言葉を伸ばす:意味のある流れ
おはようございます。いわたコトバのそうだん室の言語聴覚士の岩田です。
今回は「言葉を伸ばす:意味のある流れ」についてお話ししていきたいと思います。言葉やコミュニケーションの成長がゆっくりなお子さんの場合、「どうすれば子どもがもっと自分から話そうとしてくれるのだろう?」と悩むこともあるのではないでしょうか。そこで今日は言葉を上手に引き出してあげるには、日常生活の中で「意味のある流れ」を意識することがとても効果的というお話をしていきます。
なぜ「意味のある流れ」が大切なのか?
まず、「意味のある流れ」というのは、生活の中で繰り返される一連の出来事を指します。例えば、「玄関に行ったら靴を履く」「食事の前には手を洗う」など、毎日の生活の中にはたくさんのパターンがありますよね。こうした繰り返しの流れの中で、お子さんは「次に何が起こるか」を少しずつ理解していきます。この予測できる流れがあることで、お子さんが安心して行動でき、少しずつ自分から行動や言葉を出しやすくなるんです。
小さなお子さんの遊びの定番である「いないいないばあ」も、この「流れ」を利用した例です。「いないいない」と大人が言って顔を隠し、「ばあ」と顔を見せる。この二つの動作が繰り返されることで、お子さんも「ばあ!」というタイミングがわかってきて、自分から「ばあ!」と言ってくれることも増えます。こうして言葉を使ったコミュニケーションの練習が、遊びを通じて自然とできるようになります。
どうやって日常生活で「流れ」を意識するか?
お子さんの言葉を伸ばすためには、特別な道具や技術が必要なわけではありません。日常の中で意識するポイントを少し変えるだけで、お子さんが言葉やコミュニケーションを使いたいと感じるきっかけが増えます。例えば、食事の前の「いただきます」、お風呂に入る前に「おふろ」と声をかけるなど、普段の生活の中にあるルーティンを意識してあげるだけで十分です。
また、こうしたルーティンを少しアレンジしていくこともおすすめで、たとえば、食事の前にいつも「いただきます」と言っているなら、その流れの後に「あ!にんじん!」と食事の材料を言ってあげるのも良いと思います。「いただきます」と言った後に新しいステップを入れることで、次の行動への期待感が膨らみます。こうした少しの工夫が、お子さんにとって大きな刺激になり、自分から発話しようとする意欲を引き出すことにつながります。
流れの中で「応答を待つ」こともポイント
お子さんの言葉や行動が出やすくなるためには、大人が少し「待つ」ことも大切です。たとえば、手遊びやお歌の最後のフレーズをわざと止めてみるなど、子どもが「次に何かをしたい!」と感じるタイミングで「待つ」ことで、子ども自身がその続きを伝えたいと感じることが増えます。こうすることで、普段よりも自分から「やって!」と要求したり、言葉を使って伝えたりしやすくなります。
一連の流れの途中で少し間を取ることで、お子さんが次の行動を催促する場面をつくるのも効果的です。例えば、「いただきます」と言った後に手を合わせるのを待ってみたり、「ばあ!」と言うタイミングで少し間を空けてみたり。お子さんが「次はどうするの?」と大人に対してアクションを求めてくれることが増えていきます。
繰り返し経験することで言葉が生活に溶け込む
こうした流れを繰り返し体験していくと、少しずつお子さんの中で言葉が生活の中に自然と溶け込んでいきます。さらに、この流れの中で得た表現が増えていくと、同じ言葉を他の場面でも使えるようになります。これを「脱文脈化」と言いますが、例えば、「ばいばい」を遊びの後だけでなく、保育園でお友達と別れるときにも使うようになったりと、場面を越えた言葉の使い方ができるようになるんです。
おわりに
言葉を無理に教えようとするのではなく、普段の生活の中で「意味のある流れ」を意識し、その流れを通して自然に言葉を引き出すことが、お子さんにとっても楽しく学べるポイントです。お子さんのペースに合わせながら、無理なく「流れ」を使って言葉を伸ばしていきましょう!
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