本丸は 「2%」
先に述べた3つの「2」の話に戻る。
黒田・前総裁が会見で「2」を並べられたのは、メディアや国民に伝わりやすいように、インパクトがあって印象が残るように、といった意図があったと思う。
ぼくなんかは、それを ”演出” だったのだろうとさえ思っていたりする。
こう書くと多くの人は、んなアホな。国の中央銀行がとても大切な金融政策でそんなテキトーに数値を出すはずがないだろ。と思われるに違いない。
日銀政策会議に参加される人たちというのは、総裁をはじめ天才や秀才といったエリートの集まりである。だからイメージとしては、ぼくなど到底理解できるはずもない高度な金融工学などを駆使し、将来の予測や数値、計画を出されているのだと思う。しかし・・・
2年 2倍 2%
頭からモクモクと煙が出てきそうな高度な計算やシミュレーションから導き出した結果が本当にこれなの?
「2」が3つ並んだのは、単なる偶然なの?
凡人代表のぼくは、こう思っちゃうのである。
現在の植田総裁は学者さんなのでイメージ通り、意味不明な計算などによって数値を出されていると信じて疑わないのだけれど。
もちろん黒田・前総裁もウルトラ・スーパー賢い天才なのは述べるまでもないし、まさか政策の数値がサイコロを振って決めるようなテキトーさであるはずもない。もし黒田・前総裁ご自身が計算をされていなかったとしても、その場合は幹部であるこれまた天才が実動部隊として難しい計算をされているに違いない。
そう思うと、やはり「2」が3つ並んだのは単なる偶然なのか。
2年、2倍、2%が何であるかは先述した通りだけれど、これを別の捉え方をすれば次のようになると思う。
2年 = 目標(期間)
2倍 = 手段
2% = 目的
いずれも大切なことではあるけれど、最重要なのはやはり「目的」だと思う。
つまり「2%の物価上昇率」という命題ありきで「2年」と「2倍」は、「2%」に寄せたものだったのではないか、というあくまでも憶測。
あれだけ円安が進行していた時、こう思った。
総裁に就任された当初の宣言通り2年で結果が出なかったなら、その時点でやめれば(政策の方針を転換すれば)良かったのに
これほど結果が出ないのに、それでも10年間という長い時間と大量の通貨供給をなぜ続けたのか。
黒田・前総裁があまりにも頑なでブレないのが不思議だった。プライドなのか、執念なのか、失礼だけれどもう盲信とさえ思えてくるそれは ”暴走” に映った。
そこまでしても本丸である「物価上昇率2%」を実現させたかったんだろうな。
それにしてもこれほどの天才やその道の叡智が集まり、膨大な時間とお金を費やしたにもかかわらず、この3つの「2」はいずれも実現できなかった。
やはり経済って魔物だなぁと思うと同時に、経済学って何なんだろうなぁという気もする。
きっと答えがない世界なんだろうな。
つづく