私の読書スタイル ~セルフコーチングを読書で実践~
私の読書スタイルをまとめてみます。これは、コーチングの知識と『レバレッジ・リーディング』に影響を受けた方法です。
「忙しくて読書の時間が取れない」「小説は好きだけどビジネス書や自己啓発本が苦手」「読んでも途中で放り投げてしまう」「読んだ内容を忘れてしまう」…そんな方にとって、この方法が役立つかもしれません。少なくとも、私自身には効果的でした。
読書の基本ステップ
時間がない方はここだけ読めばOKです。
読書前:明確な目的を持つ
読む前に、まるで旅の地図を広げるように、明確な目的を設定します。どこへ向かうのかを意識することで、本から得られる収穫が変わります。
読書中:斜め読みOK、メモ必須
「行間を飛び越える鳥」のように、必要な情報を拾い読みします。小説は別ですが、ビジネス書ではすべてを読む必要はありません。
読書後:行動に落とし込む
本で得た知識は、実際に使って初めて意味を持ちます。具体的にやることを3つだけ書き出し、日常に組み込みます。
なぜこの読み方なのか
かつての私は、本を読む際に「1冊を完全に読み尽くし、1回の読書で全てを吸収しよう」としていました。しかし、この方法は「知識の一括払い」のようで、非常に消耗します。結果として、読書の間隔が空き、モチベーションがどんどん低下。そして、頑張って読み終えても、しばらくすると内容を忘れてしまい、次の本を手に取るのが億劫になる…そんな悪循環に陥っていました。
そこで気づいたのは、「目的をしっかり意識して本を読むことの重要性」です。
能動的な読書のススメ
いくら優れた本でも、受け身の姿勢で読むだけでは得られるものは限られます。必要なのは、「情報を待つ」のではなく「情報を取りに行く」能動的な姿勢です。つまり、受け身で本を読まされるのではなく、自ら情報を探す「読書という探索行為」を意識すること。
こうすることで、同じ本でも読むタイミングや目的、求めている情報によって得られる気づきが変わります。良書とは、読むたびに新しい発見があるものです。この読み方では、1回で全てを吸収しようとするのではなく、まず軽く読み、必要なときに再び手に取る読書法が効果的です。
どんなに良著でも、読み手が受動的に読むだけでは、得られる気づきや知識は多くはありません。受動的に読むだけではなくて、能動的に情報を取りに行くように本を読むことで、その時に必要としている情報や気づきを得ることができます。良著は何度読んでも得られるものがありますよね。
理系の私にとってわかりやすい例を挙げるなら、アンテナの指向性。どれだけ強い信号が送られても、受信アンテナがズレていれば受信できません。読書も同じです。目的という「アンテナ」を本に向けて、情報を確実にキャッチするイメージです。
具体的な読み方
本の選び方
オススメされた本、評判が良い本、好きな著者の本…基準は割と適当です。
ただし、興味がある分野では2~3冊読むようにしています。1冊では見えない視点が広がるからです。
読書前
著者や目次をチェックし、概要を把握します。
「なぜこの本を読むのか?」という目的をメモします。
例えば、コーチングについての書籍を読む場合、「新入社員の指導方法を考えたい」という目的があればそれを記載しますし、もっと抽象的に「コーチング理論の概要を知りたい」程度でもOKとしています。
読書中
斜め読みでOK。必要な箇所だけ3行ずつ読んでも大丈夫です。
最初はそんな読み方で読めるわけないと思っていましたが、やってみると案外読めます。読書前に目的を明確にしているので、必要な情報を拾いに行く意識で読めます。メモツールを活用。私はEverNoteで本ごとにノートを作成します。Kindleならハイライト機能を活用し、後でエクスポートします。
紙の書籍なら、付箋や線を引いて後からまとめます。
こんな形で読み進めていくと、本の分量にもよりますが、2~3時間くらいで1冊読み終わります。私は片道1時間程度の通勤時間なので、2往復もすれば大体読み終わります。1冊に時間をかけすぎると、途中で疲れてしまったり、間が空いてモチベーションが下がったりして、読書が捗りません。短時間で集中して読めることで、読書のハードルも下がりました。
※ 小説は全部しっかり読んで楽しんでます!
読書後
メモを見直し、気になる箇所を再読します。
行動に落とし込むために、やることを最大3つだけ書きます。
例:「新人にコーチングのフィードバックを試してみる」「毎朝5分間の瞑想を始める」など。
これは、自発的に行動を促すために、具体的な行動計画をクライアントに宣言してもらうというコーチングの手法に基づいています。読書の場合、コーチは本やその著者、クライアントは自分です。
最大3つまでというのは、宣言する行動は極力シンプルな方が良いためです。やることをたくさん書いていたこともありましたが、結局何をやるのかぼやけてしまって身に付きませんでした。
読書でインプットし、行動というアウトプットで読書から得られた気づきや知識を咀嚼して定着させるイメージです。
この読み方のメリット
自分が必要とする知識や気づきを効率よく得られるようになります。また、集中力を保って1冊を読み切ることができるため、読書へのモチベーションを維持することができます。
読書前に現状や理想の姿、目標をイメージしながら読書の目的を設定し、読書中に資源や選択肢を探し出し、読書後にそれを具体的な行動に落とし込む。この一連のプロセスは、まさにコーチングのプロセスそのものです。つまり、1冊の本を通じて「セルフコーチング」のステップを踏むことができるのです。
自分の必要とする知識や気づきを効率よく得ることができるようになりました。また、集中力を保って1冊を読みきることができるため、読書のモチベーションを維持できます。
読書前に現状となりたい姿や目標をイメージして読書の目的を定め、読書をしながら資源や選択肢を探し、読書後に行動に落としこむ、このプロセスはコーチングのプロセスになっています。つまり、1冊の本を読む中でセルフコーチングのプロセスを踏んでいることになります。
この読み方のデメリット(注意点)
この読み方では、どうしても本の内容を自分の価値観に当てはめて解釈してしまいがちです。しかし、価値観は人それぞれであり、時代や状況によって「良い」「悪い」の判断は変わります。異なる価値観を持つ著者が書いた本を読むからこそ、新たな視点や発見が得られるわけで、これを自分の価値観だけで読むのはもったいないと言えます。
最終的に自分の価値観に落とし込む作業は必要ですが、その前に著者の価値観や背景を想像しながら、なるべく素直に本の内容を受け取ることが重要です。この「受け取る姿勢」を意識することで、より深い気づきを得ることができるでしょう。
さいごに
この読み方は、私の試行錯誤の結果です。上司が紹介してくれた『レバレッジ・リーディング』がその出発点でした。感謝の気持ちを込めて、改めてその本を読み直してみようと思います。
読書は自分の人生を彩るための「旅」です。一度の読書で全てを知ろうとするのではなく、必要な時に目的を持って「再訪」することで、もっと豊かな学びが得られるのではないでしょうか。
この機会にレバレッジ・リーディングをもう一度読み返してみようと思いました。