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ほどけない結び目
ここではないどこかへは行けないことにいつ気づいたのか。
あの人のようになりたいと思った日は遥か遠く、今の自分でさえ持て余しているのに、他の誰かになれるはずもなくて。
明るく陽気に見える人の心が健やかであるとは限らない。
悩みを見せないように、周りを気遣って抑制した心を笑顔で隠して、
その場をうまくやり過ごす。
天真爛漫な人かと思った。
いろいろ抱えて来ている人には見えなかった。
場を見て取り繕うのがうまくなると、思いがけないことを言われてはっとする。
わたしはどこに行ったのか、と。
うまくできないことは本当はよくわかっている。
わかった上でできているふりをする。
人が好きなようで、人に怯えている。
振り幅の広さに自分がわからなくなる時がある。
そのシステムではやりたくない。その方法でやれる自信がない。
それを続けるといつか苦しくなる。
伝えないとと思う心を行動に移すことの困難さ。
誰か聞いてくれる人を早く見つけないと、わたしはここで息ができなくなる。
そんなことを思うなんて面白い人だね、と言われても、変な人だと思われても言葉に出して表現しないと伝わらない。
結果、理解されなくても伝えないと余計につらくなる。
うまくできないことを知られる怖さ。
苦手をさらけ出す勇気に見合う愛に満たされることはなくても、
誰か伝わる人に出会うまでは、今の自分を生きて行くしかない。
ひとりがふたりになってつながれば、声が届く範囲も広くなる。
重ねる日々で結び目はさらに強くなって行く。
だから今は小さな声でも上げ続けるしかない。
わかってくれる誰かに出会うための日々だったと思える日が来たら、
そこからまた変わらない自分を大切に心の芯に据えて、
それでも変わって行ける自分と出会うための新しい日々を歩き出せるかもしれない。