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大坂天王寺動物園(2023/1/29・2023/2/4) 前編
1.初めに
こんにちは。こんばんは。IWAOです。
今回は、大坂天王寺動物園へ行ってきました。天王寺動物園で面白かった点や見どころポイントについて解説していきます。
今回は、非常に長いレポートとなってしまいました。よって、前編と後編の2つに分けます。全部で12編の構成になっており、7編からを後編とします。
2.構成
天王寺動物園は、入り口から入館し、右側が鳥の楽園、クマ・ホッキョクグマ舎、チンパンジー、猿・ヒヒ舎、夜行性動物舎で構成されています。左側は、フラミンゴ舎、爬虫類館、アフリカサバンナ、猛禽舎、レッサーパンダ舎、ツル舎などで構成されています。
また、大正4年(1915年)に開園した長い歴史を持つ動物園となってます。動物の展示は、動物の生息地の景観を可能な限り再現し、そこに暮らす動物の様子を紹介する「生態的展示」を行っています。つまり、現地の自然を切り取ったような展示を行っています。
3.クマ舎・ホッキョクグマ舎
天王寺ド仏縁では、3種類のクマが展示されています。それは、「マレーグマ」「メガネグマ」「ホッキョクグマ」の3種類になります。私が、面白いと思った点は、「最北端と最南端のクマが一か所で見ることができる」という点です。
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なかなか表に出てくれないので、シャッターチャンスがいつ来るのかハラハラしました。
マレーグマは、東南アジアに生息し、メガネグマは、南アメリカの熱帯林に生息しています。この2種とホッキョクグマの違いは、「住む気候が違う」という所にあります。そして、住む場所が違うが故に、起こった違いがあります。それは、「北のクマ(ここでは、ホッキョクグマ)の方が大きくなる」ということです。つまり、クマの展示でベルクマンの法則が見られるということになります。
ベルクマンの法則とは、「恒温動物は、北側に上がれば上がるほど体が大きくなる」というものです。恒温動物なので、体温を一定に維持します。しかし、寒い場所の場合、体の中の熱が、簡単に逃げてしまってはいけませんし、暑い場合は、体がオーバーヒートを起こしてはいけないため、熱を外に逃がしやすくしなければなりません。特に、寒い地方に住む場合、「体を大きくすることで、空気と接する表面積が小さくなるため、体が大きくなる」という説明ができます。下記にその計算をしたものを載せました。そちらをご参照ください。
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1体積辺りで空気に接する表面積が小さくなることが分かります。
実際、ホッキョクグマは、めちゃくちゃでかいとの印象を抱きましたが、マレーグマ、メガネグマを見た時、「大人の男の方が大きいな」と逆に小さいことに衝撃を受けました。動物園の多くでは、生息域で展示が分類されますが、ここでは、「同じクマで分け、クマ同士の比較ができる」ということで非常に面白い展示でした。
4.サル・ヒヒ舎
ここでは、チンパンジーを除く霊長類が展示されています。特に見るべきは、「マンドリル」と「ドリル」の2種類になります。マンドリルは、特に、オスになりますが、顔が赤と白で非常に派手な鮮明な色をしています。また、お尻の部分も赤と青で非常に目立つ色をしています。しかし、彼の個性でもありますが、食べ物は、指先でつまんで食べる繊細な一面を持っています。一方のドリルは、マンドリルと違い、全身が黒っぽいです。よって、両者の区別は簡単につきます。そして、天王寺動物園で見るべき動物の一つは、この「ドリル」になります。日本の動物園で唯一飼育されている霊長類になる、非常に珍しい動物になります。
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この2種を見た時に、私が感じたことは、「何が違うのだろうか?」ということです。見た目が違うのは分かりますが、両者の学名は、「Mandrillus sphinx(マンドリル)」、「Mandrillus leucophaeus(ドリル)」となり、特に、最初の「Mandrillus」が共通していることから、マンドリル属、つまり、両者は、分類学的にはとても近いことが分かります。他にも「生息地が若干違うのか」や「ニッチ(生態的地位)が違うのか」、つまり、「見た目以外での違いがあるのか」ということを考えました。動物の飼育員の方に確認した所、ニッチだけでなく、生息地も多くが被るとのことでした。また、両者ともにオスの方が大きくなり、群れを率いて生活するため、私が調べた感じだと、共通点の方が目立つということになりました。飼育員の方からのアドバイスだと「霊長類の専門の研究機関に聞けば分かるかも」ということでした。私個人では、納得できない点が多いので、いつか「ドリルとマンドリルは、見た目以外でどう違うのか」ということについて明らかにしたいと思います。
5.鳥の楽園
