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宗谷岬に立つ

北緯45度31分
日本最北端の地、宗谷岬。
私は2024年9月26日にこの地をひとり訪れた。
北欧やスコットランド北部あたりを思わせるような荒涼とした海岸線。
当地の冬期の厳しい自然環境を想像させるが、訪問した日は穏やかな秋の空の下。
風はやわらか、海も静か。
水平線のはるか先には樺太の島影もうっすらと見えた。
岬の背後の丘の上には、赤と白に塗り分けられた灯台が立つ。
殺風景な光景のなかでは、ひと際かわいらしく見える建物である。
同じ丘には並ぶように旧陸軍のトーチカ状の望楼が残されていた。
ここが昔も今も防衛の最前線であることを、否が応でも再認識させられる。
空を見上げた。
雲がわく、青空が見え隠れする。鳥たちが悠然と飛ぶ。
この何げない当たり前の日々がいつまでもつづきますように。

宗谷岬の灯台(2024年 すみがき たけし)

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