横隔膜が緊張する理由とそれを取り除くメリット
前回は、横隔膜のロックを外す方法について書きましたが、今回は、横隔膜はなぜ緊張するのか、それしてそれを取り除くとどうなるのかについて書いてみたいと思います。
横隔膜のあまり知られていない働き
横隔膜は基本的には呼吸のためのポンプですが、それに付随した働きもあれば、それとは別の働きもあり、その“別の働き”に関してはあまり一般には知られていません。
そして、その“別の働き”こそが横隔膜が緊張する大きな原因だったりします。
その別の働きとは、『感情の蓋になる』というものです。
感情には、喜怒哀楽があり、他にも怖れや焦り、心配などがありますが、人はネガティブな感情ほど抱え込みやすい傾向にあります。
楽しかった記憶は薄れやすいですが、怒りや怖れなどは長く尾を引くことが多いですよね?
もちろん印象に残って、長く記憶に残る楽しものもありますが、細かいディテールでいうと圧倒的にネガティブな方が記憶に残る。
それは、ポジティブな感情はその場で味わった後、速やかに昇華されていくからです。
本来、感情とはその場で十分に味わい尽くして、それが済んだら手放していくことが大事なのですが、ネガティブな感情は、様々な理由からそれを抱え込みがちでなかなか手放していかれない傾向にあります。
そうすると身体はどうするか?
昇華させることもできず、発散させることもできない感情は身体の中(特に腹部)に溜まっていきます。
例えば、怒りが爆発することを「腹に据えかねる」と言いますが、逆に言えば普段は腹に据えているわけです。
そうして腹部に溜まった感情は、昇華なり発散なりをさせない限り腹部に溜まっていきます。
そして、それを爆発させないようにするためにの蓋が横隔膜なのです。
ですから、普段からそうした感情を飲み込んで、発散する機会がない方は横隔膜が硬く緊張して、呼吸が浅くなるのです。
本質的には感情を解放させた方がもちろんいいのですが、なかなかそうはいきませんし、以前に感じた怒りを全く関係ない現在に爆発させるというのも難しいかと思います。
そこで、施術の中で横隔膜をリリース(解放)し緊張を取り除くのですが、そうするとどうなるのでしょうか?
横隔膜をリリースするメリット
1.呼吸が深くなる。
これは前回の記事に書きましたが、ロックが外れて横隔膜が十分に動くことができるようになると起きることです。
呼吸が深くなることのメリットは数多くありますが、リンパの流れが良くなる、副交感神経が働きやすくなる、酸素がたくさん入ってくるので疲れにくくなる、などが挙げられます。
2.身体の動きやすさの向上
横隔膜は胸郭(背骨と肋骨と胸骨でできた籠)に張っている膜で、硬さが増すと胸郭も当然動きにくくなります。
胸郭は首の土台ですし、肩甲骨がくっついて腕を動かす土台になっていますし、骨盤と繋がる筋肉などもあるため腰から下の動き下半身の動きにも関連してきます。
つまり全身が動くための土台なのです。
その胸郭の中心にある横隔膜が緊張したら、それらの動きが阻害されるのはよく分かると思います。
3.感情の澱みが流れ始める
抑えられていた感情の蓋を取り除くことで、溜まっていた感情は動き出すのですが、もちろんそれは一気に爆発するのではなく、治癒力の流れによって順次解消されていきます。
その方の無理のない範囲でのリリースが促されるわけです。
もちろん、横隔膜をリリースしたからといって怒りや心配などの根本が解決されるわけではありませんし、解放されてもまた溜まることはありますが、一時的にでも澱みを解放したことで、ストレスに対応できるだけの余力を獲得することができるのです。
そうした状態になれば、外的な出来事に対しての妙案も浮かぶというわけです。
ということで、少し長くなりましたが、横隔膜が緊張する原因とそれを取り除くメリットについて書いてみました。
これを踏まえて、また前回の記事を参考に横隔膜のリリースに挑戦してみて下さい。
次回は、実際にいわさき整骨院で横隔膜のリリースによって劇的な変化があったケースについて書いてみたいと思います。
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