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文化人物録96(ベルリンフィルチェロ奏者・クヌートウェーバー)
#クヌートウェーバー (#ベルリンフィルハーモニー管弦楽団 チェロ奏者)
→1998年から #ベルリンフィル のメンバーとして活躍しているクヌートウェーバーは、来日したときにちょうどベルリンフィルの代表を務めていて、記者会見でご一緒したことがある。楽団のウェブサービス「#デジタルコンサートホール」では自身を紹介する映像が公開されていて、「チェロを弾いているときは幸せな気分になることが多い」と言い切る。
ウェーバーは首席奏者ではないものの、なんといってもベルリンフィルの精鋭だけに、そのレベルはまさにワールドクラス。小編成のメンバーとしても引く手あまたの状態だ。性格も真摯かつ素晴らしく、世界最高峰オケの奥深さが垣間見える。
*ベルリンフィル来日(2019年)
(指揮者 #ズービンメータ )世界最高峰のオーケストラと来日公演ができて光栄だ。私たちはベルリンで6回のコンサートをやり、先週は名古屋と大阪、そして今夜は川崎で演奏する。明日からはサントリーホール。私の目から見て、日本の聴衆は高潔な魂を持っている。そんな聴衆の前で演奏できるのは喜びだ。
(インテンダント・アンドレアツィーチュマン)我々の顔つきを見てもツアーを楽しんでいることがおわかりだと思います。日本で8回のツアーをやっているメータさんとの結びつきは強く、また日本とベルリンフィルの関係は60年以上続いています。
1957年にカラヤンが初来日しましたが、日独は17世紀から様々なつながりがあります。両国の関係は一層強まっていると言えるでしょう。我々の日本ツアーは22回目で、これだけツアーをしている国は欧州以外にはありません。多くのメンバーがマスタークラスや室内楽でも来日しています。
皆さんはキリルペトレンコとのツアーがいつになるのか関心が高いと思いますが、2021年以降にツアーを計画しています。
(ウェーバー)今回は2004年以来の純粋な日本ツアーになります。ベルリンフィルとメータさんは素晴らしい関係を築いてきました。オケのメンバー全員が毎年最低1回はメータとともに演奏しています。毎シーズン共演がある碇のような存在であり、私の大切な友人でもあります。頼りになり、信頼できる指揮者です。
私より若い世代には想像できないような話をします。1961年にメータさんがベルリンフィルを初めて指揮したとき、フィルハーモニカはまだありませんでした。毎年に渡るパートナーシップに敬意を表し、今年メータさんを名誉団員に迎えました。
今年はメータさんとの共演が20回あり、量的にも質的にも、関係の頂点であると思います。メータさんは(ベルリンフィルで首席指揮者を務めた)クラウディオアバドと一緒に学び、ペトレンコさんはメータさんの(バイエルン国立歌劇場での)後任です。ベルリンフィルには1956年以降7人の首席指揮者がいますが、チェリビダッケやメータさんはその7人とともに名前が挙がると思います。
今回のプログラム、もメータさんとの長年の関係が裏打ちされたものです。ブルックナーの交響曲第8番Rシュトラウスの交響詩「ドンキホーテ」も、メータと録音したことがある思い出の作品です。
Qメータさんの初来日は1969年のロスフィルでした。来日50周年についてと、東日本大震災についての思いは?
(メータ)日本の皆さんから50周年と聞き嬉しく思います。多くのことがプラスに変わってきていると思います。日本の各地に素晴らしいコンサートホールがあり、聴衆の反応も変わりました。
初めての時は聴衆が誰も拍手しないと思っていましたが、最後に爆発的な拍手が来たのを覚えています。オペラもバイエルン国立歌劇場やフィレンツェ五月音楽祭管弦楽団で指揮していますが、欧州のような熱狂的な反応が返ってきます。
東日本大震災の当時はフィレンツェ歌劇場と来日していましたが、2日間しかできませんでした。しかし、震災2日後の公演は満席でした。
Qベルリンフィルと共演して60年近くの中で印象的だったのは?
(メータ)ベルリンフィルとのコンサートは本当にいろいろなことを教えてくれる。インスピレーションを教えてくれる場です。60年代にザルツブルク音楽祭でエロイカをやったのですが、カラヤンさんからアドバイスをもらったことを覚えています。
初共演のときはゴットフリートアイネムの曲とシューマンの交響曲第1番を演奏史、マーラーでは交響曲第1番が最初でした。当時は25歳でしたね。
Qベルリンフィルの今後について
(ツィーチュマン)オーケストラを取り巻く環境は大きく変わっています。各国にオケが誕生し、特にバロックや室内楽のシーンではいろいろなアンサンブルができています。日本でも各オーケストラが成長しています。
私たちは常に革新的な企画を打ち出してきました。新しい作品を紹介し、エデュケーションプログラムやデジタルコンサートホールも立ち上げました。私たちは常に社会的責任を意識しているオーケストラなのです。
常に自分たちを問い直し、自分たちに何が必要かを考える。それはペトレンコさんにも受け継がれています。未来においても、社会に貢献できるオーケストラを目指しています。