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文化人物録80(崔文洙)
崔文洙(ヴァイオリニスト、新日本フィルハーモニー交響楽団ソロ・コンサートマスター)
→東京生まれ。桐朋学園大学ディプロマコースを経て1988年ソヴィエト政府奨学金を受けモスクワ音楽院に留学。94年同音楽院を首席で卒業し、同大学院に進み97年帰国。同年小澤征爾に認められ、新日本フィルのコンサートマスターに就任。2000年より同楽団のソロ・コンサートマスターを務める。2009年より大阪フィルの首席客演コンサートマスターに就任。2019年より同楽団のソロ・コンサートマスターを務める。
崔さんとは1対1ではお話ししたことはないものの、これまでに新日本フィル公演をはじめ、多くの演奏を聴いてきた。
特に小澤征爾さんが国内でオーケストラと共演するときは豊嶋泰嗣さんか崔さんがコンサートマスターを務めることが多く、小澤さんからの信頼の厚さがうかがえた。
新日本フィルはつねに経営基盤が不安定な部分はあるものの、都内のオケの中では墨田区、錦糸町に本拠地を置いて最も地域密着型のオケとして親しまれていて、コンマスである崔さんの存在は極めて大きい。
小澤さん亡き今、最も音楽的な薫陶を受けた1人である崔さんが今後どのような音楽をやっていくのか大いに期待したい。
*新日本フィル2017~18シーズンラインナップについて
(宮内義彦理事長)すみだトリフォニーホールが20周年となり、新日本フィルの本拠地としてすっかり定着した。ここ数年音楽監督という中核がいない不本意なシーズンが続いたが、昨年から上岡敏之さんが就任し、2年目となる。これから上岡流で鍛えていただく。
新しい音楽、我々の楽団にはない新しい方向性を打ち出す2年目に大いに期待したい。変わる気配は大いにあると聞いている。
(上岡敏之音楽監督)影響や方向性など、新日本フィルとの接点を見つけながら選んだ。ハリウッド映画と言うよりは欧州映画という感じで豪華絢爛なプログラムではないが、皆さんの思いが込められたプログラムになった。
楽譜に虚心坦懐に向かい合い、曲から作曲家の意図を見つけ出していく。聴きやすい曲よりも音楽の中身に注目して欲しい。ゲスト指揮者もソリストも、音楽が本当に好きで表現したい人だけを呼んでいる。会場の皆さんの力を感じながら音楽を深めてお伝えしたい。
(崔文洙)上岡さんが就任して半年になるが、オーケストラの色や可能性を広げるために妥協せずに練習してきた。その結果、明らかに変色しパレットが増えたと思う。
どんどん色や幅、表現力が増し、普遍性のある音楽をつくるためにどんどん幅が広げている。楽譜を中心に演奏するとどのような可能性が出てくるのか検証したい。
(上岡)いつかはオペラをやりたい。私は30年以上歌劇場でやってきた。コンサート形式よりもやはり舞台がいい。
やるならドイツオペラ。経済的な課題を考慮に入れながらオペラも考えたい。新日本フィル1年目だが、一緒にやっていて楽しい。ものすごくいい方向に進んでいると思う。