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2021年7月2日金曜日
ホテルの部屋で目が覚めると暗かったので、まだ夜明け前かと思い、ベッドに寝転がりながら、瞑想ぽいことをする。
雨が窓を叩く音だけが聞こえる。
ベッドから起き上がり、時計を見ると午前9時を過ぎている。
福岡では、すでに日が昇っている時間だが東京でもそうだろうと思った。
どうやら、この部屋は日中も暗いらしいことが分かった。
ホテルを出て、世界堂に行き、目当ての筆とボールペンを買うことができた。
ナムラの黄色い軸の油絵具筆をたくさん買い、早く使いたい。
世界堂を出て、どこかに喫茶室ルノアールがないかと見回すと、地下にあるルノアールの入口を見つける。
地下2階にあるルノアールの入口の取っ手は、緑色の陶器製だった。
席に座って、アメリカンを頼み、しばらくしてパンセットも頼んだ。
パンに切れ目が入っていて、溶けたバターがしみている。
パソコン仕事をしていると、店員さんが飲み干したアメリカンのコーヒーカップと差し替えで、湯呑みに入ったお茶を置いてくれる。
いつも最高だルノアール。
このお茶が本当に安心する。
雨降りの東京へ、短パンTシャツ姿で南国福岡県から出て来てしまった私は、少し肌寒いので、暖かいシャツを買うことにした。
新宿でシャツ専門店をすぐに見つけて、店員さんに体の寸法を測ってもらいながら合うサイズを選ぶ。
私は細身だが、標準より手が長く、体型に合うのはMだが、肩幅と袖丈に合わせるならLかなと言われる。
試しにMを着てみると、とても体型に合っていたのでそれを買う。
コロナ禍であるらしく今回は、滞在中にあまり友人知人に会う気がないが、書家の日野さんには会いたいと思ったので連絡をしたら、すぐに会えることになった。
日野さんは三鷹の芸術文化センターで制作していて、今月に控えた二人展の準備のために、今日はたまたまGallery Nao Masakiから佐藤さんがインタビューに来るという。
中央線快速で三鷹へ。
三鷹までの全ての駅で過ごした思い出が走馬燈。
ほとんど人気のない三鷹の芸術文化センター地下の制作室というところで、日野さんが一人、一枚の作品を書いていた。
最近日野さんがInstagramに上げていた、コカコーラのシリーズだった。
いつも通りの日野さんのおしゃべりと同時に、正真正銘の新作が今まさにそこで出来上がっていく。
こうなると私も画家とは言え、ただのファンの心境で、とんでもないものを見ている気がして本当に幸せだった。
すぐに佐藤さんもいつもの和装で現れ、日野さんのインタビューが始まったので、私は廊下で二人の声を聞いていた。
文化センターの壁面に据え置かれた立体作品と、降り注ぐ雨。
ずっとこうしていられそうだった。
インタビューが終わると、佐藤さんは早々に帰らねばならないとのことで、私と日野さんは新宿へ。
Yumiko Chiba Associatesに行き、スタッフの方を紹介していただき、福岡のダイナマイト書道の話や、日野さんの作品の話や、開催中だった「北井一夫/柳沢信」の展覧会を見るなど。
帰りながら、日野さんと写真ってすごいですよね…と二人仲良く圧倒された。