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【鑑賞日記】開発好明 ART IS LIVE展を観に行った
開発好明 ART IS LIVE―ひとり民主主義へようこそ @東京都現代美術館
開発好明というアーティストの作品には既視感があって、でもどこで出会ったのかを具体的に思い出すことができなくて、申し訳ない気分を味わうことになりました。アートフェスだったような気がしますが、うーん、記憶力の弱さが残念すぎる。
それはさておき、今回の企画展。観れば観るほどに非常に興味深く、感じ入るところが多かったです。
開発氏の作品は、非常にラディカルだと感じました。そのラディカルさには緩くてしなやかな感触もあり、「おだやかなラディカル」という言葉がぴったりだなと思ったのでした。
それぞれの作品はどれもコミュニティや個々人、さらには社会に対峙し、発信する内容となっています。
たとえば「1年後の自分に向けたハガキ」のプロジェクトや「ドラゴンチェア」、さらには東日本大震災に関連する諸事業に関する展示。
これらを追体験する中で自分自身もまた自己と向き合うこととなり、感情や思考にさざなみが生じるのを経験しました。現在アートの持つ問題提起力にあてられたのでしょう。
本企画展を観て感じたもうひとつのことは、これら作品が、アート作品という完成物が主眼というよりも、コンセプトや企画そのものがアート的視点を持っている。コンセプトそのものが作品なのだということです。
いや、そうではないかも。作品には、いい意味であまりアート的な感じがないのです。
アート的な枠を超えて、もっと人々を巻き込み、無意識のうちにさまざまなことを考えさせるようなイベントプロデュースやディレクションに重きがある。そういう印象を受けました。それもまた現代アートのひとつの様相なのだと思います。
現代アートは、まだまだできることが多いと感じました。内省的になりすぎることなく、したたかさを持ち、さまざまな視点から社会に働きかける力を秘めているのだと強く実感しました。