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二極化は進むよ、どこまでも

社会保険加入義務の企業規模要件が拡大された(される)ことで、負担の増える小規模事業者は相当頭が痛いと思う。

ご存じない方もおられるかもしれないので一応述べておくと、「106万円の壁」を超える社会保険加入による手取り減少を避ける対策として、「社会保険適用促進手当」という助成金がある。

これは、従業員が ”新たに社会保険に加入した場合” 事業主が従業員に支給できる手当で、支給額は本人が負担する保険料相当額になる。
対象者は標準報酬月額が10.4万円以下の人で、最大2年間(既に106万円を超えている人は対象外)。

出典:「年収の壁・支援強化パッケージ」について(厚生労働省)

詳細は、こちらからどうぞ。 https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001150869.pdf

ただし、2023年10月から開始したこの制度は、原則25年度末までの申請受付けという時限措置になっているのでご注意を。

この2025年は、5年に1度の年金制度改正の年にあたる。
厚労省はこの制度をそれまでの暫定措置と捉えているため、3年目以降は手当がなくなる。そして先述した「106万円の壁」の要件を撤廃する方向で(「5人以上の個人事業所は全ての業種が社会保険加入対象」というあれ)、改正法案を2025年の通常国会で提出するつもりでいる。

つまり厚労省的には社会保険加入促進と働き控えをなくすため2年間は助成金を出すけれど、「106万円の壁」もなくなるから3年目以降は各事業所が恒常的に賃上げなどに取り組み、あとは自助努力でやってね。ということだと思う。

これは小規模事業主にとっては、厳しいなぁ

本当に役人や役所って、現場の現実も知らずに机上の空論で政策など考えているんだなぁと改めて感じる。しかし、まぁ国や政府に過度な期待は禁物だと思っておいた方がいい。


厳しい現実に変わりないけれど、どうしてもスタッフ(従業員)が必要なお店などは、それでも人材獲得競争に勝つため賃金を高くする動きが広がるだろうし、これはもう避けられないと思う。

ぼくは地方の審議会と同じことがミクロ経済、つまり小規模な会社やお店の間でも起きると思っている。

最低賃金は ”目安” でしかない、ということ

今後、急速に進む労働人口の減少は、蓋然性がうんぬんといった仮説でなく確定事項なんだから、そうなると市場原理できっと賃金は上がることになる。

希望的観測を抱いたところで、事業主に選択肢はいくつもないと思っている。

役員報酬をどう捉えるか

そう考えると、いま以上に倒産や廃業によって淘汰は進むだろうし、M&Aの件数もますます増えると想像する。
例えば、パン屋さんに限らず食べもの屋さんの場合、賃上げが難しいお店が続けていくのであれば、社員はもちろん、パート・アルバイトさんを雇わず ”ひとり親方” にならざるを得ない状況(場合によっては店舗数や規模の縮小も必要)がくると、ぼくは考える。

それを言って抗ったところで賃上げの流れは変わらないだろうから、もし本当なら遅かれ早かれ他人を雇用することが不可能ということになる。
そうであれば雇用は諦め、自分ひとりなり夫婦だけでお店や事業をまわす、いわゆる ”ひとり親方” の仕組みに今からシフトしていった方が建設的な気がする。

賃上げの可能性を考えてみる

結果そういった零細のお店と、事業としてそれなりの規模を維持できるお店との二極化が今後ますます進むことになるだろうと推測する。

少し前、こんな記事が出ていた。

「大阪王将」系列のパン店4割増55店へ 首都圏駅前など

2024年9月22日 日本経済新聞

この記事の文末には、大阪王将の子会社アールベイカー社長のこんなコメントが載っていた。

「国内のベーカリーは飽和状態で淘汰が進む。付加価値をつけたベーカリーで稼いでいく」

堀江さん(ホリエモン)の ”事業としてのパン屋さん” も同様だと思うけれど、彼らはきっと初めから「飽和状態で淘汰が進む」ことを認識、前提とした上で業界に参入されている。

職人さんや業界視点だとレッドオーシャンに見える景色も、大阪王将さんや堀江さんにはブルーオーシャンに映っているんだろうなぁと、なんとなくそんなことを思った。

つづく



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