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ひとに出会うこと、親しめるコミュニティがそこにあって、また会いにきたいと勝手に思うこと|宇都宮・大谷訪問

毛塚幹人くんに会いに、宇都宮に行ってきました!

就任当時26歳の全国最年少でつくば市の副市長に就任し、「アジャイル行政」を掲げ民間企業との数々の社会実験をしたり、市長公約82事業実現のロードマップを作るなど、任期4年間にめざましい成果を残しています。
参考URL:https://publab.jp/2021/07/05/3100/

退任後は故郷である宇都宮市に尽力したいという彼の思いを前々から聞いていたので、かならず宇都宮には訪れたいと思っていたのをこの機会に訪問。

地域での熱量ある活動をされる魅力的なひとたち(それはまちづくりのような大きなことに限らず、工藝品をつくられたり、アートとしか思えない見事な展示をされてる方々)に一挙に巡りあって、すっかり宇都宮が好きになって、一か月後にはまた訪れることを約束して帰ってきました。

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毛塚くんといっしょに町を案内してくれたのは、ビルトザリガニという社号を掲げるまちづくりの合同会社代表の建築士の城生一葉さん。
いわゆる観光地化された場所ではない、けれど地域の中で人びとが集い、あらたな「場」が立ちあがってきているエリアへ連れていってもらいました。

旅でおもしろいのは、現地のひとがつどう場所へと案内してくれる「ガイド」に遭遇すること。今回は毛塚くんが紹介してくれて城生さんに出会えたことで、ゆたかなコミュニティに接続することができて、たった一度の訪問で心はすでに宇都宮の関係人口です。
だいじなのは、ひとに出会うこと、親しめるコミュニティがそこにあって、また会いにきたいと勝手に思うこと。リピーターづくりのためのコンテンツよりも、ずっと深みのある関係がそこには生まれると感じます。

思えばいま住んでいる豊岡を訪れたときにもやはり「ガイド」がいてくれて、もりめ食堂やコトブキ荘、とど兵やブックストアイチに出会い、そこから地域のコミュニティの回路が開けたのでした。
最初は移住者たちのコミュニティから、次第に地域に生まれ育ったひとたちのコミュニティへ。地域の人びととの関わりの深まっていくことが「わたしにとってのそのまちの顔」をつくってくれる。

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宇都宮では大谷地区の「外向きの観光で賑わいはじめた方向とは逆の」エリアへ赴きます。

屋根つきの工場の跡地みたいな場所に、石が整頓して積み上がってるだけのようにおもえた車道沿いの空間は「イシキリテラス」といって、音楽もダンスもヨガも餅つきも映画鑑賞も読書会もなんでもやれる自由な場。
かつて大谷石の加工場だったところで、この地域ならではの資源を活用したユニークベニューとこの場所を捉えて、地域住民の集いの場になりました。

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ここがつくられるまでは、あたりには街灯もなくて夜は暗く、通りや畑にはゴミが次々に投げ捨てられて散乱している有りさま。イシキリテラスをつくっていつもネオンの明かりを灯したことで、ゴミは捨てられないようになります。
さらには目の前の畑を水田としようということになって、水を引くための堀さらいをやっているうちにどんどん仲間が増えていって。そこで米作をはじめて、その米でbottiという銘柄の日本酒まで作ってしまう、なんとすごい。

いまではイシキリテラスの大谷石のベンチに座りながら、山の麓に西陽の沈んでいくのをながめつつ、夕焼けに染まる田んぼが目の前にある。そういうチルな過ごしかたができる。そこでは音楽を演奏してもいいし、踊りだしてもいいし、本を読んでいてもいい。

地域資源を最大に引き出して、かつてのその場の歴史を受け継ぎながら、よりうつくしいランドスケープをつくるという理想の姿がそこにありました。

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個人的なハイライトはigno... book plusという古本屋さん。20年間古着屋をやってきて、50を超えたらちがうことをしようと思っていた店主の山田さんが立ち上げたお店で、店に入った瞬間から、本棚のこだわりと空間の見せ方にすっかりときめき。
丁寧に選書された文庫や海外文学も、入り口付近に設けられたホロコーストと強制収容所をあつかった作品群も、20代で影響を受けたというKarl Blossfeldtの写真集も、近隣の植物を拾って几帳面に並べ額にいれた店主の作品も、本についての本も、空間になじむ音楽も。

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そして、隠し部屋のように奥にある部屋には、「手」の機械。

手動で回すと、四本の指が机をカタタタッと鳴らす…………重要なのはこの機械は左利き用ということ。壁には左利きにフォーカスした本たち。発想のインスピレーションは、森美術館の企画展カタログ「医学と芸術 ダ・ヴィンチ、応挙、デミアン・ハースト」から。好きでぜんぶ自作したのだそう。

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もうなんかこの本屋があればこのまちに住める、と思いました。

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イシキリテラスを城生さんとつくったり、本屋の山田さんが古着屋をやっていたころ一緒に飛び抜けた図書館企画をしていた宇都宮市の行政のひとの名前をずーーっと町歩きの最中聴き続けていて、また来たときに会えたらいいね、とかいってたら本屋をでた先でばったり偶然、その当人に遭遇。デザインされたわけでもなく示しあわされたような完璧ないちにち。

予期せぬ偶発性から生じた波には乗ることにしてる。その波こそがじぶんを次なるステージへと運んでくれる兆しだと信じているから。


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