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【ネタバレ有り】ルックバックを見た感想

 漫画で読んでいたが、ついに映画の方を見た。予告編を観た通り、漫画でのルックバックを200%引き出すような内容になっていてとても良かった。
 京本の訛りを入れる描写や四コマ漫画の画風にあわせた映像で表現することで四コマ漫画の印象を強くしてたのはなかなか良かった。
 背景の描き方とか藤本タツキの漫画らしく縦線で影を表現してて、凝ってるなと思った。

 考察というには、語られすぎてるがとりあえず自分の考えを語っていこうと思う。
 自分的に特にグッとくるポイントとしては、「連れ出してくれてありがとう」のシーンと、「なんで、漫画を描いてるの?」に続くシーンだ。

 個人的にこうだったらいいなぁって言うポイントがあって「私が連れ出したからだ。連れ出したから京本は死んだんだ」って藤野が言ったあとに回想で京本の「連れ出してくれてありがとう」出してくれるととても良かったなと思う。

 でも、あの回想の最後の見せ場は「なんで漫画描いてるの?」のシーンだから、そこに挟めるのは確かに難しい。

 なぜなら「連れ出してくれてありがとう」のシーンが入るとそれが作品のテーマで答えになってしまうので、結局は今の映画の状態が一番いいとは思う。

 作品のテーマは「なんで漫画描いてるの。」の部分だから今回の構成でいいんだけど、連れ出してくれてありがとうがそこに入ると僕はもうちょっと泣けたかも。それを抜きにしても面白かった。

 あと、何かと伏線がいい味出してて、例えば引きこもり選手権の四コマは「京本が死んでる」っていうのがオチだ。

 これは色々な見方ができて、「京本が出なかった」空想では藤野は京本を助けるが、四コマのオチを考えると出てきても、出てこなくても京本は死んでいたんじゃないかとか考えられる。

 また、そう捉えると「そんな四コマなんか描いたから京本は死んだんじゃないかとも思えてくる。(藤野本人は言ってないからそう思ってるか分からないけど)」だからこそ、こんなの描いても何にも役に立たないのにに繋がってくる。

 でもここで、役に立たないし、時間もかかるし、本当はそこまで絵を描くのが好きじゃないのに、なんで描くのかって言うところに繋がってきて、

 「たった一人のファンのために漫画を描いている」という答えに結びつく。っていうのが泣けるよねーと思う。

 だから、空想の藤野もあの「出会い」がないから京本っていうファンの存在を知ることができず、漫画は描き続けてなくて、空手をずっとやってたんだろう。

 でも、美術に憧れがあるからランニングは美大の近くでしてたのかもしれないし、だから、空想の中では藤野を助けることができた。そこで助けることで、京本っていうだった一人のファンの存在を知り、またあの世界でも漫画を描き続けるのだろうなって言うふうに繋がってる。

 つまり、どの世界でも、京本がたった一人の最初の大事なファンだったんだとなる。

 その空想の世界の京本が描いた四コマが

 「背中を見て」

 ずっと藤野の背中を見てた京本だからこそ、言える言葉で、藤野がそれで背中のサインを見つけるからこそ今まで描いてきた足跡を回想して、あの「なんで漫画を描き続けるの?」にたどり着くっていうのがいい。

 最後に藤野が貼った四コマは何か分からないけど、そういうファンがいたことを忘れないような四コマを貼ったんだろうなと思う。
 そして、今や売れっ子でそう言う目に見えないファンを大事にするために四コマ漫画を見て、また描き始めるラストが良かった。



(補足:ここだけの話、漫画描いてる身からすると集英社の感じとか、漫画とか絵を一旦やめるきっかけとかがめっちゃリアルでちょっと自分の話かなって思った。)


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