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乳幼児健診を不安に感じているママ・パパへ
こんにちは。
岩間こどもクリニック 院長の岩間義彦です。
今回は【乳幼児健診前のママ・パパの不安】というテーマにフォーカスしていきます。
乳幼児健診にお子さんを連れていらっしゃるママ・パパが、健診前からいろいろ心配や不安を抱えられていることを知りました。
そこで今回は、少しでもリラックスして乳幼児健診を受けていただけるよう、この記事を書くことにしました。
ママ・パパからの質問にもお答えしていきます。
【乳幼児健診の目的】
乳幼児健診では、お子さんの月齢や年齢に応じて、定期的に成長や発育発達、栄養状態の確認をします。
身体測定(身長・体重・頭囲・胸囲など)を行い、お子さんに病気が潜んでいないか、また先天性の病気の有無や予防接種についてもお話します。
日頃のお子さんの育児に関する悩みや不安を抱えている方は、医師に相談できる良い機会です。些細なことでも遠慮なく相談されるとよいと思います。
私にとって乳幼児健診は、お子さんの成長を感じるかけがえのない時間である一方で、病気の早期発見につながるかもしれないという緊張感のある時間でもあります。
乳幼児健診を受けることは、お子さんにとっても保護者の方にとってもとても大切なのです。
それでは、乳幼児健診についてママ・パパからの質問にお答えしていきましょう。
【① 乳幼児健診で何か問題を指摘されたらと思うと、不安です】
乳幼児健診に来られる場合、通常の診療で来院されるお子さんと違って、ほぼ元気なお子さんです。身体に問題が発生していることは、圧倒的に少ないです。
もちろん問題がある可能性はゼロではありません。その点は医師としてしっかりと確認しています。
乳幼児健診前に、ママやパパは「何か指摘されたら」と過度に不安がられず、小児科医と一緒にお子さんの成長を確認し、普段気になっていることを医師に聞ける場と考えていただけたらと思います。
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【② 9カ月健診で「おすわり」も「はいはい」もできませんでした。何か問題があるのでしょうか?】
育児書などを読むと「おすわり」は生後3カ月から4カ月、「はいはい」は7カ月から9カ月でできるようになると書いてあります。
しかし、これはあくまで目安です。
6カ月で「はいはい」するお子さんもいれば、まったく「はいはい」しないまま、突然「つかまり立ち」をはじめるお子さんもいます。
もし何か問題があれば乳幼児健診で担当の小児科医から「○○を検査してもらいましょう」と具体的な指示があると思います。
「9カ月健診までに○○ができなければ」と考えるのではなく、お子さんの「○○できる時期には幅がある」ということを理解してあげることが大切です。
そうすることで、ママやパパの気持ちもぐっとラクになるのではないでしょうか。
【③7カ月健診で頭の大きさ(頭囲)が乳児身体発育曲線の帯を大きく超えていて不安です】
7カ月健診で測定した「頭囲」が、乳児身体発育曲線の帯を大きく超えていたのですね。担当医から「検査が必要」といわれなければ、次の健診まで様子をみてよいと思います。
成長曲線は1回の健診の測定値をみるのではなく、健診毎の測定値からできる曲線をみるものです。
お子さんの頭囲の曲線が、乳児身体発育曲線の帯を超えていたとしても、曲線に添うようであれば、様子をみてよいかと思います。ただ急激に曲線から離れていく場合には注意が必要です。
今後エコー(音波)による検査をされてもいいでしょう。X線による被爆が心配なCT検査と違って、エコー検査は赤ちゃんも安心して受けることができます。
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【④ 1歳になりますが「体重」だけ一度も乳児身体発育曲線の帯の中に入ったことがなく不安です】
お子さんの成長曲線が一歳になっても乳児身体発育曲線の帯に入ったことがないというご相談ですね。
ポイントは、お子さんの体重の成長曲線がどんな形を描いているかになります。
お子さんの体重があまり増えず、乳児身体発育曲線の帯から著しく離れいくようでしたらカロリー不足や病気の可能性があります。
お子さんの成長曲線が乳児身体発育曲線の帯にわずかに届いておらず、下の曲線に沿うように上昇している場合は、大きな病気が潜んでいる可能性は少ないと思われます。
このような場合に小児科医が注目するのは、お子さんの成長曲線がこの帯からどのくらい離れているか(乖離度)ということです。今までとくに検査が必要でなかったのであれば、心配するほど乖離度は大きくなかったのだと考えられます。
このようなケースでは、健診の際に計測した体重だけではなく、家庭で計測した体重もこまめにチェックするのがいいでしょう。もし体重の増え方が鈍ったり横ばいになったりしたら、次の健診を待たずに小児科医にご相談ください。
【成長曲線とは】
お子さん(赤ちゃん)の順調な成長・発達を見守るために広く推奨されているのが「成長曲線」を描くことです。最近ではアプリで記録される方も多いようです。
母子健康手帳に掲載されている「乳児身体発育曲線」「幼児身体発育曲線」(それぞれ男の子用・女の子用があります)に体重、身長、頭囲などの数値を書き入れて線で結ぶと、お子さんの成長曲線が描けます。
図1の「乳児身体発育曲線」では、生後12カ月までの赤ちゃんの身長と体重の変化を、書き入れられるようになっています。
この「乳児身体発育曲線」は、健康状態や栄養状態を知るための目安になります。色付けされた帯状の部分にお子さんの曲線が入っていれば正常です。
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NHKエデュケーショナル「すくコム」より画像引用
今回の記事は以上です。
いつもご覧になっていただき、ありがとうございます。
育児に向き合うママ・パパの参考になりましたら幸いです。
岩間こどもクリニック
院長 岩間 義彦
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※note内では個別のご相談・ご質問に対応することが出来かねます。何卒ご了承ください