西山太吉氏と西山事件

 デイリー新潮の記事は、私を再度、重い愉鬱な気分いさせるものだ。『昭和49(1974)年2月7日号「外務省機密文書漏洩事件 判決と離婚を期して 私の告白」ダイジェスト版』だ。
先日も、読売新聞の渡辺恒雄氏が、事件の裁判で他社の西山氏の証言台に立った記事を読んでいたが、当時の「報道の自由」に対する記者の迫力が伝わる内容で「隔世の思い」を痛く感じたところだった。西山氏の訃報を知ってから、改めて「西山事件」についての過去記事などに触れてみて、当時の時代背景に、日本の不安定な展望に活力漲る国家体への方向性は残されていたのだと感じた。
安保条約推進に舵を切り、高度経済成長に邁進する時代での「豊かさ」に翻弄されていく、世間の関心は「不倫スキャンダル」へ、今の世相の流行りとなり、日米同盟に対する妄信が日本に蔓延る基になった。

個人的に会話を通じて感じた人柄は、気性の荒さは感じられない、沈着な人情味のある人と思った。「真実」の追及には、多くの犠牲は妥協しても、「権力」に対しては、寛容であってはならない。


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