Kindle出版第7弾←たぶん。アセアンそよかぜさん著「インクラインの桜/サブタイトル・ふたりのすみものがたり」 読書感想文
三女は1000グラム強、予定より3ヶ月も早くこの世に出てきてしまった。
破水に気づかず、調子が悪いと言いつつ膀胱炎かもしれないと思いながら忙しく飛び回っていた。「産休に入る前にできるだけ仕事をしておきたい。」と思ったのか、何かに急かされるように動きまわっていた。
もう限界と観念し膀胱炎の治療のため産婦人科を受診すると、「それは破水とちゃううんかい!」と、そんなニュアンスで早々に診察をうけ、「もう一歩も動かないで!!」と車椅子でベッドに運び込まれ、あれよというまに救急車で施設の整った大きな病院へ運ばれた。
それから14日間、ベッドに縛り付けられたようにそおおおおおおおっと過ごし、あまりの便秘の苦しさに踏ん張ってしまったが故に7ヶ月で生まれてきた三女は、その後半年近くNICUで過ごし、たくさんの人の手をお借りし、いろんな機材のお世話になり、もちろん投薬もたくさんあったのかな〜〜〜〜。
とにかく生きていてくれたら御の字。
という気持ちだけでした。
その後順調に育ってくれた三女は一昨年京都に移り住みました。2020年2月、ギリギリのタイミングで岩場で登るために渡仏し、ギリギリ何事もなく帰国でき、母はほっと一安心していました。
が、ほっとしたのも束の間。
まもなく京都在住1年を迎えるころに懐妊の知らせが届いたのです。
京都観光や、旦那さまのご実家近くの琵琶湖など、じきにゆっくり回らせていただこうと考えていた心の中の予定は、コロナ禍の影響ですっかり頓挫しました。
その上、お知り合いの少ない遠い京都の地で外出規制。動き回るのが大好きな三女が一所に拘束され、ましてや身体の様子がいつもと違う不安とあいまり。
でも、本人の力を信じて見守るしかないと考えていた矢先。。
アセアンさんのこちらの記事に創作墨字を書かせていただくことになりました。
恋人たち(圭とホアちゃん)がお月さまの下で、墨、筆、硯、文鎮と勢揃いするなか、習字を書いて書道で戯れる仲睦じい様子を漢字にしました。
♡♡
アセアンさんの手元には、圭とホアちゃんの出会いから結ばれるまでの物語があるとのこと。ほぼ書き上がっているのに、日の目を見るタイミングを逸していたのだそうで。
出版をそれはそれは楽しみにしていました所、半月ほどでこの世に出てまいりました。
蹴上にあるインクライン。
蹴上ってなんだろう?もしかして地名?インクラインとは?桜って?
※あまりの無知さ加減が恥ずかしい限りですが、事実こんな感じでした💦
ちょうど滞在中の滋賀出身の三女の旦那さまに聞いてみました。
「蹴上は地名で〜〜〜〜」説明を聴きながら、それならもしや画像や動画が見れるのかな?
検索してみるとなんとまあ見事な桜並木、京都の街並み、緑の季節の青々と元気な葉っぱ、紅葉の季節の真っ赤な葉っぱ。いろいろな顔が楽しめるではありませんか。
期せずして、頓挫していた京都観光が実現したかのようです。
ホアはベトナム出身のキュートな女の子、勉強熱心で日本人の圭に京都の名所を案内するためさらに詳しく調べて案内します。素直で純粋で一生懸命なホアちゃんが目蓋にはっきりと浮かびます。
遡ること30数年前、高校の修学旅行といえば京都・奈良方面が定番な地域に住んでいた私が高校3年当時、何年か前の先輩が修学旅行で不祥事を起こしたとかで修学旅行は中止されていました。
そのため京都は仕事で一度だけ日帰りで、奈良も滋賀も仕事でちょっとかすっただけで有名な観光地は一つも回っていませんでした。
私もご案内いただいている気分で、PCで画像を検索しながら読み進めました。圭とホアの恋の行方を楽しみつつ、京都の観光も楽しめるという、こんな読書は初めてでした。
琵琶湖の船上パーティーでの再会後、赴任先に新入社員として入ってきたホアちゃんと圭は、お国の風土の違いや考え方が微妙に違うことからすれ違いが生まれそうになります。
親しくさせていただいているベトナム二世さんのママ友がいらっしゃり、伝えたいことを必死に説明した経験を思い出しニヤリとしながら読み進めました。
最近流行りの「忖度」。日本人が得意な「気持ちをおしはかる」や「慮る」は相手を思いやる気持ちでとても素敵なことであり、日本独特の文化とも言えるので大事にしたい反面、誤解を招く要因となる可能性も秘めています。正しく伝えることができる話術や言葉、文脈などは自分の中にきちんと持っていたいと改めて思い至りました。
途中、2人の恋の行方がどうなるのか心配になるシーンもあり、ちょっとドキドキしましたが、初々しい恋が徐々に進んでいく様子、進展とリンクして心と行動が変化していく様子は「ほんわかしてどことなく懐かしく」ゆったり安心して楽しませていただきました。
いくつかの障害を乗り越え、無事ゴールインしたホアちゃんは懐妊しました。(懐妊したのでゴールインが早まったのですが、それは手続きだけの問題です。)
現実世界では、このコロナ禍での出産は幾多の規制があり、各市町村で行われていた母親学級も行われません。それでなくても手探りなのにますます手探りで不安が募ります。
里帰り出産を受け入れてくれる病院があるのか、そもそも移動が叶うのか、それ以前にコロナに罹患してしまったら。。。。
お国が違えばますます勝手も違い、不安はますばかり。
ホアちゃんは大丈夫かしら?
とても心配です。
でも、きっとだからこそ圭がたくさんフォローし、サポートし、ふたりのきずなはさらに深く太いものに育っていくのでしょう。
ベトナムへの里帰りの様子なども、(今後の世界情勢によるのでしょうが、)続編に期待し、楽しみに待ちたいと思います。
アセアンさん、こんなときだからこそ、ほんわか安心するそして心が洗われるような(自分の素の姿を思い出すような)物語を世に送り出してくださりありがとうございました。古いですが「今でしょ!」がぴったり当てはまるタイミングだったのだと感じています。
読書感想文は一番苦手です。これで感想文になっているのかも不明ですが、書かせていただくことができました。初体験(小説に続きまたまたです。)が叶い、併せてお礼を申し上げたいです。
いくつものことに、ありがとうございました。
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今日も最後まで読んでくださりありがとうございます! これからもていねいに描きますのでまた遊びに来てくださいね。