短歌連作「タオルケットは穏やかな」
心が折れかけたとき何度も助けてもらったカネコアヤノさんのアルバム「タオルケットは穏やかな」から着想を得ました。
一番下にPDFを着けておくので、noteで読みにくい人はそちらからご覧ください。
わたしたちへ「変わりたい変われない変わりたい代わりがいない」
片隅であの子が叫ぶとき、今のわたしは詠い叫びを纏う
やさしいギター「不安の形は日々変わりゆくように」
不規則に弾いたコードの泡だけで埋もれる部屋に住んで住んでた
季節の果物「あなたと季節の果物をわけあう愛から」
熟れてきた桃をナイフで切り裂いてて噛み応えのない甘さを啜る
眠れない「無理に寝ない こうして誰かを想ったりして」
眠れない 今なら瞼の奥から君が見ている窓が見えるよ
予感「天使を抱えてる恨みと引き換えに」
抱えてる天使は何かを引き換えにいつかは羽をはばたくだろう
気分「気分はいつも上がったり下がったり」
言葉すら距離を無くしたはずだった それでも遠い君とは遠い
月明かり「弓を引いた夜を忘れないで 震える手で抱きしめた」
許されるために震えた指先で弓張月を引いて満月
こんな日に限って「悲しみを消すための傷が絶えない」
音が出る靴ではしゃいで靴擦れに気づかなかったかさぶたを剥がす
タオルケットは穏やかな「大事にするのが大変になるにはなぜだろう」
ベランダに干されたシャツは風を受け今の形を大事に仕舞う
もしも「変わることと変わらずにいること」
あの朝にに戻れるならばパンじゃなくお米を食べても︑喧嘩はしたね
カネコアヤノ「タオルケットは穏やかな」