月一回のピットイン
歯医者さんによって歯磨きへの意識に差があるな。
と知ったのは四年前の引っ越しに伴い、かかりつけの歯科医院を変えたことがきっかけ。
先生は30台前半の若い男性なんですがこの人が、
「歯磨きを丁寧にするのは基本のき。です!1に歯磨き、2にデンタルフロス、3に歯間ブラシでやはり患者さん自身の汚れを落とす意識が大事なのです!!!」
とまあとにかく、
あなたは松岡修造ですか⁉︎
ってーくらい歯磨きに熱い。チェック厳しい。
しかし40年以上生きてきて自分の歯磨きがいかに雑だったかを教えてくれたのもこの先生なので感謝している。
さて、F-1はじめ自動車やオートバイのレースで、給油や修理のためにピットに入ることをピットインという。
月一回の歯科検診の日が来ると私は、
「さーて、今日もピットインしますか」
と言いつつ毎月のように熱血先生の歯科医院に行き、診察台に乗って口を広げ、
さあ、隅々まで見ておくんなせえ。
と1ヶ月走り続けたレーサーカーのように心を無にする。
まずは歯科衛生士(歯の看護師さん)によるチェックのために鏡の付いたスティックが歯茎を舐めるように3、4方向から私の歯の状態を見る。
これが3、4分。
次に歯周病検査。これは歯と歯茎の隙間の歯周ポケットに針を突っ込まれる。これが少し痛い。
けれど一番大事な検査なのでさらに心を無。
そして歯茎からの出血や磨き残し、磨き残しが固まって出来た歯垢や虫歯が無いかを最終チェックし、
ここからスケーラーという超音波で震える鋭い器具で歯石取り。さほど痛くない。
これが終わって虫歯があったら治療。無かったらドリルの先を小さな研磨に付け替えて茶渋取り。
多少振動がありますがもう痛く無いので平気。
最後、先生による診断で、
「白浜さ〜ん、今月は丁寧にブラッシング出来てますよぉいいですねぇ☺️来月の通院までこの調子頑張りましょう!」
と筋トレのコーチみたいな激励をいただけるか、
「磨き残しで多少炎症がありましたよぉ、歯と歯茎の隙間に毛先を差し込むこと。歯という立体物をお掃除するイメージで鏡を見ながら丁寧に磨いて下さーい」
と指導が入る。その度に衛生士さんによるブラッシング指導やフロスの使い方を受けるのだが、
これを受けるとあ、ブラシここまで角度深くしていいんだ。
とか
あ、フロスで歯の側面の汚れとること忘れてた。
など自分の歯の手入れの甘さを再認識するのである。
最後は先生に歯を強くする液体、フッ素を塗ってもらって(30分食事うがい禁止)
「はい、処置終わりましたよー」
という先生の言葉で診療台から降りて待合室に戻る。
会計の時に受付で来月の診療日を予約して医院を出た時、
「うん、今月のピットイン完了」
と天気が雨だろうが清々しい気分で私は医院の入り口でワンピースのルフィのように両手を上げるのが私の毎月の習慣である。
全ては生きてる間食べる事を楽しみ続けたい。という願いのために。