そして結局呑みまくる。縛られたままなんとかして酒を呑もうとするその意欲よ!!!あっぱれ!!!!!

勘九郎丈・巳之助丈のコンビで拝見するのは初めてだったのですが、最高すぎるかよ!なコンビネーションでございまして。これからもこの二人の棒しばりはたくさん上演してくれ、と願うばかりです。色んな時期の、色んな年代での、お二人の棒しばりを観たい。
そして、私はいつもこれを観ると酒が呑みたくなります。

こちらの予告編では、勘九郎丈・巳之助丈ご両人のお父上コンビの棒しばりがちらっと見れます。お父上方の棒しばりもそれはそれは名演でございました...

三部『吉野山』

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大好きすぎる、吉野山。こちらの演目は『義経千本桜』という長い演目の一節。いわゆる、”源平もの”。

『義経千本桜』についてはこちらをご覧あれ。

場面は、静御前が恋しい義経の元へと向かう道中。桜が満開の吉野山。
義経の家来、「佐藤忠信」をお供に連れて、てくてくと歩いています。
が、途中で忠信を見失っちゃった静。
「そういえば前もいなくなった時、義経から形見でもらった鼓を打ったら戻ってきたんだったわ」と思い出した静は、鼓をうちます。
そうするとどこからともなく現れる忠信。実はこの忠信はニセモノだったのです!この忠信は、なんと狐。両親が、義経の鼓(静御前が持っている「初音の鼓」)の鼓の皮にされちゃった狐さんだったのです。
この涙、涙の狐さんのお話は、『川連法眼館の場』という後のストーリーで明かされることとなります。(機会があったら是非観てね。宙乗りもあったりサーカス的?マジック的?なケレン要素もあったりで、とっても楽しい一幕です)

見どころは、ちょいちょい垣間見える”狐”な所作と鼓(両親)への想い。
「佐藤忠信」のTHE武士!な貫禄とキュートな狐さんの仕草がまさにギャップ萌えなのです。

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↑私が10代の頃、吉野山を踊らせていただいた時のお写真を参考までに...
左が「佐藤忠信」の拵え、右がぶっ返り後、狐さんな拵えです。
本物の猿之助丈でなくて申し訳ない気持ちでいっぱい。ごめん。

八月の歌舞伎座に時を戻そう。
今回の吉野山は、猿之助丈の狐忠信と七之助丈の静御前という、いつかの浅草歌舞伎を思い起こさせるコンビ。(調べたところ、2004年の浅草歌舞伎でした。ちなみにまだ私は歌舞伎沼にハマる前。)
え、まさか、それ以来?!ということは私はこのコンビでの吉野山は初見だったのかも。この時期に、このレアなコンビでの吉野山が観れたのは、本当に嬉しかった。
久しぶりに生で猿之助丈の狐忠信が観られる感激といったら......そして更には七之助丈の見目麗しいにも程がある、静御前。

そして忘れちゃいけない早見藤太!早見藤太といったら猿弥丈!猿弥丈といったら早見藤太!!
早見藤太は吉野山の最後のほうに登場する三枚目的敵キャラなのですが、その時その時の時事ネタを挟んだセリフ回しや可笑しみのある立ち回りなど、ほっこり要素満載の愛されキャラなのです。
猿弥丈の藤太は軽妙な所作にご本人のお人柄(そしてフォルム)が相俟って、本当にかわいい。いや、かわいいという表現は失礼なのかもしれないのですが、兎に角かわいい。もしも歓声を自由にあげていいコンサート的な公演だったらずっとキャーキャー叫んでいたいくらい。

そんな私的推し要素満載の配役で、テンションあがりまくりの吉野山でございました。

歌舞伎沼はたのしいよ〜

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今回は八月花形歌舞伎についてお届けしてみました。
次回歌舞伎について書く時はもうちょっと歌舞伎沼に引きずりこめるような何かを書きたいと思います(笑)


最後までお読みいただきましてありがとうございました!

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