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【IVRy入社エントリ】半引退状態の元CTOがまたスタートアップ最前線に戻ってきた理由とは


はじめに

たった今どこまでも行けるような
そんな気がしただけ

GRAPEVINE - その未来

こんにちは。2024年12月に入社した社員番号172番の海老原です。IVRyではエンジニアリングマネージャーとして開発チームの組織周りを担当します。

今年の二月に前職の取締役CTOを退任して半年ほどはフリーランスでスタートアップの組織開発をサポートしており、その背景には自分がこれまで諸先輩方から頂いた恩を次代のCTOに送ることで返していきたいという想いもありつつ、前職のその前も含めると10年以上スタートアップの経営陣としてひたすら全力疾走し続けた結果としてバーンアウトしかけていたという側面も本音としてありました。

そんな、とりあえず生活していければいいやみたいな就労状態で半引退状態だった私が2024年におけるスタートアップのまさに最前線のようなフェーズ(組織的にも事業的にも)のIVRyに入社したのは何故か?その辺りを綴ってみたいと思います。

これまでとIVRyとの馴れ初め

先に私の経歴についても記しつつ、経歴は伝えたいことにはあまり関係ないので簡単に。

VR・3DCG系開発(2002-2009)

学生時代の研究対象の流れから、凸版印刷株式会社(当時)のデジタル系R&D部門や小規模の開発会社でVR関連の開発者として一生C++でプログラミングの日々。

ウェブ系開発に転身(2010-2012)

全くの未経験でグリー株式会社に転職。主にSNS系の開発チームでそれまでと全く異なるパラダイムに悪戦苦闘しながら開発。今思うとよく採用されたなと思う。

初めての経営陣(2012-2015)

創業直後の株式会社サイカに入社し、取締役CTOとして開発関連の全体を管掌していましたが実質リードエンジニアに近く、全体アーキテクチャの検討や技術的な最終意思決定を行いつつ設計・実装に使う時間がかなり多かった。

経営陣再チャレンジ(2016-2024)

創業直後の株式会社カケハシに入社し、取締役CTOとして(ry

前回の反省を踏まえ、その時々の状況において事業に一番インパクトがあり経営陣という立場で一番レバレッジを効かせやすい物事に重心を変えていった結果として全体を通して開発組織拡大のための採用推進や文化形成、組織運用整備のようなことに使う時間が多かった。

IVRyとの馴れ初め

IVRyという会社を初めて明確に認知したのはおそらく2023年の冬頃、今でも大体月一レベルで通っている「ワインと鍋」という店にあった張り紙で、その時点ではそこまで強い印象は持っていなかったと思います。それが明らかに銘記すべきスタートアップとして捉え直されたのは、プリンシパルエンジニアの成田さんによるクックパッド退職(からのIVRy転職)エントリーがきっかけでした。

このエントリーが投稿された時はちょうど私が前職の退任を進めていたタイミングで、成田さんと私では成し遂げてきたことの大きさや立場としての重圧の隔絶はあるとしても、経営陣として多くの時間を費やした企業から身を移す心境に対する一方的な共感は一入でした。また、文章全体を貫く真摯さ・誠実さに強く感動したことを今でもよく覚えています。

また、成田さんのブログ投稿と前後してIVRyへの転職エントリーを見かけることが多く、一生採用について頭を悩ませていた立場として「次の採用ブラックホール企業はIVRyかー」みたいな印象も持っていました。

そんな折、私の退任を知ったグリー時代の同僚の片岡さんから連絡があり会いに行ったら「4月からIVRyという会社に入社するんだけどどうよ」というまだ本人が入社もしてない会社への勧誘を受け、Open Dayへの参加などのカジュアル接点の中でフリーランス・アドバイザリーの状態を止めてまた特定の事業の成長に正社員としてコミットしようと決めて選考に臨むことにしました。

認知・選考過程で感じたこと(=入社の決め手)

並行していくつかの企業からのお話も頂いていたわけですが、IVRyを知っていく過程の中で、入社を決めるに至った材料はなんだったのか?以下の内容は、第一印象であると共に入社前の3ヶ月間を業務委託として過ごす中で更に強まった理解でもあります。

前提の世界観

材料の説明の前に、私自身の思想…というか世界をどのような眼差しで眺めているかについて触れておきます。

私は純粋な技術者としてはもう大分錆びついている自覚があるものの、それでも属性としては今でもテクノロジーの領域の人間ではあると思います。では、テクノロジーのどのような側面に魅せられているのか?それは、「民主化」とか「エンパワーメント」という概念で表現できると思います。

