『初恋、ざらり』と、障害当事者な私。
テレ東の深夜枠で放送中のドラマ、
『初恋、ざらり』。
ざくざくろ著の同名漫画が原作。
「ドラマがすごく良い」と姉から勧めてもらい、私も最近地味にどハマりしている。
(地味になのか、どハマりなのか、、🤔)
以前の記事でもお伝えしているように、私自身、障害当事者でありつつ、精神保健福祉士資格を持っている。一応。
そんな立場の私が一視聴者として感じたことを、つらつらと書いていきたいと思う。
むっちゃ長文なので、休憩しながら読んでいただければ幸い。
■作品のあらすじ
かいつまんで説明すると、軽度知的障害と自閉症を抱えるヒロイン・上戸有紗(小野花梨)と、アルバイト先の社員・岡村龍二(通称"岡村さん"、風間俊介)の二人を中心に繰り広げられるラブストーリー/ヒューマンドラマ。
公式サイトより、以下あらすじ引用。
鬼長いので、本編観たことない方はざっと把握していただければ。
■「上戸有紗」と私の共通点
有紗ちゃんは知的障害の手帳なので、療育手帳(東京都では愛の手帳とも呼ばれる。自治体によって呼称が異なる)。
私は精神の方なので、精神障害者保健福祉手帳。
手帳の種類に違いはあるものの、同じ手帳所持者なので、共感する点が多々ある。
(ちなみに自閉症は発達障害で、発達障害は精神疾患に該当するので、メンタルヘルス持ちという意味では私と有紗ちゃんは一緒。)
加えて手帳以外にも、有紗ちゃんと私の共通点があまりにも多くて、これ私の話なのでは??と思うくらいなので、ひとまずリストアップしてみることにした。
生々しい内容も含むので、うわっっ(ドン引き)となったら、物凄いスピードでスクロールして飛ばしていただきたい。
年齢が同じ。25歳。
自責の念がめちゃ強い。
彼氏いない歴=年齢なのに、経験人数はかなり多い。
性交渉に対して、危険なレベルで寛容。ガードが弱すぎる。自暴自棄という表現が適当かもしれない。
(有紗は「こういうことでしか役に立てない」という思いが強いので、その点は私と違うかも)好きな人が10歳年上。且つ、バイトの子×社員の恋愛という同じ状況、、
(私の場合はバイト辞めた後からの関係だが)好きな人に、手帳所持者であると伝えられない。これは基本みんなそうやな。
なんだか自分語りになってしまったが、とにかく状況が酷似していて衝撃だった。
それもあって、このドラマにハマり始めたわけで。感情移入が止まらない、、
始まって数話は、有紗と岡村さんが両思いになって、付き合い始めて、困難はありつつ二人で乗り越えられていた印象。
が、最新話の第8話で明らかに雲行きが怪しくなってきて、私自身色々と思うことが出てきた。
なので、私が感じたことを率直に、できるだけ暗い雰囲気にならないように書いていこうと思う。
以下、提出先不明の感想文です。
■有紗の気持ち
有紗の抱える自立への強い願望。
「普通になりたい」「成長したい」「周りのみんなの役に立ちたい」という気持ち、痛いほど分かる。
無理しなくていいんだよと言われても、無理してるとかじゃなくて、彼女自身が一歩前に進みたいんですよね。
私としては、納得するところまでやらせてあげるのがいいのではないかな、と。
支援者としての立場で言うと、やっぱり本人の希望・意思を一番大切にしなくちゃならない。
ただ今回は会社の業務の話だし、有紗自身はクローズ(障害のことを会社に伝えない)で入社してるわけだからなぁ。
障害特性の影響でミスにつながったとしても、会社側からしたら「それは先に言ってくれなきゃ困る」ってなるもんなぁ…。
難しい。
次回予告の段階で、有紗が大ミスをして、つらい思いをする展開が予測できるので本当にきつい。
有紗ちゃん泣かないで…あなたが泣くとその100倍、私が号泣してまうねん。
ハグしてあげたい。本当に。
■岡村さんの気持ち
「配車は、有紗ちゃんには無理じゃないかな」と言った岡村さんの心境。
こちらもすごくすごく、理解できる。
そのままの有紗でいい、そばに居てくれるだけでいいという思いが、まず前提としてあって。
有紗の特性上、配車業務はトラブルを引き起こすことが容易に想像できたから、そのせいで有紗が傷つかないように、守ろうとしたんだよね。
危険因子をできるだけ排除したかったというか。
有紗の希望を岡村さんが遮ったように感じた視聴者も多いかもだけど。
