12時間目 激突!ゲリラ隠とん兵VS討伐軍
このお話は100%フィクションです。
(1時間目から読んでみたい方はこちら)
ここに、国から認められていない集落があった。
小さな島に築かれた、その村の名前は「うさん村」
この村にタツオ学院という寺子屋を作った者がいた。
ここでは嘘つき学という学問を教えている。
この世の中が嘘で回っている事実を認め、正しく嘘と向き合うことにより、悪意のある嘘に騙し騙される事がないようにという教えである。
・主な登場人物
※前回、留置場に拘留されてしまったタツオを救出する為、ジローはメザメノ・アカシを訪ねた。森に暮らす隠者達の間ではタナカ村長の出した隠者討伐令が話題となっていた。その中でジローがひとつの計略を提案する。前回のあらすじはこちら
それでは本編をどうぞ
※隠者の森 北東部
森の案内役(隠者):「もう少しで建物が見えてきますよ。あっ、ここです」
※おしりんハウス
森の案内役:「通称おしりんハウスと呼ばれるタナカ村長の別邸です。流石にこの奥地までは誰も近づきません。我々もつい先日発見したばかりです」
メザメノ・アカシ:「ありがとう。しかし、よくも抜け抜けとこんな屋敷を作れたものだ…。よし、写真を撮っておこう」
パシャッ
ナメック・ジロー:「村の公費を不正に使った割には、随分と派手な建物だな」
森の案内役:「シッ!誰か屋敷から出てきます」
女:「シリゾウ様、次はいつ頃にいらっしゃるんですか?」
タナカ・シリゾウ:「そうだな…。さっき話した隠者どもを討伐した後でゆっくり滞在する予定じゃ。いいか、お主ら ほころび組はむさ苦しい隠者どもを一掃するまで、くれぐれも建物の外に出てはならんぞ」
女:「はい…。」
タナカ・シリゾウ:「おしりんハウスは、重量鉄骨で厳重な作りになっておる。隠者どもが落ち延びてきても扉さえ開けなければ中には入れん。いいか、隠者の討伐が終わるまでは訪問者が来ても扉を開けてはならんぞ」
女:「…。」
タナカ・シリゾウ:「では、さらばじゃ!」
パシャッ
メザメノ・アカシ:「決定的な瞬間をカメラで抑えた。ほころび組だと?村長は行くところまで行ってしまった様だな。後は村の皆んなが上手く作戦に乗ってくれれば良いが…」
ナメック・ジロー:「急ぎましょう!時間がありません。全力で戻って村民を説得しなければ、討伐軍に隠者達は壊滅させられてしまうでしょう」
メザメノ・アカシ:「よし、急ごう!引き続き案内を頼む」
森の案内役:「わかりました!付いてきて下さい」
※一方、隠者の森 北西
上杉 雲双:「では、これから隠者討伐を開始する!全員配置につけぇ!極力、犠牲者を出したく無い。皆の者、私の指示に従って森に侵攻してくれ!」
うさん警察署員:「はっ!!」
上杉 雲双:「よし!先鋒隊、進めぇ!!」
ザッザッザッザッ
すぐにスワル:「討伐軍め、ようやく森に侵攻を始めたか。よし、身軽な者は木に登って準備しろ!前線は草をまとって時を待て!数では劣るものの、ワシらのゲリラ戦法を見せつけてやれ!!」
討伐軍 第1先鋒隊:「あ〜あ、相手が隠者では弱い者いじめになってしまうな。どうせ逃げ回るだけなんだから、我らに犠牲者なんて出るもんか、上杉様も大げさだよ」
ガサッ
討伐軍 第1先鋒隊:「ん?」
隠とん兵:「!!」
討伐軍 第1先鋒隊:「いた!隠者だぞ!捕らえろ!進め!」
ズブッ!
ドッシーン!!
討伐軍 第1先鋒隊:「お、落とし穴!お前ら来ちゃダメだ!!」
ドッシーン!!
隠とん兵:「よし、上から小便かけてやれ!」
討伐軍 第1先鋒隊:「やめろぉー!ギャー!!」
上杉 雲双:「ん!?先鋒隊が騒がしいぞ、何かあったのか!」
すぐにスワル:「諸行無常…こっちじゃ」
べベン♪
討伐軍 第2先鋒隊:「プッ、飛んで火に入る夏の虫とはこのことよ!皆で奴を囲んで袋叩きだ!追え!」
バキッ
討伐軍 第2先鋒隊:「痛てぇ!石が降ってきやがった!木の上だ!引け引け!」
隠とん兵:「ハッハッハ!挟み撃ちだ!」
討伐軍 第2先鋒隊:「何?いつの間に!しまった、挟み込まれた!」
ボカスカペチンッ!
