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葉っぱビジネスに学ぶ、高齢者が活躍できる社会とビジネスの作り方
会社員時代からずっと“シニアの活躍”は大きなテーマだった。かなり勉強もしたし、いくつかの事業プランも考えたりした。でも、なかなかうまくいかなかった。多くの企業でも常に考えられていて、社会課題でもある。そこで、うまくいっているシニアの活躍を考える第1回。(シリーズかもw)
四国でいちばん少ない人口の町で生まれた
女性と高齢者が活躍するビジネス
先日、紹介した徳島県勝浦市上勝町のゼロ・ウェイストのお話でも、少しだけ紹介した「葉っぱビジネス」。65歳以上の高齢者が約半数を占める人口2000人の小さな町で成功した有名なビジネスのひとつです。テレビやメディアでも多く紹介され、かなり有名な事例ですが改めて紹介します!
↑もっと詳細を知りたい方は、こちらの本がおすすめ。どんな経緯でビジネスとして盛り上がったのかが克明に記されています。めちゃ面白い!
上勝町では年間に数千人規模の方が視察に来るそうです。なのに、その後同じように成功する事例は少ない。なぜなのか? やり方を知っている、マネしたらできる。そんなことではないということです。
この成功を導いた若き農協職員だった横石氏は、町民からの圧倒的な支持とその功績によって役場への転籍という異例の待遇を受け、さらにこの葉っぱビジネスが第三セクター(株式会社いろどり)となり、その代表者(現在は、代表取締役社長)となりました。様々な賞も受賞している方です。
上勝町の葉っぱビジネスが成功したのは、彼という存在があったからです。では横石氏は何をしたのか? 著書で書いた彼なりの分析は。。。
①現場主義
②女性と高齢者を主役に
③「気」を育て・繋がりを築く
④仕組みを作って回す(場面▶️価値を生む▶️情報)
⑤葵の紋所を作る(ブランディング)
簡単にどんなことが必要なのかを整理します。
①現場主義▶️顧客の課題(潜在ニーズ)に気づく
彼は商品が使われる現場である料亭に通い詰めました。何がどんなふうに使われるのか? 使う人はどんな環境や状況にいて、どんなものを求めているのかを、自分の足で徹底的に調べまくったのです。
②女性と高齢者を主役に▶️今までと同じではダメ
横石さんは、新しいことを始めるためには女性を表に出す形にしたかったのだそう。だから最初から、女性や高齢者ができるビジネスを探していた。
なぜなら、実際に世に中のいろいろなことの7〜8割を女性がやっているのに対し、決まりきったことしかしていない男性が偉そうに評論家になっているのが、よくあるパターンだという。
ただ当たりそうなビジネスを考えるのではなく、自分たちの持つ資源(葉っぱと女性や高齢者)で可能なビジネスという制限があったからこそ、継続できる形になっているのだと思う。
③「気」を育て・繋がりを築く▶️人財育成がいちばん大事
横石さんが言う”現場主義”は、実は働く人たちの現場を大切にするという意味も大きいんです。そして彼女たちがやる気を出せるように、頑張ろうと思えるように、さまざまな声がけと仕組みづくりをしました。
↑横石さんは彼女たちの気持ちを盛り立てるためのメッセージや、市場における必要情報を流すことを日課としているそうです。
視察に来た方達がうまくいかない理由は、やり方や売り物をマネるだけだから。ビジネスで結果が出るかどうかで、いちばん大切なのはそこで働く人たちです。いろどりでは、横石さんの働きかけの結果、多くの女性やおばあちゃんたちが「働くことを楽しみ、もっと頑張ろう!」と思うようになりました。そして、多少の無理も「仕方ないなぁ、やっちゃるか!」と踏ん張る。だから、うまく機能しているんです。
④仕組みを作って回す(場面▶️価値を生む▶️情報)
ビジネスとして大切なポイントは、誰もができるような仕組みをつくること。横石さんはその仕組みづくりが本当に上手だ。
売り上げランキングで競争心をあおったり、上勝町という“自然があるから提供できている”と文脈を変えたり。
無線FAX▶️POSシステム、パソコン、ケータイなどの導入も、通常であれば抵抗したり使われなくなりそうなところを、使うことで仕事に有利になる点を利用して、最低限の機能だけに抑えるなど工夫をしたことで、80歳過ぎたおばあちゃんたちが使いこなせているあたりも素晴らしい。
⑤葵の紋所を作る(ブランディング)
ビジネスの仕上げとなるのがブランディングだ。上勝町産に意味をつけていくわけだ。「おばあちゃんたちが作ってくれた」「水も空気も美味しい上勝町で」など、自分たちがやっていることを自信を持って発信したことで、そのストーリーが価値となる。
大切なのはハードではなくソフト
それは、どんなビジネスにも応用できるスキル
横石さんが語った”成功の秘訣”はソフトスキルばかりだ。つまり、誰もが持つことができる思考や手法ばかり。
でも、私たちはいつもハードスキルの責任にしていないだろうか?
「コレがないから」「この人だから」とか。
でも、横石さんのようにたった1人の熱い思い、ソフトスキルで対応することで周りを変えてしまうほどの効果が生まれる。
変革はたった1人からでも可能! ソフトスキルだけでできる!
自分の思考を変えて、行動を変えたら、結果は必ず変わります。
葉っぱビジネスが上勝町に
与えた恩恵は計り知れない
葉っぱビジネスは年間で2億6000万円を売り上げ(本の出版時期)、そこで働く高齢者の生き甲斐となった結果、町営老人ホームが廃止されたそうだ。さらに過疎化を押さえ、Uターン%Iターンする若者たちが増えている。
さらに、2003年に行われたゼロ・ウェイスト宣言も、葉っぱビジネスによる町民の意識変革があってこそだったのだと強く確信しました。
上勝町のゼロ・ウェイスト宣言の記事はコチラから
YoutubeでもSDGs関連の発信をしています。
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