授業や、会議で使える!3人称の問い
1人称の問いから順番に説明してきましたが、いよいよ3人称の問いです。
3人称の問いって、どんな問い?
3人称の問いは複数の相手に対しての問いです。ここでいうのは、文法上の“3人称”とは少しニュアンスが違います。
問いかけ自体は“あなたたち”(複数の2人称)に行いますが、その結果、その人たち同士の何かを大いに期待するという意味を込めて、ここでは3人称の問いと呼ぶことにします。
授業や、さまざまな会議の場面で使える問い
あなたが先生なら、生徒たちが相手でしょう。そう考えると普段の授業はもちろん、アクティブ・ラーニング型の授業なら、なおさら3人称の問いが必要ですね。
学校内に限らず、社会人なら会議の場というのも3人称の問いが活躍する場面です。営業上でのプレゼンテーションでは3人称の問いをうまく使うと、相手をうまく巻き込むことができ、商談も進みやすくなるものです。
また自治体が主催する説明会などでも、住民の意見を拾い、納得度を高めようとするなら、3人称の問いを活用するとよいでしょう。
このようなさまざまな状況において、問いはどのような効果をもたらしてくれるでしょうか?
3人称の問いでできること
複数の人たちが集まり話し合いが行われるとき、問いは共通の視点や視座を提供します。
例えば単に「今後の取り組み」ということではなく「2030年に向けて、私たちが今すぐ取り組まなければいけないことは何か?」などです。
この問いには、期日があり、行動する主体は“私たち”となっています。
しかも今すぐ取り組まねばならないと、考えなければならない焦点が明確になっています。
このような問いかけにより、参加者がそれぞれが持つバラバラなイメージを持っていて会話がまとまらなくなることを避け、また場合によっては、普段考えていない何かを話し合うきっかけとすることもできるでしょう。
その際、参加者同士が互いの考えや感じ方を知ることはとても有意義です
違いが新たなアイデアを生み、互いの成長につながるなどの、好ましい相互作用につながるでしょう。
複数の問いを構成して使う
2人称の問いでも問いの組み合わせは重要でしたが、3人称の問いでも、はじめはさまざまな考えが自由に出る問いを投げかけ、終盤でまとめを促す問いを活用すれば、その場での合意形成や、それによる帰属意識、主体形成を促すこともできます。
さらにそんな体験そのものがそれぞれの関係性の変化に影響を及ぼすこともあるでしょう。
そうなれば、組織やコミュニティ全体がまた新たなステージへと進めるかもしれません。
整理してみると、3人称の問いの効果は下記の4点にまとめられます。
3人称の問いの効果
• 共通の視点や視座を提供する
• それぞれの間の相互作用を起こす
• 合意形成や主体形成を促す
• 関係性の変化に影響を及ぼす
新たなものを生み出す中心となる問い
グローバル化が進み、多様性がより豊かな成果を生むことがさまざまな研究で明らかになっています。
3人称の問いは、そのような“人々を繋ぎ、新たなものを生み出す”中心にあります。
また、21世紀を生き抜くための新しい学びの形として“対話的な学び”を重視する内容に、学習指導要領も更新されています。このような学習者間の相互作用を期待したい場面でも、3人称の問いをうまく機能させたいものです。
この先は、会議で活用できる3人称の問い、アクティブ・ラーニングなどの授業やトレーニングといった学びに向かう3人称の問いを扱います。