投資と情熱
どうも、マイクロ投資家IWAOです。
僕が投資をするときに、あるベンチャーキャピタルの知人に「投資するときに重要なポイントは何ですか?」と相談したことがあります。そのときに「経営者の情熱だよ」と言われました。
投資といってもお金の投資だけに限りません。時間投資、自己投資、技術投資など多岐にわたります。「情熱 名言」でググると沢山ヒットしますし、歴史的にみても重要なワードっぽいですね。
そして、情熱への問いは、ビジネス、転職や面接、趣味や恋愛などあらゆる場面で出くわします。何か重要な意思決定をするときには、自身の情熱に問いかけ、対象の情熱を見分けるようなケースは少なくありません。
調べていると、情熱を掘り下げた「パッション・パラドックス」という本を発見しました。この本は個人向けに情熱の管理について書かれています。元マッキンゼーの方が書いてますので説得力ありそうですね。
今回は、重要な選択を間違えないように、投資に値する情熱を「ビジネス」の切り口で解説してみたいと思います。
ネガティブな情熱とは?
前提として情熱はすべての人が持っています。すぐに思いつく情熱としては、モテたい、稼ぎたい、有名になりたいなど、欲望から情熱が生まれるケースです。僕も最初に起業したのが20代でしたので、稼ぎたい気持ちが突っ走っていましたw
本書によると、情熱は良い悪いに分類できます。まずはネガティブな情熱(強迫的情熱)を知る必要があるかと思います。
簡単に言うと、稼ぎたいから起業するのではなく、やりたいことがあって起業する動機はOKです。起業して稼げることを知り、お金が活力になってしまうのはダメ、ということです。
経営者が金の亡者になると、詐欺まがいのビジネスに手を出したり、少しの失敗で思考停止して事業を壊すリスクが考えられます。つまり、ビジネスに投資するなら、情熱的に見える経営者ではなく、情熱をマネジメントできる経営者が前提になるかと思います。
心理学で言うと、以下の情熱を注ぐポイントを抑えて、長期的に組織を存続するための戦略を立てられる方のほうが、顧客や従業員にとってメリットが大きいかと思います。
個人の能力を証明するより組織の成長
短期的な成果よりプロセスに着目
悪口とドーパミン
あなたのまわりにずっと批判的なことを言う人はいませんか?傍からみるとよくまあそんなにネガティブに情熱を注げるなと思いますよね。しかし悪口を言うとドーパミンが放出されるんですよね。
本書ではこのドーパミンについても多く語られています。ドーパミンが出ると本人は楽しい気分になります。そして、例えば悪口を言えば言うほどドーパミンは放出され、どんどんエスカレートしていきます。
制御できない人は、快楽順応という状態になり、過剰に自身の評価を気にしだします。彼らは失敗に弱くて、バーンアウトしたり、モラルのない行動に走りがちとのことです。
つまり、サステナブルさが着目されている現代において、ドーパミンの分泌が過剰な経営者には、投資しないほうが安全かと思います。かんたんな例だと、経営者が他人や他社の悪口を言ってるかに着目してみましょう。
情熱とモチベーション
続いて良い情熱の話に入っていきます。心理学では、有能感・自律性・関係性が高まる環境を作れれば、モチベーションが維持されるという「自己決定理論」が着目されています。
情熱を注ぐ対象として、モチベーションを維持するためには、自己決定理論を満たすことは不可欠とのことです。組織を人としてみれば、ビジネスにおいては組織づくりに情熱を注ぐことは、情熱がある証拠かと思います。
たとえば、以下の三要素は、僕がマネジメントするときに意識していることです。かっこいいビジョンもいいですが、メンバーのモチベーションを上げるために、管理者がどんな工夫をしているのかは重要ですね。
信頼して責任を与えて自律性を促す
謙虚な姿勢で長所を引き出し有能感を与える
尊重して同じ目線で関係性を構築する
職場が活気に溢れていたり、個々のやる気を感じることができれば、経営者がどれくらい組織に情熱を注いでいるかが伝わるかなと思います。しかし、事業に投資する前に判断するのは難しいかなと思います。
熟達思考
本書では「熟達思考」という思考法が紹介されています。要は成功者の思考法がまとめられていて、6つの要素それぞれを実践するための方策が書かれていました。
まとめると、情熱を内に秘め、現場のプロセスに目を配り、モチベートに注力し、謙虚なスタンスで、重要度を識別できるタイプの経営者は、事業を存続しやすいので、投資する価値があると思われます。
まとめ
ビジネスを継続させて価値を提供しつづけることが、結果的に顧客や従業員などの助けになると思っているので、事業に対して長期的な情熱を注ぐことができることが投資したくなる経営者の条件かと理解できました。
逆に、強迫的な情熱の特徴は、狩猟時代が思い浮かびました。まさに「ティール組織論で言うRedレベル」に酷似していると考えられます。
投資する側でも同じで、リターンがいつ見込めるか、苦難を乗り越えられそうか、フィットしているかという観点より、自分が長く寄り添える情熱があるかという観点を投資判断に使おうと思いました。
ではまた!