ニュージーランドのギフテッドプログラムを見学したら素晴らしかったという話(中)
こんにちは!ギフテッド支援に関心のある高校生、Kayです。
この連載では、ニュージーランドのギフテッドプログラム、
"Mindplus(マインドプラス)”を見学させていただいた様子をご紹介しています。
前回の訪問に関してはこちらから。
※写真の掲載許可はいただいております。
訪問する2校目はBruce McLaren Intermediate School。
全部で9人とやや小規模なクラスです。
前回の先生とまた違ったタイプの先生で、詳しい時間割は設定されていませんでしたが、
ニュージーランド人に多い早口にさらにギフテッドを対応する頭の回転が加わった超高速の舌を持つ先生で、Kayはところどころしか理解できませんでした苦笑
早速行ってみようー
訪問
まず教室に入って目に入ったのは3個のソファが組み合わさった大きなソファとクッション、ぬいぐるみ、そこでくつろぎながら話を聞く生徒たち。
そして見つけたのはずらりと並んだヘッドフォン。教室の音が不快に感じたり、音のせいで集中なかったりする時はいつでも使えるようにしてあります。
また、この壁の裏側には部屋があるそうで、いつでも教室からこの部屋に行くことができ、戻ってこなくてもOK。一人で落ち着きたい生徒さんに配慮された教室だなと感じました。
1/2時間目:アート
マインドプラスでは毎年テーマが設定されていて、2024は「Power」。
今期は「力」の中でも、「アートの力」に焦点を当てて学習しています。
本日は自分たちで作品を制作するようです。
まずアートの概念について理解を深める
先生が、「アートが人にもたらす影響」について軽く説明し、どのような影響があるかみんなで話し合いました。内容としては、
・影響は直接的だったり間接的だったりする
・意図したり、意図しないものだったりする
・価値があったり、なかったり、有害だったりする…
といった具合です。
前回の訪問では「感情」についての概念の理解でしたが、その抽象度の高い授業内容が魅力的です。
早速描いてみよう!
ここからは自分たちで思い思いの絵を製作する時間です。
何人かの生徒は教室に設置されたパソコンを持ってきて作業を始めました。
壁には以前生徒が書いたと思われるドット絵が貼られていたので、「みんなコンピュータを取り入れて活動しているのですか?」と先生に尋ねると、
「いや、そういうわけではないよ。パソコンの方がやりやすい子は活用しているし、筆や絵の具を使う方が好きな子はそっちを使ってもらっている。」
「ただ、基本的な授業内容はすべてGoogle Classroomで管理している感じかな。」と教えていただきました。
画像左上の子はネットの画像を参考にしながら、波の様子を描いています。
一方で気になったのはグレーパーカー少年。よく見てみると原爆の煙の絵を描いています。先生が近づき、「これがポジティブな影響をもつか、ネガティブな影響をもつか、考えてみよう。今回はポジティブなアートを作ってくれ。」と諭していました。注意された彼はその後、別のものを描くことにしていましたが、日本もニュージーランドも共通して爆弾に興味を持つギフテッドが少なくないのは、その感情の激しさゆえなのでしょうか(苦笑)。
メガネをかけた男の子は赤と黒の絵の具を使って何かを書いています。
テントウムシか、抽象的なドットのアートかな…とぼんやり予想しながら見ていました。
先生が「何を書いているの?」と尋ねると
「これ?H2O」
まさかのH2O笑笑 なんということだ、分子のフォルムがかわいいしそれを題材に選ぶ彼もかわいいしで首がもげそうになった(?)。
先生に声をかけられると彼は嬉々としてH2Oを語り出していました。
奥の子は大胆に青の絵の具を塗って海を表現していました。余白を残して白を表現するのが秀逸。
また、写真を撮りそびれてしまったのですが、地球が描かれた紙を半分に切って、左右の地球を繋ぐように道が複数本伸びていて、その道の上に世界を描く、という発想をしている子もいました。
休み時間
こちらの校舎では休み時間のデバイスの使用が許されているようで、何人かは例のくつろぎソファでゲームをしたり動画を見たりしていました。
ある子が何かをホワイトボードに書いてるなと見ていたらロボット/何かの機械の構想?イウムたちとはあまり交流がない私なので有識者の方がいればコメント欄にお願いします笑
外では先生も交えて野球や卓球をして遊んでいました。
前回の学校でもそうでしたが、一般の教室の生徒たちも同じく休み時間で外に出てきているにも関わらず、訪問した日はギフテッドの教室の生徒たちのみで遊んでいました。プログラムが週一回のみなので、週一回のこの日はギフテッドの仲間同士で集まって遊ぶ限られた機会なのかもしれません。
卓球台に腰掛けて眺める子。早めのランチを食べていたからだとは思いますが、校庭でみんなが遊ぶ様子を一人目を細めて眺めていた小学校時代の自分を思い出しました。(食べ終わると卓球に参加してました!)
3時間目 プロジェクト学習
クイズ再び。
今回はGeoGesserという、世界の都市からがランダムにピックアップされ、ストリートビュを手がかりに、その都市を当てるゲーム。
看板の文字などを頼りに「オーストリアじゃない?」などと考えられること自体に地理の知識の豊富さを感じました。
ここからは各々のプロジェクト活動の時間!
3人はショートフィルムを製作していたり、何人かはアートの続きをしたりしていました。
新入生なのか、今日からプロジェクト始めるという男の子には「どれがいい?」とGoogle Classroomから興味があるものを選ばせているようで、選べるほど豊富なデジタル教材はすべて先生たちが作ったというのだから、深く感嘆してしまいます…。
また、こちらのプロジェクト活動と別なのか一緒なのかは定かではありませんが、Nurodiversity in Educationプロジェクトでは「クラブ」として、同じ興味分野を持つ生徒同士で集まり、その分野を深める活動も展開しています。
現在のクラブの種類は全部で10種。読んでて楽しいので全部日本語訳しておきます。
・芸術家
・小説家
・読書家
・プログラマー
・デザイナー
・社会変革者(環境活動家、社会起業家、政治家の子たち向け。)
・科学者
・数学者
・歴史学者
・空想家(哲学的、創造的、ドラマチックなアイデアマシーンたち向け。迷宮、ドラゴン、映像制作、哲学などに興味がある人向け!)(面白そう!)
クラブは2~10歳の子がオフライン/オンラインで参加することができます。また、10歳以上でさらに深く探求を行いたい生徒は、高学年向けクラブに入って活動することができるようです。
どうでもいいですがKayは数学と歴史以外の全部に入りたいです🌟 (選べ)
小学生の頃は哲学的なことを話せる仲間が周りにおらず、一人で深く考えすぎることがしばしば恐怖に感じていたので、自分の興味分野を出せる居場所があることは、ギフテッドの子供達にとって非常に良いことだなと感じます。
残念ながら今回の訪問は早い時間で切り上げることになってしまいましたが、前回の学校とはまた違う、個性豊かな生徒たちと出会うことができて、非常に思い出深く、学びも深い経験でした。ありがとうございました!
(下)ではNeurodiversityを学校に取り入れるためにできること、「完璧主義とどう向き合ったらいい?」などの質問に対する先生の回答について書いていますので、気になる方はぜひご覧ください✨
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