小児科医は「家族をまるごと」診る仕事
初めてnoteに記事を執筆いたします。
さいたま市緑区の小児専門【岩間こどもクリニック】院長の岩間義彦です。
開業から25年が経ち、社会や生活が変わってきたことで、小児医療を取り巻く環境も日々変化しております。
しかし、いつの時代もこどもを想う親の気持ちは一緒です。
大切な我が子を心配するパパ・ママのお役に立ちたいと思い、これから定期的にnote記事をアップしてまいりたいと思います。
今回の記事では、自己紹介の意味を込めて「小児科医の仕事」にフォーカスいたします。
子どもの命を救う仕事の責任は重い
小児科医を目指すようになったのは、医学部時代に脳腫瘍のお子さんの死に立ち会ったのがきっかけでした。
ご両親はお子さんの死をどうしても受け入れらず、取り乱しておられました。その辛そうなお姿が、いまでも忘れられません。
その時の経験によって、私は子どもの命を救う仕事に、医者としての使命を感じ、小児科医を目指しました。24歳のときのことです。
人の役にたつ仕事っていいなあ
私の生家は、明治時代から代々医者の家系でした。
私は四代目にあたります。
内科の開業医をしていた祖父や父の働く姿を見て、私は育ちました。
「お見えになった患者さんはできるだけ断らない」
これは初代の曾祖父から受け継がれた我が家の家訓です。
休日はもちろん、深夜でも救急の患者さんを受け入れていて、救急車が夜中に我が家の前に止まっているのはごく普通の光景でした。
そのため祖父や父に「休み」というものは、ほとんどありませんでした。
私には祖父や父と一緒に遊んだり、家族旅行をした記憶はありません。
そんな祖父や父が、患者さんや救急隊員の方々から「ありがとうございます」と何度も感謝の言葉をいただく様子を見ていました。
その時に「人のためになる医者って仕事はいいなあ」
と思いました。
そんな想いが、子どもの頃から私の心に芽生えて、自然と医師を志していました。
家族の不安を受けとめるのが小児科医
小児科医師として、大切にしている一つに親御さんとのコミュニケーションがあります。
お子さんの具合が悪いと、親御さんはとても不安になります。
いつもは元気いっぱいのお子さんが、ぐったりしていると心配になるのは当然だと思います。
親御さんの気持ちも考えて、お子さんの症状をできるだけわかりやすくお伝えするように心がけております。
心配がある場合は、遠慮なく小児科医師に伝えてください。
それを受けとめるのが小児科医としての大事な仕事でもあります
小児科医は「家族をまるごと診る」仕事
「小児科っていうのは子どもも治すけど、家族も治さなきゃダメだ」
大学時代、先輩の小児科医からよくこういわれました。
子どもだけを治せばいいってわけではなくて、家族の不安も同時に取り除かなくてはダメだともいわれました。開業して25年ほど経ついまでも、こうした言葉を日々噛みしめています。
子どもさんの病気が心配で、毎日診療所に連れてきて疲れ切ってしまうお母さんには、「そんなに神経質になることはないですよ」と声をかけます。
逆に安心しすぎて、急な様態変化を見逃しかねないお父さんには、「夜間の急変にはくれぐれも気を付けて」と夜間救急施設の案内を手渡します。
小児科医はお子さんだけでなく、いっしょにご来院いただいた親御さんの様子にも注意を払い、できる限りのケアをするように努めています。
小児科医の仕事はお子さんだけでなく「家族をまるごと」診る仕事なのです。
小児科の開業医になって子どもが更に「好き」になった
小児科医になった理由に『子どもが好きで小児科医になった』と目にすることは多いですが、私の場合は、子どもの命を救うことに医者としての使命を感じました。
大学病院に勤務している頃は、重病のお子さんと向き合うことも多く、担当医と患者さんの間には「厚い壁」を感じていました。
患者であるお子さんとの距離が縮まっていくように感じたのは、開業してからです。
現在のクリニックで接するお子さんは、比較的軽い症状であることが多いので、いろんなコミュニケーションがとれます。お気に入りのぬいぐるみを抱えているお子さんには、ぬいぐるみトークで「壁」を取り払う努力をします。
開業を機に、患者であるお子さんとの距離が縮まったことで、以前にも増して子どもを「好き」になっていることに気づきました。
これからも、こどもたちやそのご家族のために何か力になれることはないかを考え、日々の診療を行っていきたいと思います。
今回の記事は以上です。
これからパパやママに役立つ記事を連載していきますので、どうぞよろしくお願いします。
岩間こどもクリニック
院長 岩間 義彦
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