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オッドアイ#2


皇宮への参内を
促す達しが来た

戦神としての危機感が
立ち昇るタイミングにね

「読まれているな・・」と
思わざるを得ない

数世紀ぶりの御前

帝皇神と帝皇后は
巨人族であるから

私の何倍もの体躯を
しており

巨大な宮殿の
巨大な王座に座っていると

それだけで威圧感があり

悔しいけれど、いつも
かしこまってしまう

自分がちっぽけな存在だと
思い知らされ
何故だか敗北を感じる

私自身も半分は
巨人族だが
大きさでは敵わない

その代わりに勝機を
嗅ぎ分ける能力は
誰にも負けない

などと

習慣化している
儀礼的な挨拶を
機械的に
交わしながら
考えていると
帝皇后が口を開いた

「人界の現状をどう思う?」

私の危惧
そのものずばりに

思わず
ニヤリと笑ってしまいました

挨拶などそっちのけで
いきなりの本題だ


礼儀にとらわれず
夫の帝皇神を差し置いて
直問したので
思わず
帝皇后の顔を見た帝皇神

彼(帝皇神)は
理屈屋で回りくどく
持って回った言い方と
含みを持たせた
話し方をするので
いつもイライラするの

でも帝皇后はいつでも直球

必要なことを
最短の言葉数で表現する

誤解も招きがちだが
私は、こちらのほうが好き
無駄がないからね。

私の「ニヤリ」に帝皇后も
「ニヤリ」と笑い返した

帝皇神だけが
難しい顔をしている


「率直に申し上げても?」

と、私が聞くと

「うむ」
「ええ」
と、許可くださったので


それでは申し上げます

私が人界での試練の間
獄界の魔手が
横行しておりました

おかげで一世のはずが
長期の修行となり

まぁ、それでも無為に時を
重ねていたわけでは
ありませんよ

奴らのやり方など
だいぶ
リサーチできたので

あえて・・・
不幸中の幸いと
捉えるようにしています
(皮肉のつもり)

こうしていても
相当数の人間の心魂が毒され
奴らの巨大化に
使われていることに
危機感を持っていますが

何も手を
講じないのでしょうか?

と、
私が一気にまくしたてると


帝皇后が
「そなたならどうする?」と
問うて来たので

うっかり

「先手必勝です」と
答えてしまった


全部織り込み済みなのよ

この展開にするべく
今日呼ばれたのだと
答えた瞬間に悟りました

帰ってきたばかりなのに
また、修行なのか?

それは、やだ!

恐らく
この考えも顔に出ていたか

予測されていたか・・
でしょう

帝皇后が
「命を下す」と
厳かに言ったので

ここでも、うっかり
「はっ」と拝受の姿勢を
取ってしまいました


そなたを100年
人界の守りに着かせる

転生は人間なれど
能力をカスタマイズしてよい
善と悪の歪を正して参れ

「拝受、承知」

そう拝し座を辞した

よく考えたら
帝皇神は・・
「うむ」しか
声を発していない

帝皇后のリードの元
全て決してしまったが

恐らく・・・

また、女神との戯れが
露見したのだろう

何世紀経っても
浮気癖は治らぬな
この点は神も人間も変わらぬ

機嫌の悪い
帝皇后が居る
天上界で顔色を伺いながら
過ごすより
人界で好きに振る舞うほうが
マシだ

露見しないように
上手くできないものか?
機嫌が直るまで
100年はかかるぞ
まったく、面倒なものだ

それにしても
また、人界に行かねば
ならないとは
とことん縁があるな

などと
考えていると
住まいに着いた

人界で修行の軌道修正に
働いてくれた
レオンがすでに来ていた

人界では
「倉内」という名で
助けてくれたが

どうやら
今回も一緒に行くのだろう

「ニキさま
  今回もご一緒出来て
      嬉しいです」


ニコニコ顔で話すレオンに

「腐れ縁だな、おまえ
   嫌じゃないのか?」   
と、尋ねると

「退屈してたんですよ
        丁度よかった」

と、嬉しそうに答えた

レオンも私と似ている

お互い、見透かされて
全部、帝皇后の
掌の上だな

仕方ない
しばらく暴れてくるか


こうして私たちは
人間界で獄界の魔手から
人間を守り
奴らの力を削ぐべく
滅しの役目を
果たすことになった

早速
翌日からレオンの姿が消え

恐らくだが・・
一足先に向かったのだろう


私は両神と12神
他の友人たちに
帰ってきた挨拶かたがた
人界での使命拝受の為
出発の挨拶をして回った

友人たちには
「お前らしい」と
笑われたが

手に余るときは
召喚してくれれば
手助けができるとも言われた

これもすべて
帝皇后の配慮らしかった

怒っているときの
帝皇后は
とてつもないスピードと
的確さで指示を出し
仕事を片付ける

怒りの炎が冷静な判断を
下すエネルギーになるのだ

侍従たちはしばらく
眠る暇もないほど
忙殺されるであろう

巻き込まれたくないので
私も、さっさと
人界に赴くことにする

それでは
渦輪(うずわ)に沈み
しばしの・・・おさらば








毎日の重ねから私なりの 「思い」を綴っております 少しでも「あなたの」琴線に 触れるものがあれば幸いです 読んで下さり、ありがとうございます