「野生化するイノベーション」を読んで
ようやく読みました。清水洋教授の書いた「野生化するイノベーション」。
日本経済新聞の2019年の経済図書ベスト10にも選出されていました。
清水先生、おめでとうございます!文章から清水先生の考え方が伝わってきて、すごく面白かったです。
「野生化するイノベーション」とは?
本書は、イノベーションをヒト・モノ・カネといった経営資源の流動性という観点から考えるものです。
1.イノベーションには一定の「習性」がある
2.イノベーションはチャンスを求めて自由に「移動」する
3.流動性が高まると、イノベーションの「破壊的な側面」が強くなる
といった内容が語られています。
大学のときに清水先生のゼミに所属していたので、イノベーションのパターンやジレンマ、「戦後日本のイノベーション100選」はなじみがありました。(かと言って、その頃は勉強一筋ではなかったので、そこまで深くないですが…)
ふわっと当時考えていたこと
当時イノベーションのゼミで考えたことと言えば
・技術革新かっこいい!
・今当たり前にある世の中のインフラはどこかで誰かが起こしたイノベーションから成っているのか!
→イノベーション生み出す(技術革新)に携わりたい
・創造性はセンスだけでなく、後天的に身に着けられそう(特にビジネス)
それでも、イノベーションが起きやすいと言われていたスタートアップではなく、技術革新のメーカーかっこいいなと思って就活していました。
イノベーションに携わりたいものの、いろんな企業が経営計画でも「イノベーション」を掲げているし、イノベーションがどれだけ起こりにくいものなのか/どこでどんなイノベーションが起きるべきなのかを分かっていませんでした。
破壊的イノベーションに携わりたい
社会に出て働くようになって、本当の意味で大企業のジレンマや日本人の集団主義、雇用の硬直化などを感じることになりました。
イノベーションとは、
経済的な価値を生み出す新しいモノゴト
です。イノベーションは「破壊する」という側面がありますが、もちろん同時に創造的な側面があります。それが経済の生産性を押し上げ、経済成長をもたらします。企業にとっては競争力の源泉となり、我々の生活を便利にしてくれるそうです。
本書では、「ポートフォリオ・マネジメント理論」を用いて、イノベーションが必要なのは市場の成長性は高いが自社シェアの低い「問題児」ですが、どの事業部でも「イノベーションを起こすこと」が目標とされて本末転倒になっている節があると述べられていました。
これは社内の事業部でも言えることですが、会社視点で見てもそうなのではないでしょうか。大企業でイノベーションが起きにくい理由の一つは、「安定すべき役割」だからでしょう。
今インフラとなっているものを変えないこと、大事に守り続けていくことは重要です。私が以前働いていた会社の人に聞いた、「その会社で働き続ける理由」がまさにそれで、すごく納得感があったことを覚えています。(そして私は破壊的なイノベーションを起こしたいと考えました。)
「スピンオフ企業」で「雇用の流動化」をミッションに働く
たまたまですが、本書で紹介されていたスピンオフ企業で、私は今働いています。※MyReferは2015年にパーソルキャリア(旧インテリジェンス)で立ち上がり、2018年にスピンオフ独立。
スピンアウトは、大企業や大学といった既存の組織では追及することが難しいビジネス・チャンスを開拓できるからこそ、イノベーションの有効な手段と考えられているのです。
日本でイノベーションが少ない理由としてあげられる「創造性がない」「集団主義的」対する原因の一つである雇用制度。それをアップデートするべく、雇用の流動化をミッションに働いています。
(ただし、流動性は高ければ高いほどいいというわけではなく、累積的なイノベーションや基礎研究の低下、破壊される側のコストもあるということが勉強になりました。)
書かれていることが今の自分の選択とリンクするところがあって、何だかご縁を感じつつ、
最後に流動性の高い世の中で「個人はどうするか」という部分の清水先生の考え方にめちゃくちゃ共感しました。
個人としては「今働いている組織でなくても十分に自分の価値を出せる」かどうかが大切。「ここでの仕事はあまり好きではないけれど、どこにも移れないからここにいる」状態よりも、「他の組織にいつでも移れるけれど、ここでの仕事が好き」という状態のほうが健康的でしょう。
人生の選択肢が複数ある中で、自分が意義を感じるところにコミットすることができれば最高です。
・・・
世の中の流動性の高まりは、チャレンジすることの機会費用を確実に小さくしています。もしあなたの心の中に「こんな未来を創りたい」という想いが芽生え、それを実現できそうなアイデアが浮かんだのであれば、新しいチャレンジに踏み出さない手はないでしょう。
ゼミのときにはそこまで考えていなかったですが、社会に出てから共感することがすごく増えました。こうやってつながってくるんだなあと思い、大学時代の”ご縁”を感じてしみじみしました。
また定期的に立ち返り、相談にいきたいなと思います。
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