親愛なる獅子文六先生と私の生活
今から7年前。本を装丁買いすることは殆ど無い。(装丁買いする前に読まなければいけない積ん読本が沢山ある)
しかしあの日は何故か本屋で1冊の本を手にとっていた。
それが、獅子文六先生の「コーヒーと恋愛」だった。
獅子文六先生が昔の作家とも知らずに本を読み始め時代としては昔だけれどもどこか心地よくモダンな感じがしてわくわくした。
また作中の登場人物の人間味あふれる感じがとても愛らしい。
今後も獅子文六先生が書く本を読みたい、そう思えるとても魅力的で大好きな1冊となった。
そうして、獅子文六先生と私の生活が始まる。
仕事に行き詰まりどうにもこうにも無気力になってしまった時期があった。
半ば思いつきで名古屋に一人旅することにした。
名古屋の地下街をぶらぶらしていたところ本屋があったのでふらっと立ち寄る。
そこで獅子文六先生の「バナナ」を手に取る。
旅行中に本屋に寄るなんて友人達と一緒なら考えられないけど1人の私には必要だった。
旅行といっても待ち時間や移動時間。時間を潰さないといけないタイミングがあるのでその隙に本を読む。
全ての時間を自分が好きな事に費やす思いつき旅行にとても救われた。
名古屋の地下街(メイチカ)が2023年3月末で休業になるらしい。あの時にお世話になった本屋も無くなるのかな。
行きつけの古書店がある。
その本棚には店主こだわりの作品が並ぶ。
その一角に獅子文六先生の本もある。
さらには昔の単行本も並んでいる。
昔の本になるとかなり古くて読むには難しそうな色味をしているものもある。
古本との出会いは運命に近い。
いつどのタイミングで獅子文六先生の本に出会えるなんて分からない。
だから私はいそいそと古書店に通ってしまう。
獅子文六先生は没後50年を迎えた。
亡くなって50年後に自分の作品に感動している人間がいるだなんて先生は想像できただろうか。
そして私はこれからも獅子文六先生の本と共に時間を過ごすことになりそうだ。
獅子文六先生と共に生きる私の生活。今後は何が待っているんだろう。
ひとまず、コーヒーを飲みながら本を読んでゆっくり時間を過ごすことにする。