石器や壁画、文字のような黎明期から今この瞬間に起きているAI関連技術の発展に至るまで起きている技術的進歩は、常に特別なもの・富めるものに閉じていた物事を開放し弱く平凡なものが自力で価値を生み出せるようにしてきました。

スタートアップ企業として非連続的な事業成長を果たすためには世界にどのような変化が起きようとしていてそこにどのような価値を、市場を作っていくのかという洞察が必要だと思いますが、2024年を生きている私達は、人類が何度か体験してきた技術的飛躍の一つになるであろう瞬間を今まさに体験している最中だと感じています。

そのような社会の転換の一つの切り取り方として例えば政府からSociety 5.0という概念が提起されていますが、

これを一旦情報処理技術を中心にシンプルに捉え直すと、情報社会(4.0)の段階では定型・構造化データの高速反復処理によって生まれる新しい価値があったが、それはある程度計算機にとって処理しやすい定型化・構造化による限界があった。5.0ではそれが大量の非定型・非構造化データから生まれる曖昧性を含んだ多様なケース・命令・結果をもたらすことで我々の多様な価値観・ニーズにダイレクトに応えることができる新たなレベルの効率化や自動化、それらがもたらすより本質的な行動への注力が実現可能ということだと考えています。

私は、ある時に「自分は事業を通じて結局何をしたいんだろう?」ということを見失ったことがあって、その時に要は上のようなことの実現に生涯を通じて何かしら貢献していることを実感したいんだろうな、という結論に至ったのですが、これはまさにIVRyのビジョン・ミッションが言っていることだと捉えています。

その先の事業の広がり

大体皆同じだとは思いますが、どの企業のお話を伺う際でも私が確認しに行くのは「今やっていることは分かった、その先の非連続な成長の打ち手としてどのようなことを考えているか?」になります。

私達は現在事業としていわゆるIVR、その展開としてAI対話システムを開発提供しているわけですが、そこに話が留まるとインパクトが張り紙を見た時を超えてこない。

なので、奥西さんとのカジュアル面談でそこをメインに質問をしましたが、その時点である程度具体化されている・既に動いている非常に興味深いアイディアがまー出るわ出るわ。アバウトには、12/1に投稿された奥西さんのアドベントカレンダーエントリーにもある通り、コミュニケーションにまつわる非構造データを活用して様々なタッチポイントで"Work is Fun"を実現していく、ということになると思いますが、ここで書けることには限りがあるのでもうこれは奥西さんとカジュアル面談して頂くのが早いのかなと思います。情報量の無いセクションになってしまった。

サービスの背景に技術的な強さが明確に寄与している

これはシンプルに、顧客への提供価値を実現する根底に、高い技術力や知見を持った方々だからできることがあるというのはそのまま事業としての優位性だし、そもそも技術の人間として単純に燃える。そのような方々と一緒に働けることそのものが報酬になります。

実際に、その力をもってサービスに大きな価値を入れ込んでいるべいえりあさんのアドベントカレンダーエントリーはこちら。

要求される「スピード感」に必然性がある

元スタートアップの経営陣としてあるまじき態度かも知れませんが、私は「スピード感」に類する単語を聞くと眉をひそめがちです。正確には、「(根拠・ターゲット・背景が曖昧な)スピード感(というキアコンの世界観)」に無条件には同意しません。自分に関しては言うてもギリギリまで追い込むのがデフォルトなのでそこはいいのだが、組織として考えた時に「なんでそこまで必死こいて?」を説明する責任はあると考えています。

私達の事業の場合、その根底に労働人口減少の問題、地方・中小企業への技術伝播の遅れ、そこから来る経済活動の破綻という懸念が背景にあるわけですが、ここに時間がかかっていては今そこまで来ている危機に間に合わない。

もう一つ、「スピード感」とは違う話だがここに関連して顧客の規模のセグメントに対する向き合い方が全方位的な点も話を聞いて興味深かった点でした。B2Bの事業は様々な側面から必然的にエンタープライズ注力になっていく傾向がありそれが合理的かと思いますが、IVRyの場合、上記の危機意識が背景にあるので、エンタープライズのお客様への展開はもちろん強く推進していく前提はありつつSMBも全力で向き合う社風があります。

