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文化人物録90(フジテレビ・亀山千広元社長)
#亀山千広 (#フジテレビ 元社長、#テレビ・#映画 プロデューサー)
→1956年静岡県生まれ。早稲田大学在学中に映画監督・五所平之助の書生を務め、映画製作を経験。1980年フジテレビ入社後、編成部、第一制作部などを経て編成制作局局長。主なドラマプロデュース作品に「#ロングバケーション」「#ビーチボーイズ」「#踊る大捜査線」など。2003年フジテレビ映画事業局長に就任。大ヒットした映画「踊る大捜査線」シリーズのほか、「海猿」シリーズ、三谷幸喜監督作品、「テルマエ・ロマエ」などの製作を手がけた。2013年フジテレビ代表取締役社長。2017年 #BSフジ 社長。
亀山さんと言えば、フジテレビの全盛期を支えたテレビ界を代表する名物 #プロデューサー である。当然ながら僕でもその名前は知っていたが、たまたま僕が文化部で #放送業界 の担当になったとき、フジテレビの社長に就任した。著名プロデューサーが社長に就任した人事は当時、大きな話題となった。逆に言えば、フジテレビがそれほど苦境に立たされていて、知名度の高い亀山さんに白羽の矢を立てたのだと言えるだろう。
僕は「踊る大捜査線」の一ファンとして亀山さんには現場でずっと頑張って欲しい気持ちはあったが、おそらく亀山さんにも当時のフジテレビに対する危機感があったはずである。
先日、映画「#室井慎次」制作の経緯について、脚本の #君塚良一 さんから「室井慎次という男を中途半端なままにしていていいのか」という話があったと明かしていたが、亀山さんは「踊る大捜査線」という作品の影響力と存在感を背負い続けていた。もちろん #青島俊作 の #織田裕二 も、室井慎次の #柳葉敏郎 も。作品のインパクトがあまりに強すぎた。その意味で、このたびの「室井慎次」で一つの区切りを迎えられたのかもしれない。
しかし、やはり亀山さんは社長業より、現場のプロデューサーをやっている方がはるかに生き生きしている。
*フジテレビ定例社長会見(2015年2月)
Qフジの番組全般について
(亀山千広社長、K)思ったようにいっていない。木曜日はめざまし、とくダネ、ノンストップというとところが好調だが、ドラマは低迷している。原因を知りたい反面、ドラマづくりが難しいことも認識している。力作が数字を取れていないので、ドラマのあり方を考えないといけない。
Q録画再生の影響か
(K)影響が出ているとは思っていないが、録画してみる志向のファンが多いのかもしれない。水曜10時の枠は残念な数字だが、見逃し配信の数字は来ている。リアルでは負けているが、母数はそれ以上だと思う。
Q4月改編の方針は
(K)ライフイズライフがキャッチコピー。テレビそのもののライブ感がないと視聴者の期待に添うことはできない。ライブ感を出して数字をとる。一緒に呼吸すべきメディアであるべきだと考えている。テレビは生き物という認識を局員が理解する必要がある。G帯の音楽番組、FNS歌謡祭で培ったコラボなどはテレビの醍醐味だ。
Q再編の狙いは?
(K)ネット、SNSのはやりで24時間ニュースが流れている。報道も変えないといけない。前よりもニュースの幅が広がってきているので、どうニュースを料理するのか、手腕が問われる。みんなのニュースは親しみやすさを強調していて、G帯のニュース、つまりニュースジャパンとあしたのニュースを色分けする。自前のアナウンサーによるニュースをチャレンジしたい。分からないことは視聴者目線で伝える。
Q日テレへの勝算はあるか?
(K)そのつもりで行かないとダメ。「ミヤネ屋」の宮根誠司さんはより弁舌がシャープになっている。胸を借りるつもりで行きたい。
Q14時台の番組の競争は激しい
(K)テレビそのものの流れとして、テレビの午後時間帯は数字が何か動いている感じがする。テレビが成長するためのいい機会であると思う。
Q視聴者が生放送を求めている?
(K)視聴者が求めているというより、視聴者に寄り添う番組が評価されているのではないか。同じ息づかいで番組をつくることが大切だ。フジテレビが苦しんでいる理由として、まさに視聴者と作り手の息づかいが違う気がしている。ライブはテレビ局を鍛えてくれる。ドラマは積み重ねて1分1秒のせめぎ合いでつくるが、生放送はテレビが生き物であると認識して取り組んでいかなくてはいけない。