私としては、確かに有紗には厳しそうな業務だし、二次障害を併発しそうではあるから、岡村さんの行動も正しいと思うんだよね。
岡村さんは、二次障害のリスクから有紗を守ろうとしているという捉え方もできると思う。
もちろん、過保護になってしまうと、障害当事者の希望や自由の侵害につながるけど。
岡村さんの行動が全部、彼なりに有紗のことを想っての行動だということは、ここまでドラマを観てきた視聴者なら分かるはず。
障害についてよく知らない状態から有紗と付き合い始めて、情報収集して、理解しようと努力して。
シンプルに立派ですわ。
有紗と岡村さん、両者とも間違ってないということを、とりあえず私は強調したい。
(公式インスタグラムのコメント等読んでると、障害自体や障害への配慮について批判的な方も結構いるので。もちろん感じ方は人それぞれだし、考え方を強要するつもりはないが)
有紗と岡村さんはこれを機に一度、有紗のやりたいこと・目標と、それに対する岡村さんの考え方について話し合った方がいいかもしれないですね。
■岡村さん's 母の不安
有紗から障害のことを打ち明けられ、岡村さんのお母さんが思わず口にした言葉。
「子どもに遺伝とか…」
これはもっともな不安。
残酷かもしれないが、知的障害は確かに子どもに遺伝する場合がある。
統合失調症を始めとした精神疾患・神経症も子どもへの遺伝の可能性があるので、正直私も他人事ではない、、
話が脱線するが、障害者の健康・からだについても実は知っておいてほしいポイント。
精神疾患の治療に使われる薬は、やはり強烈な作用のものが多いので、長期の投薬治療でじわじわと身体に影響が出るケースは多い。
統合失調症の患者さんの平均寿命を、統失ではない人と比べると、10〜25年くらい短いという統計がある。
もちろん本人の自死のケースが多いことも関係しているが、長期にわたる投薬の影響も大いにある。と、私は思ってる。
ちなみに自分の場合で言うと、アカシジアや生理不順、乳汁分泌を筆頭に様々な副作用を経験済み。
ただ振戦や首こり、肩こりはもともと主症状の一つなので、副作用なのかどうかぶっちゃけ判断がつかない。
メンタルヘルスあるあるかもしれない。
体重増加も代表的な副作用だけど、私自身はどちらかというと、体調悪いと食べられなくなってしまうタイプなので、今のところないですね。
(以上、あくまでも精神疾患のお薬についてのお話。)
本筋に戻る。
つまり岡村さんのママさん(※有紗が劇中でこう呼んでいる。可愛い)が遺伝に対して不安を抱くのは、無理もないことで。
しかも岡村さんのお兄さんはおそらく、岡村家の幼少期〜現在までの話を見る限り、アスペルガーか何らかの発達障害気味…?と個人的に思っていて。
絵に描いたように"真面目"な子どもだった岡村さんと対照的に、勉強が苦手で両親にいつも叱られていたお兄さん。
だけど絵画の才能は抜群にあって、コンクールで受賞までしている。
そんな長男を育ててきた経緯もあって、岡村母は有紗の障害について優しく受け止め、理解を示しつつ、一方で遺伝を気にしたのかな、と勝手に想像した次第。
「遺伝の心配とか、本人に直接聞く!?」と感じた視聴者もいるかもだけど、私は岡村ママさんの反応、優しめだったと思うな…。
障害者って知った途端、フィルター発動してもっと酷い対応してくる人なんて死ぬほどいますからね😌うんうん。
■まとめ:結局なにを言いたいか
『初恋、ざらり』は、とにかくリアルで綿密に構成されている、良いドラマだと思う。
私は当事者として感情移入して観られるし、主人公以外の気持ちも理解できるし、勉強にもなる。
放送を観た後に、姉上と感想をLINEで話し合ったりもする。
一点、すごく気になっていること。
前述したように本作の公式のインスタがあって、本編を切り取ったリール動画の投稿もされていて、それ自体は私も楽しみに見させてもらっているのだが。
投稿へのコメントを読んでいると、やっぱり有紗と同じく障害を抱えている方や、身近に障害者がいる方からの共感の声や意見などといった内容もある。
数話前に、ベテランのパートさんが有紗に対してきつく当たる場面があって、そのシーンの動画が投稿された。
(もちろんそのパートさんにも事情があったりして複雑なのですが。省略)