そしてそれは、上で述べた民主化とかエンパワーメントの観点で、合理性を超えたある種のこだわりとして好ましく感じています。

組織に対する考え方が同じ方向を向いている

カジュアル面談の中では事業展開以外にもどういう組織を作っていきたいかというような話も上がりましたが、私はこの点について比較的思想が強めな人間のため根本的なずれがあると他がどんなに良くてもNGになっちゃうなーという懸念がありました。

結論としては杞憂で、特に印象的だったのは(ニュアンスが正確ではないかもしれないが)「正解は現場にあると思っているので」というセンテンスで、自身が頭が良くて優秀な人ほどどうしても自身の中にあるものが正解であることを前提として物事を進める傾向から逃れにくいわけですが、これは私が組織について考える上で重要視している「実践と思考に隔たりを作らない」(もうかなり長文になっているため詳細は割愛)を妨げるものです。

そうではなく、ナチュラルに「正解は現場にある」という言葉が出てきたのは興味深かったし、限定的ですがこの3ヶ月間でいくつかの会議への出席や業務の進め方を見る中で組織からの自律的な課題提起を重要視していることは実際に強く感じられました。

もう一つ、自分自身がこれまで重要だと考えながらやりきれていなかったこととして「組織・業務に意図的に余白・遊び・非合理を仕込む」ということがあるのですが、これが随所に感じられてある意味嫉妬に近い感情を覚えます。

事業の広がりのところで感じた企業の持つ事業センスの高さと物事を面白がり楽しんでいく感性の同居は、経営におけるロジックとアートの融合を感じています。

「よりよく」仕事をすることの徹底

自身が過去Corporate Engineeringの領域も管掌していたためことさら強く感じますが、仕事の進め方として各種SaaSなどを適切に使いこなして自動化・効率化したり全社に対して情報の非対称性を極力小さくしていく、また上に書いたような余白・遊びの要素を込めていく試みがこのフェーズとしてもかなり積極的にされていると思います。

ビジョンのWe make "Work is Fun" from nowが自社の働き方としても体現されていて、職種を問わずデジタルネイティブに働いていく意識が浸透していると思います。

IVRyで何をやるのか?

基本的にはエンジニアリング組織がより事業に資するために必要なことはなんでもやっていきますが、前提、IVRyのエンジニアリング組織はとても強いチームで高いパフォーマンスを発揮していると認識しています。

一刻も早く自身のミッションを定義して成果を上げる必要がある観点からはある意味ありがたくも頭が痛い部分でもありますが、今後の事業展開を実現するためのエンジニアリング組織に規模拡大していくこと、組織拡大によって不可避的に発生する課題を解決あるいは防いでいくことが想定ミッションになってくると考えています。

また、IVRyの登ろうとしている山の大きさと険しさ、そして既に述べた求められるスピードを考えると、単純に採用推進するだけではなく、一つのコンセプトとして私と同じような立場―つまり、経営の目線で開発をリードしてきたようなかた・技術的な観点を持って事業を推進してきたかた―がポジションにとらわれず大きな責務と権限をもって力を奮う開発組織にする必要があります。

成田さんや先日入社された米元さんのようなCTO・VPoE経験者だからこそできる大きな仕事を有機的に連携させて大きな成果を得られるようなエンジニアリング組織を構築していきたいです。

結び

Boys don't cry ハートに火をつけろ
Girls fall in love ハートに火をつけろ

BUCK-TICK / 雷神 風神 - レゾナンス

結局、またスタートアップの社員として戻ってきたのはなんで?について説明しているようでしていない気がしますが、つまるところここまで紙幅を費やして書いてきたようなことの総合としてハートにまた火がついたから、ということに尽きるかと思います。オチが酷い。

学生の頃から今でもずっと好きだなと言えるバンドとしてGRAPEVINEとBUCK-TICKが挙げられるのですが(他にもあるが、ここで妖怪ヘヴィメタルなどを入れると話がややこしくなるので省く)、バインは無限に尽きない創造性を一生発揮し続けているしBTはMemorial Dayを乗り越えて新体制でやっていっている。私も、バーンアウトとか言ってないでまずは事業を支えるエンジニアリング組織の構築に全力で勤しみたいと思います。

もし"Work is Fun"の実現に少しでも関心を持って頂けたら、是非カジュアル面談にてお申し込みください。

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