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【ASD】仕事以外の報連相ができない

社会人になると、報連相の大切さを嫌と言うほど教え込まれる。

私は報連相のよくできた社会人だった。
些細なことでも報連相。何でも報連相。
心配性の性格にマッチしていたのか、はたまた上司と話すのが苦ではなかったからか。
ちょっとしたことでも報告しない先輩のことを、内心小馬鹿にするくらいには、私は報連相スキルをしっかりと身につけていた。

それなのに、仕事を辞めると、あれだけ身体に染み付いていた報連相はどこかに消えてしまっていた。

ASDという特性に甘えてなのか、私は家族との約束を気分でドタキャンすることが多い。
前日まで楽しみにしていたのに、朝起きられないとか、家族の乗る気じゃない態度が気に入らないとか、そういった自分本位な理由であっさりと予定をキャンセルしてしまう。
そんな時は大抵、家族が私を置いて出て行くので後でネチネチ言われたり、怒られたりすることはほとんどない。

ただ、これらの行動が報連相スキルを身につけてきた社会人として、あるまじき行為であることには間違いない。

この間、ほぼ1年ぶりに連絡を取った友人と電話で話す約束をした。
仕事のこと、家庭のこと、年齢のこと。
「愚痴を聞いてほしい」
友人のその言葉から始まった約束だったが、私は久々に話せることを楽しみにして、お風呂場でも何を話そうかと考えるほどには、その日が来ることをワクワクしていた。

前日、友人に連絡をすると返信がない。
仕事が忙しかったのだろうと思い、そのまま眠りにつくと翌朝には2件の通知が入っていた。
「ごめん、早く家出ることになっちゃって」
「予定合えば話そう!」
この言葉を聞いた時、私は最初に今までの自分の行動を振り返っていた。

いつもなら怒りを覚えるこの言葉に、一種の諦めのような感情が湧いたのは初めてだった。
早く家を出ることを「報告」してほしかったし、
約束があるのだから「連絡」してほしかったし、
じゃあどうするのかを「相談」してほしかった。
でも、私自身もできていなかったのだ。

結局、また私は1人で勝手に楽しみにして、
1人で振られることになった。
慣れた手つきで「どっちでもいいよ」と打ち、
スケジュール帳に二重線を引いた。

社会人になってから、私は笑えるほどに何度もドタキャンをくらっている。
私という人間が舐められる人種なのか、友人たちが揃いも揃ってルーズなのか、真相はわからない。だが、被害者ぶれる資格も私にはない。

でも、時々思うようになった。
こんな優しくて相手思いで尽くすの大好きな人材を逃すの勿体ね〜〜な!!って。

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栖山 依夜
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