ここでは、川、池などの水辺の環境を再現し、水辺の自然に棲息する鳥を展示しています。展示の中心となる鳥は、オシドリ、カワウ、マガモ、ゴイサギ、アオサギ、シュバシコウ…などと非常に多くの鳥が見られます。すべてではありませんが、「日本に生息している鳥の多くがここに展示されている」という所がポイントで、ここだけで、日本に生息する鳥の多くが見られるという非常に美味しい展示になります。
しかし、何よりも面白い点は、展示の構造そのものになります。池の部分が入口となり、川の上流部に向かって導線が設定されているため、水系を旅しているような気分を味わえます。
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より人工物であることが薄れていると感じます。
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時期的な問題もありますが、鳥によっては、「繁殖期」を迎えた者もおり、その繁殖の様子を垣間見ることができます。私は、何か所かで、アオサギが営巣する様子を見ることができました。つまり、この鳥の楽園の面白い所は、「自然の一面を切り取ったかのような再現展示が行われている」ということです。別種の生き物と同じスペースで飼育されているのは、どの動物園の展示でもあります。しかし、普段の鳥たちの生活と同時に繁殖まで一つの展示スペースでみることができるという点で、鳥たちの生活環をまとめて見ることができるのは、ここだけだと思います。その上、水辺の再現のおかげでより鳥たちが施設の中で飼われているという印象よりも自然の一面を除いているという印象を強めていると感じます。
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つまり、野生のアオサギが動物園周辺に住み着いているということです。
飼育員さん曰く、ペンギンの餌を盗みにくるため、厄介だということです。
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再現展示の面白さだけでなく、オシドリやマガモのように雌雄で見た目が全く異なる鳥もいます。また、日本に稀に来るクロトキ、サカツラガンなどと東アジアで生息しており、中国、朝鮮半島で越冬するのが中心となり、会えるようで会いにくい鳥もいます。そのような鳥たちを探すのも面白いかもしれません。
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6.夜行性動物舎
ここでは、夜行性の動物たちが展示されており、その動物たちの中でも最大の見どころとなる動物、いや、天王寺動物園最大の見どころとなる動物は、「キーウィ」になります。
キーウィは、ニュージーランドにのみ生息する固有種でニュージーランドの国鳥になります。最大の特徴は、見た目がキウイフルーツみたいということです。鳴き声が「キーウィ」と聞こえることから、キーウィと名前が付けられ、キウイフルーツの見た目がキーウィみたいであることから、キウイフルーツと言われるようになったそうです。羽が退化し、飛べない鳥になり、非常に長い嘴とを使い、ミミズや昆虫をつかまえて食べています。
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キーウィそのものの大きさは、サッカーボールくらいになります。
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(*↑この動画で鳴き声を聞いてください。)
私の感じたキーウィの面白さは、1種類のみではないこと、つまり、複数種(5種類くらい:筆者確認で)いるということになります。私が、動物園に確認をしたところ、「キタジマキーウィ」を飼育しているということが分かりました。では、5種類のキーウィは、どのように違うのかについて質問しましたが、「分からない」との回答を得ました。残念ながら、ここは未解決のままになってしまいました。
ただ、私は、キーウィが複数種いる理由は、「ニュージーランドの地形」に原因があると考えています。ニュージーランドは、日本と共通点があり、「島国であること」や「山地などで地形がぼこぼこしていること」が挙げられます。特に、「山地で地形がぼこぼこしている」ことから、本来キーウィは、1種類くらいの少数の種であったが、地震、造山活動などで生息地が分断されて別種になったと私は、考察しています。つまり、地理的に分断されたことで、キーウィは、複数種生まれたのではないかと考察しています。
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そのキーウィを展示している動物園は、日本ではこの「天王寺動物園のみ」となります。つまり、天王寺動物園に行く際は、必ずキーウィを見るべきということになります。ただ、キーウィ以外にもキンカジュー、エジプトルーセットコウモリなど、様々な夜行性の動物が展示されています。彼らの生態の解説も非常に面白かったです。よってキーウィ以外の夜行性の動物に会いに行くものいいと思います。