指舐め人間の恐怖!あなたも狙われている!
「指舐め」が気にかかってしかたがない。
雑誌や新聞のページをめくるときなどによくやる、舌をレロンと出して親指をなすりつけてページに手を伸ばすアレだ。親指だけではなく人差し指を器用に使ってやるパターンもあるが、総じてその動きには無駄がなく、その所作はある意味、様式美にまで昇華しているともいえよう。
んなわけあるかいっ!
この行為、年配の方々がよくやっているように思えるが、けしてご高齢だけじゃなくて、そこそこ道理をわきまえたビジネスマンなんかもやっていたりする。30代はおろか20代でもけっこう見かけるのだ。人目も気にせずレロレロとやるのを自分は何人も確認している。そう、あなたのまわりは指舐め人間で埋め尽くされているっ!
ちょっと言いすぎました。
それにしても、そんな指舐めを見てあなたはどうですか? アリですか? 気になりませんか? そうですか。自分はダメです。どうにも許せない。見ため美しくないし、第一、汚いでしょ? いや、この汚いという気持ちが偏見なのか? ああ、もうわからない。
指舐め行為を一番見かけるのは、お札を勘定するときだ。でも、それって誰が使ったかもわからない金を舐めるのと同じ行為なんじゃないのか。衛生観念の完全なる欠如。病気をもらっても文句はいえない。
以前は、スーパーやコンビニでレジ袋を開いて渡してくれていた時代があった。過剰サービスの気がしつつもまあ便利ではあった。しかし、往々にしてその袋を開くときに舐められていたんですよ、これが。
店員さんのつばがついたレジ袋。それを渡されるオレ。ありがたいのに喜べない。現在はレジ袋有料化と新型コロナのダブルパンチのおかげでここ最近はセルフ対応となったおかげで、この光景はとんとみなくなったけれど、あれはイヤだったなあ。
本屋などで立ち読みしている人もやるね。舐めるね。読んでいる雑誌のページをめくるときにね、買いもしないのに。唾つきの雑誌を他人に買わせようとしているのか? どんな性癖だ。いや、癖じゃないな、犯罪だよ、犯罪。性犯罪だ。
たとえ買われなかったとしても、他の人が指舐め立ち読みしたらそれは間接ベロチューだよ? それが嬉しいのか? 倒錯していることおびただしい。
確かに乾燥肌、じゃなくて乾燥指のおかげで、紙やらなんやらがめくりにくくなることは多い。自分もかなり苦労しているし、その煩わしさは痛いほどよくわかる。しかし、めくりやすくするための生活雑貨も増えてきている。それを免罪符に指舐めを容認はできない。
おそらく指を舐めている人はその動作自体が癖になっているのだ。だから紙がめくりやすかろうとむずかしかろうと関係なく『なにかをめくる』行為に対して、無意識のうちに指を口に持っていってしまうのだろう。
無意識に、ということはそこになんら躊躇も悪感情もないということだ。指舐めをする人もそれを見かける人も実は何にも気にしていないのかもしれない。気にする自分のほうが少数派なのかもしれない。偏執的な潔癖症なのかもしれない。
ここで自分の心の声を。「雑誌の紙は芥子をねりこんだやつを使え!」
初出タイトル「世間をなめるな」00年4月2日 初出
24年1月17日 改稿
24年1月18日 改題