森鴎外記念館・漱石山房記念館|あかちゃんと散歩(東京編)
この日訪れたのは、漱石山房記念館。夏目漱石が晩年過ごした、早稲田の旧居が記念館になっている。ここを訪問するきっかけになったのが、森鴎外記念館での特別展だった。
森鴎外記念館は千駄木駅から3分という好立地。センスのよい建築で、以前から力のこもった特別展をやるなと気になっていたのだ。10月から森鴎外と夏目漱石の交流を探る「千駄木の鴎外と漱石」展を実施しており、足を運んだ。
同じ時代を生きた森鴎外と夏目漱石。鴎外が住んだ家にその後漱石が住んだという偶然もあり、交流が頻繁にあったと思う方も多いと思うが、実は実際に会ったのは4回ほど。お互い意識はしていたようで、新書を送り合っていたそうだ。
鴎外記念館がある団子坂を、谷中に向かって下るのは漱石の『三四郎』。歩いて上るのは鴎外の『青年』。時代のバケモノ、鴎外と漱石は、この坂をどんな気持ちで歩いたんだろう。
森鴎外記念館を後にするとき、「早稲田にある漱石山房記念館とコラボ企画をしていて、スタンプを集めた方に記念品をお渡ししています」と案内があった。であれば、漱石山房にも行ってみよう。
日を改め、早稲田に向かった。
都営大江戸線の牛込柳町から650m。閑静な住宅街にひっそりと、しかし存在感のある記念館。バショウの木がばっさばさと育っている。
夏目漱石はこの場所で、晩年を過ごしたという。来客が多すぎて、木曜日に限定したそうだ。鴎外の千駄木の家も文豪サロンのように人が集まっていたと聞いた。
漱石作品からワンフレーズを引用して装飾した壁があった。教科書で読んだときは、言葉が難しい小説だと思っていたけど、今新たになんという語彙力だろうと思った。さっそく図書館で、何冊か借りて読むことにした。(その中でも晩年の学習院での講演『私の個人主義』にグサッときたのだけど、その話はまたどこかで。)
展示を見終わり、ちょっと座りたくなって1階のカフェに入った。CAFE SOUSEKIは、夏目漱石読み放題のブックカフェ。黒猫をモチーフにしたカップなどがとてもかわいい。
そうそう、例のコラボ企画で集めていたスタンプもゲットできて、記念品の缶バッチをいただいた。
優しい光が注ぐ、気持ちの良い記念館だった。
子どもの頃は小説が好きだったのに、一度読み始めると止まらなくなってしまうので、ついに手に取るのをやめてしまった。今ではついタイパのよいドラマや映画に流れてしまい、読書は実用書が中心になっている。でも、小説は自分のペースで、立ち止まり、考えて、進むことができる良さがある。育休中に、小説も再開してみるか。
漱石山房からの帰り道、ふと、早稲田大学に寄ってみようと思いついた。コロナ中にオープンした村上春樹ライブラリー(国際文学館)は、現在は予約なしで入場できるらしい。育児のことでいっぱいだった頭の中が、少し彩り豊かになった感じがした。
早稲田大学に足を伸ばした話は、また今度。