西伊豆古道を歩く〜田子ー安良里編〜
2022年6月16日曇天。伊豆半島に遊びに来た日本写真家協会の正会員であるフォトグラファー・インテツくん、昨夜隙間を縫ってやって来たベーシスト・サトくんと西伊豆の安良里へ。
本日歩くのは、田子から安良里。全長およそ6km、お天気が良ければ富士山を一望できる西伊豆歩道の今山コースだ。
今山コースは近年に入ってから整備された道で有り、明治19年の大日本帝国測量図や明治22年の静岡県管内全図によると一部を除いて古道ではない。
調査している1761年の「伊豆峯次第」の拝所を優先して順当に回る道を選ぶならば、ルートからは外れる道になってしまう。
しかし、よく見ると古地図でも今山方面の山道ルートも存在している。「伊豆の修験道はプロ修行場」と聞いてるので「生活の道」を歩くより、海の修験道で、大いなる存在を感じていたと考える方がロマンがある。
いずれにしても、今回インテツくんは初参加。景観が良く、町の推してる今山コースを歩くことにした。
まずはゴールの最寄駅となる安良里方面の浦上バス停付近に車を駐車。バスが来るまでの間、古老に安良里のお話を聞かせていただく。
バス内には東海バスの制服を着た人が数名乗っていた。今山を歩くことを伝えると、最寄りのバス停と、遊歩道の入り口を丁寧に教えてくれた。
元小学校の脇から舗装された西伊豆歩道へ入る。この季節、伊豆半島ではホタルブクロをよく見かけることができる。一年前にホタルを捕まえてホタルブクロに入れたのが懐かしい。
歩くことを通じて、伊豆半島のホタル生息地をこんなに知ることになろうとは想像もしていなかった。
伊豆半島の山道を歩いていると、頻繁にサワガニに出会う。白、青、茶、赤、地域や場所によって個体の色は様々だ。
山道で見かける大きな穴は、ミミズやサワガニを食べたいイノシシが掘り返した穴だ。
今日は歩いてる人と良くすれ違う。そんな行き交う人とのコミュニケーションも豊かなひとときだ。しばらくゆるやかな上りの舗装道路が続く。
キダチアロエを育てる段々畑が広がっている。冬に来たら花が咲いて、一段と美しい光景が見れそう。
モルタル吹き付けの素掘りトンネルを抜けると、一段と静寂な世界に。鳥の声が響き渡ってる。
今、最も伊豆半島のキャンプ場で気になっている、船で渡る一日一組限定のプライベートキャンプ場 AQUA VILLAGE が見えてきた。
一つ目の東屋。ここまで2.5km。西伊豆の海岸線は断崖が続くが、今山の南側に位置する田子港のような静かな入江も点在している。
入江には、弁天島、洞窟が軒を連ねる尊之島が浮かぶ。
水質がよく透明度も高いのでダイビングでも人気スポットだ。
写真に写るのは燈明ヶ崎、その奥で尖った凸崎は、雲見・烏帽子山だ。
東屋からは更に上り道。道なりに直線が続く。時折り吹くいい風が、火照った身体をクールダウンしてくれる。
ひと山上りきると、見晴らしの良い起伏の少ない道が続く。
良く整備された木の階段へ。高さのある段差なので慎重に下りる。
崩れて来たのだろう。礫の山が道を塞いでいたので一瞬、道を見失いかけた。
倒木が道を塞ぐ。
富士山展望所は山の上にあるのかと思いきや、下り道。西伊豆は見晴らしの良い場所に出れば、どこからでも富士山を望むことができる。西伊豆トレッキングの最大の魅力だ。
富士山展望所到着。今日は曇り。富士山はお隠れになっていた。
お天気が良ければ宝永山まで見える。表富士が見える絶好のスポットだ。
風は木々を揺らし、枝の葉を鳴らす音が、心に癒しを届ける。かすかに聞こえるさざなみが、安らぎを運ぶ。鳥のさえずりがどこからともなく聞こえ、コンコンとキツツキの音が静寂に響く。
表富士を望む大岩で、目を閉じ、深く、静かに、思いをめぐらせる。忙しい時は立ち止まり、騒がしい時は静まる。静寂の中で自分を満たす時、悩みを解決する答えは自ずとやって来るものだ。
長い休憩を取り、残りは2.48キロ、岩は苔に覆われ、シダが茂る後半戦を歩く。
残り2.16キロ地点で広い道に出ると、隙間から太陽の日差しが差し込み始めた。下りの長い道が続き、網屋崎分岐からは一気にくだる。
日が良く入る杉林。またひとつ谷を越えて。
下っては登り、最後の山を超えたら安良里の集落が見えてきた。
文明に帰ってきた。巾着港と言われる波が静かな奥に深い入江を活かし、安良里港には造船所がある。
かつては加山雄三さんが所有していたクルーザー光進丸があった場所。今も造船所は現役で稼働していて、活気のある音が港に響き渡っている。
青空も見えてきた。それにしても伊豆半島は海が驚くほどキレイ。心と身体のバランスを整えるには、都会を離れしばし自然と向き合うのが良い。
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続けて読むと伊豆半島を一周します。