なかったことなんかにできない。なかったことにしていたこと。
燃えるようなオレンジ色の夕日が曇りガラスに刺さった後に優しく部屋に広がっている。
あの子はベットの上で声を殺しながら泣いている。
このまま首を絞め続けたら死ねるだろうか。
死んでしまったら、この苦しみは綺麗さっぱり無くなるのだろうか?彼らは、悲しむだろうか?それが最大かつ効果的であることは間違いなかった。
「キレる若者」が社会現象になったあの頃、
わたしはテレビで話題にされているあの子達と自分を比べてまるで別世界の怖い出来事だとは到底思えなかった。
どうして大人は、子どもの心がわからないんだろう。みんな子どもだった時期があったのに。わたしがあの時必要だったのは、両親の幸せと、信頼と愛情だけだった。
「子どもの時の気持ちを決して忘れてはいけない」淡いブルーの壁紙の模様がわたしの感情を見守っている。
思い出すことがなかった記憶が、思い出すことのなかった痛みと一緒にわたしを連れて戻した。「親もにんげん」やっと出会った言葉と、少女のあの子が大きな決意をしたあの部屋に。