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パスワードを押せ!:ロンドンのカフェトイレで

私の英語は稚拙だ。
単語を羅列するだけで精一杯。

先月ロンドンに行った時の
カフェのトイレでのお話。

大英博物館を
朝一番に予約し、
すぐ近くのカフェで朝食をとった。

お店の人達は、
みんな明るく、
朝からキビキビと働いている。
気持ちの良いカフェだった。

カフェ内は、
場所柄なのか、
私達の様な観光客だと容易に想像できる人が多かった。
そのせいか、注文する時も、
ゆっくりとした英語で話してくれた様な気がする。

食事を済ませてから、
隅にあるトイレに向かった。

ロンドンでカフェのトイレに入るのは初めてだった。

しかし、
ドアを開けようとするが、
開かない。

よく見ると、
ドアの取手の上に、
計算機の様な物が付いていた。

"ああ、
これは昨日ガイドさんが言っていたパスワード式のトイレかな。"
このカフェは公園内にあったので、きっとそうだとすぐ分かった。

カフェから見える公園

カフェ内の
パスワード式トイレ
は、
カフェを利用する人だけしか使えない。

確かパスワード番号は、
お店の人に聞けばよかったんだっけ・・。

近くのテーブルを見渡すと、
お店で一番キビキビと働いているウェイターさんが目に止まった。

「すみません。
パスワードを教えて下さい。」そう言えば良かった。

しかし、英語の"tell me"が出て来ない。
焦った私の右手の指は、
何故か勝手にパスワードを押すジェスチャーをしていた。

そして出た英語が、
"Push,password!"

しかも"please"が抜けてる。
命令形やん!

だが、キビキビしているウェイターさんは、
ニコニコ笑って、
トイレのドアまで来てくれた。

私はすぐに「ごめんなさい。
プリーズ、プリーズ」と付け加えた。

彼は「oh!」と、
にっこり笑って、
それからゆっくりと、
ドアを引いた。
パスワードボタンを押さずに。

「えっ、ドアは引くの?」

私は必死で押していたのだった。

彼は得意そうに、
右手の平を見せて、
「どうぞ。」とでも言っているようだった。

「英語ちゃんとやらなあかんな。」
と、痛感した。

後から旦那サンに話したら、
「英語だけの問題ちゃうな。」
と言われた。

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