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【鑑賞日記】美しい春画展を観に行った

美しい春画-北斎・歌麿、交歓の競艶- @細見美術館

春画に特化した展覧会は久しぶり。2015年の永青文庫以来ですね。8年前かあ。あれ、まだ8年しか経っていなかった?

今回の展覧会の特長は、肉筆春画がたっぷりだという点ですね。存分に堪能できました。
春画をここまで一気に観るのは基本的に楽しい体験なのですが、ただあまりにも点数が多すぎて、正直ちょっと食傷気味になったところもあったりなかったり。
本展覧会は巡回なしとのことなので、気合いを入れて観に行ったのですが、巡回してくれれば何回かに分けて観ることができたんですけどねえ。

さて、気になった作品ですが、まずは大胆な横長の春画でお馴染みの鳥居清長、迷いのない線が現代的でやはりよいです。

喜多川歌麿の 「階下の秘戯」もね、シチュエーションが実にエロティックで素晴らしい。歌麿先生なに描いてんだよ、と共犯者的苦笑が浮かびます。

で、なんといっても葛飾北斎の 「肉筆浪千鳥」。これ!
完全な版画と彩色を手塗りした作品が並べて展示されていて、その比較が実に愉しい。版画だと表現が難しい頬の火照りや目元の強調など、肉筆だったらこうなるという違いがわかります。表現の解像度が高まるのですね。

春画の構図として、どうしてもこれを見せないといけないというポイントがあるようです。

具体的には、「口吸い」と「交合」です。これを同時に描くにはどうしても身体を無理にねじる姿勢になる。そういう絵が多くみられます。で、そういう普段とることのない姿勢なので、腕や脚のデッサンが狂っていたりする。

まあ、絶対に見せたい要素が描けていれば他はラフでもいいでしょ? ってことなんですかね?

ちなみに自分は口吸いはそんなに好きではないので、そこにあまり魅力は感じないかなあ。
一作品だけ口吸いではなく乳を吸う絵があって、これには相当たぎりました。作者は北斎先生。さすがわかってらっしゃる!

ともあれ、春画の多様性と深さをあらためて考えさせられる展覧会でした。

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