⑩移住への決意
僕たちは自分たちの住む町に帰ってきた。それからしばらくの間はあの心地よい土地のことが頭から離れなかった。
二週間後には次のフライトの予約をしていた。
本当にその場所でいいのか、厳しい冬に自分たちは耐えることができるのか。
そんな色々な想いもあったが、本当のところは今すぐにでもあの場所の空気感や、清々しさを自分の五感で生で感じたかった。
移住への決意とは自分たちの心の感覚と土地の感覚が合わさってなんとも心地よい感覚が生まれたときに自分の心の中に湧き上がってきて、どうしようもなくなることのように思う。
もちろん今までの生活をある程度断ち切って新しい感覚の自分と世界と向き合うという覚悟ができていることも大事だ。
一歩を踏み出す勇気はとてつもなく大変で怖くてびびってしまうけど、一歩を踏み出して、いったん自分の心にどどどーっと湧き上がってしまえば、なんてことないのかもしれないとも思う。
7月10日に土地購入の件を役場に伝えた。役場の方に移住に関して大歓迎であり、役場としては出来る限りのことは全面的に協力すると仰っていただいた。
自分たちを取り囲む周りの世界が確実に変わった。
この先の未来は自分の脚でしっかりと自分の心の声にそって行動して歩んで行きたい。
些細な幸せもなるべく見逃さずに辺りを見回しながら。
時には休みながら。
たまには自然の成り行きに身を委ねて。