パンチライン百科事典 p.17 -Droppin Jewels-
先日、私がYouTubeにて公開した2021年ベストヒップホップアルバムTop20において11位にランクインしたのがYoung Thugの『Punk』でした。彼は今となってはアトランタを代表する大御所ラッパーですが、どのようなことを歌っているのでしょうか。今回はその『Punk』に収録されている楽曲から、私のお気に入りのラインを1つ紹介したいと思います
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Young Thug - Droppin Jewels 1:08〜
I told my son he ain't a cheerleader, but he might gotta catch a body
お前はチアリーダーじゃないが、体をキャッチしないといけない時があるかもしれないと息子に言ったんだ
1:08〜
Young Thugは"Droppin Jewles"の中で、これまでの人生を振り返っており、彼は自分の経験に基づいて息子にアドバイスをあげています。それがこのラインです。ここでは"Catch a body"に2つの意味が含まれているのですが、まずその内の1つが、直訳である「体をキャッチする」です。一般的にチアリーディングにおいて、男性メンバーが担うことが多い役割がこのキャッチ係ですよね。写真のような感じです。
では、Young Thugの言う、チアリーダーではないのに体をキャッチしないといけない、というのはどういう状況のことなのでしょうか。
"Catch a body"は「体をキャッチする」以外に、スラングとして、「殺害する」や「射殺する」、「拉致する」などを意味することがあります。この場合、"He might gotta catch a body"(体をキャッチしないといけない時がある)は、「人に危害を加えないといけないことがあるかもしれない」と訳すことができ、これがチアリーダーでないのにも関わらず、体をキャッチしなければならない瞬間のこと指していると考えられます。Young Thugはアトランタのプロジェクトで育ち、様々な苦労をしてきました。恐らく彼には、生活のために人に危害を加えないといけなかった経験があるのではないでしょうか。つまり、このラインはそんな彼からの「生きていくためには汚い仕事にも手を出さないといけないことがあるんだぞ」という息子へのメッセージなのだと思います。彼が本当に息子にそのようなアドバイスをしたのがどうかはわかりませんが、この"cheerleader"(チアリーダー)という言葉使いが、正に中高生の息子に話しかける父親っぽさを醸していて、リアルですよね。しかもメッセージの内容こそ少し重めですが、表現自体は凄くカジュアルです。こういう力の抜けた言葉遊びができるところにYoung Thugの巧さを感じますね。
P.S. このYoung Thugが2021年にリリースしたアルバム、『Punk』ですが、曲自体は数曲、Tiny Desk Concertで先行してパーフォーマンスされていました。僕はその段階でDrippin Jewelsにハマって何回もリピートしてたのを覚えてます笑 というかYoung Thug、ブレスコントロール上手すぎじゃないですか?!
written by じょん
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