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その問いの主語や主体は何ですか?
相手と1対1のコミュニケーションを取るときに使える問いを、2人称の問いと呼んでいます。
主語や主体がない問いのリスク
下記の自社の製品の売上推移に関する問いを、もし上司・部下の関係性の中で上司から投げかけられたら、どのような印象を受けるか想像してみてください。
A:最近、〇〇がよく売れるようになった理由って、なんだと思う?
B:最近、〇〇がよく売れるようになった理由って、あなたはなんだと思う?
Aの問いでは、主体や主語が明示されていません。Bでは「あなたはなんだと思う?」と、主体を明示しています。
上司・部下の関係性にもよりますが、Aの問いで投げかけられた部下は、自分視点で理由を考える人もいるかも知れませんが、中には「上司はもう正解を持っていて、それを当てて欲しいのかな? 何と答えればいいだろう」と、上司の中にある正解当てを始める人もいるかもしれません。
このように、主体が明示されていないことにより、忖度が始まるというリスクがあるのです。
忖度した答えが欲しいのではない場合
もし上司の狙いが、「色々理由があると思うけれど、いま、あなたはどう分析するのか?」と意見を聞きたい場合は、主語や主体を明示するとよいでしょう。
さらに「忖度は期待していないよ。あなたが分析する、その意見を聞きたいんだ」と補足して伝えると、さらに正確に狙いが伝わるでしょう。
学校現場では
学校でも似たようなことが起きるかもしれません。先生がある生徒を指して問いを投げかけたとします。
A:地球温暖化が止まらない根本的な原因は、何だと思いますか?
B:地球温暖化が止まらない根本的な原因について、あなたは何だと思いますか?
先ほどの上司・部下のケースと同様、これも普段の先生と生徒の関係性によりますが、Aの問いの場合は、「先生が期待している答えはなんだろうか」というスイッチが入る可能性があります。
もし事前課題で専門家のインタビュー記事を読んだり、ビデオを見たりという状況で、知識の確認を意図した問いならどうでしょう。
主語や主体を明示しないAの問いを投げかける場合もあるかもしれません。しかし、知識の確認が目的であれば、「記事中の専門家は、原因は何だと言っていましたか?」と「専門家」という主語や主体を明示した方が混乱しないでしょう。
一方で、「記事やビデオの中でさまざまな原因が示されたが、あなたは、何が根本的な原因だと思っているのか?」を問いたい場合は、やはり「あなたは」と主語や主体を明示しないと、問いの意図や狙いが正確に伝わらないリスクがあります。
まず何を問いたいのかを明確にし、それに合わせた主語や主体を意識的に明示していきましょう。