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「エクストレイルと夜の歌」 大切な車との最後の冒険、そして別れ
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文と絵 隅垣 健
(京都新聞出版センター, 2016年)
2016年に書いた作品です。
当時、私は日産のエクストレイルに約10年間乗っており、東京への転勤(単身赴任)を機に手放すことにしました。
そのとき、まだ小学生だった息子が泣いて抵抗しました。
息子からすれば物心がついた時には既に家にあった車です。当たり前のように存在し、家族の思い出が詰まった車との別れは、息子にとって大人の私が思う以上につらいものだったのだと気づきました。
実際に我が家であったエピソードに、ファンタジーの要素を加えて書き上げたのが、この物語です。
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書籍化するにあたって日産の広報部にも伺いをたてましたが、快く了承していただきました。
エクストレイルと別れる前夜に起こった不思議な冒険が物語の中心になっています。
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京都や東京、はたまたアフリカ沖の夜空をエクストレイルと旅するシーンを挿絵化するにあたっては、様々な手法を試しながら、夜の闇と街や星の光が印象的に見える絵を模索したことを昨日のことのように思い出すことができます(普段は水彩画やパステル、色鉛筆画などを描く私にとっては唯一のパソコンを使った描画の経験となりました)。
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