討伐軍 第2先鋒隊:「ギャー!」
バタッ
上杉 雲双:「先鋒隊は何を手こずっておるのだ!」
討伐軍 連絡係:「伝令!第1先鋒隊、第2先鋒隊が共に壊滅しました!単独行動を好むはずの隠者が連動して動き、抵抗しています!恐らく、すぐにスワルが指揮をとっている様です」
上杉 雲双:「すぐにスワルめ!隠者の組織化に成功したのか…。恐るべき奴め!どうやらワシを本気にさせたようじゃな。よし!これより我ら討伐軍本隊による進軍を開始する!1列目は盾を持て、2列目は長槍を構えろ!飛んでくる石を盾で防ぎながら長槍で仕留める!全体進め!!」
ザッザッザッザ
隠とん兵:「やべっ!鉄壁の守りだ、これじゃ石投げても意味ないわ」
ブスッ
隠とん兵:「ギャー!!盾の隙間から槍で突いてくるぞ!逃げろ!」
すぐにスワル:「上杉め、ちょっとは頭も使う様じゃな。う〜む、止む終えん。作戦Bに移行する!皆、討伐軍をうさん川ギリギリ付近まで誘い込むんじゃ!」
上杉 雲双:「いいか!緑の衣をまとった白ヒゲがいたら真っ先に仕留めろ!奴は知将だ、狩り取れば褒美を与えるぞ!!」
討伐軍 本隊:「よっしゃ!最高の小遣い稼ぎだ!攻めろ攻めろ!」
※隠者の森 うさん川 付近
隠とん兵:「く、くるなー!勘弁してくれ!」
討伐軍 本隊:「ようやく追い詰めたぞ!もう手加減はしない!おとなしくお縄に付け!」
すぐにスワル:「今じゃ散れ!伏兵たちよ!姿を現せ、背後から川に突き落とすんじゃ!」
隠とん兵 伏兵隊:「よし!今だ背後から川に突き落とせ!」
討伐軍 本隊:「何っ!!!な、流される!」
すぐにスワル:「者共!岸に上がらせるな!投石用意!!投げろー!」
討伐軍 本隊:「ギャー!!!」
討伐軍 連絡係:「伝令!本隊が敵の罠にはまり兵士の半分ほどを失いました!」
上杉 雲双:「チッ 役立たずどもが!スワルめ我ら討伐軍をコケにしおって!ワシ自ら出る幕ではないと思っていたのじゃが…ぐぉぉぉおおおお!!!!!」
討伐軍 連絡係:「まずい!上杉様が無双モードに突入してしまう。理性を失い、周囲のものを片っ端から切り倒すぞ!皆んな目を合わせるな!逃げろ!!」
上杉 雲双:
「ぐがぁぁぁ!」
隠とん兵:「やばい!上杉が来たぞー!!」
すぐにスワル:「うろたえるな!奴とは決して戦ってはならん!真っ向勝負で生き残った者はいない、目を見るな!速やかに下がれ!!」
上杉 雲双:「ぐがぁぁぁ!!」
スパッ
隠とん兵:「ありゃ?」
上杉 雲双:「ぐがぁぁぁ!!」
スパッ
隠とん兵:「おろっ?」
隠とん兵:「ひえぇ!大木ごと切り倒した!!怖いよー!」
上杉 雲双:
「ゴラァ!ゴロズゾォォ!!」
バサッ
隠とん兵:「あーれー!!」
討伐軍:「今だ!上杉様に注意しながら隠者達をやっつけろ!」
すぐにスワル:「やはり勝ち目は無かったか…しかし時間は稼げた。アカシ、後の事は頼んだぞ…」
-ナレーション-
スワルの率いるゲリラ隠とん兵達の奮闘により、一時は討伐軍に勝利するかと思われたのだが…。やはり上杉雲双の圧倒的な武力を前に窮地に追い込まれてしまった。果たしてジローとアカシはデモを誘発し、この機に乗じて役場からシタ・タカを捕らえることができるのであろうか。
-つづく-
最後まで読んでくれてありがとう!
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