パンチライン百科事典 p.15 -Bars On I-95-
これまでBoom Boom BoomのWestside Gunn、Talk to emのConway the Machineなど、Griselda Recordsのメンバーを少しずつ取り上げて来ました。ですが、まだ取り上げてないんかい!と言われてもおかしくないであろうメンバーがまだ残っていまして、今回はその彼、AhhのBenny The Butcherのパンチラインを紹介したいと思います。
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Benny The Butcher - Bars On I-95 Freestyle PT2 3:35〜
ここでBennyは「自分の人生は映画というよりも本のようである」ということを主張しています。これはどういうことなのか。それを紐解くためにはまず映画と本の違いについて考える必要があるかと思います。色々な違いが挙げられるかと思いますが、私が考えるに彼の意図に最も近いものは「受け手に求められる想像力の差」です。映画には動きのある画があり、音があります。ですが、本には基本的に文字しかありません。仮に両者が全く同じ物語を描いていたとしても、視聴者は内容を理解するための多くの情報を動画や音に補ってもらえるのに対して、読者は文字から得られる情報を元に自分の頭の中で内容を想像しなければなりません。つまり、こういった積極的な思考活動が必要とされる本は、ある意味では映画よりも教育的だと言えるのではないでしょうか。これを踏まえて今回のラインに注目すると、Bennyのペン先の動きが見えて来ます。
映画の仕事を獲得したBennyは、多くの人の場合、夢見心地の大喜びであるところを全く動じません。そして、それどころか、一旦周りをなだめ、「俺の人生は映画よりももっと教育的な本のようなものだ」と言ってのけるのです。彼の人生が実際にどういうものなのかというよりも、基本的に煌びやかな、いわゆる映画的な魅せ方が主流のシーンの中で、敢えて本というインテリ路線のアプローチを入れるという、、、この姿勢に物凄くパンチを感じました。Griseldaの野蛮で凶暴な普段のイメージからのギャップも相まって、このラインは相当な質量を有していると思います。
P.S. ちなみにBennyの言う映画の話とは、ConflictedというGriseldaのドキュメンタリー映画のことだと思います。
written by じょん
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