それに近い体験、つまり「職場のベテランスタッフから、いじめみたいな扱いを受けた経験があり、不快だった」「家庭の事情とか知らないよ」といった主旨のコメントが1件ついていて。
私も似たような経験をたくさんしてきたし、正直共感。プライベートについて職場のスタッフに全部曝け出せとは言わないけど、「ちょっと今、家の方が大変でね」くらいの発信はした方が、お互いのためになるんじゃないかと思う。
ただ感情的に当たり散らしても何も生み出さないし、お互いイライラゲージがMAX振り切っていくだけですし。
コミュニケーションって大事。
で、問題はそのコメントへの第三者からの返信。
『認知歪んでんな』という一文。
言葉が足らなすぎてコメ主に言ってるのか、はたまた体験談に出てくるイビリパートさんに向けて言ってるのか不明だが、たぶん前者だろう。
最低の返信だと思った。
この返信をした人、ドラマの主旨わかってるのかな、、
知的も精神もそうだけど、障害や持病があると多かれ少なかれ周囲に迷惑をかけたり、トラブルを起こしたりして生きてきている。
だから本人も、健常者以上に周りからの言葉や行動に敏感になったり、繊細だったり、考えすぎたりする。
まさに有紗のように。
そんな"障害"とか"生きづらさ"をテーマにした作品のコメント欄で、普通そういう発言するかなぁ。
相手がどんな気持ちになるか、想像できないのかな。認知が歪んでいるのはどちらか、一度考えた方がいいんじゃないかな、この方…。
と、正直思ってしまった。
もちろん経験談を書いて投稿した方について詳しいことは分からないし、もしかしたら心の病も何もない普通の方なのかもしれない。
けど、そうだとしても傷ついた過去について自己開示したところに、さらに傷口に塩を塗るようなこと言われたら、誰だってbreaking heartするよね。
(なんだかまとまりがなくなってしまったけど、つまり、そんな酷いこと言う必要ある?可哀想すぎるよ。ということ)
公式の他の投稿でも、有紗ママが岡村さんに対して「障害のことどう思ってるん?あんた有紗のこと面倒見られるん?」と諭すシーンがアップされてて。
それに対して「このお母さんは厳しく言い過ぎ」みたいなコメが結構ついていて、すごく複雑な気持ちになった。
障害児を25歳まで育て上げるのが、どれほど大変なことか…。
有紗ママはいつだって、有紗のことを考えて厳しいことを言っているんだって、第1話の冒頭でもう示されていたけどなぁ。
(幼い有紗が家の壁いっぱいに絵を描いてしまっても、叱ることなく優しく有紗を抱きしめていた、、ママみが深い、、)
結論。
みじかーーい切り取り動画だけじゃなくて、コメントするならちゃんと本編観てからにしていただきたいな。と、個人的に感じた。
チキンなので直接は絶対言えないけど。
もちろんプロモーションの一環で公式も載せてるから、仕方ないっちゃそうなんだけど。
インスタもYouTubeも短いのが主流になったり、サビだけ歌うカラオケが出現したり。
エンタメ・情報のショート化がますます進んでいて、オバハンはついていけません。
映画も音楽もお笑いも芸術も同じで、背景を分かってないと、提供する側が本当に伝えたいこととか、面白さを理解できないのではないかな、と。
まぁ結局「感じ方は人それぞれでしょ」って言われたら、論破されてしまい何も言い返せないんですがね。
その通りなんだけど、自分が発した言葉を受け取る人がいることを意識して、発信してほしいな。
ドラマ『初恋、ざらり』、良作なのでぜひ。
私も体調とか生活が安定したら、原作読みたいな。
あと、オープニング曲とエンディング曲が素晴らしい。
a子『あたしの全部を愛せない』は思わずサビを口ずさんでしまうし、ヒグチアイの『恋の色』は聴くだけで感動の名シーンを思い出して泣いてまう、、
障害ある人もそうじゃない人も、色々あるし、みんな大変だよね。
私も体調悪くて動けない日がちょこちょこあるけど、暑さも落ち着いてきたし、少しだけ先が見えてきたし、ちゃんとご飯食べてがんばろ。
下北沢のお店、素今歩(すこんぶ)でゲットした栓抜き。可愛すぎる。
これで安心して、旅先で瓶ビールを買える。
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